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スタンドスレ小説スレッド

112N2:2003/11/16(日) 15:18

 …ここでオレはある違和感に気が付く。
 さっきから相棒、喋り過ぎだ。と言うより、手の内を晒し過ぎだ。
 オレだったら、自分の「スタンド」の能力をベラベラ喋って、敵に塩を送るような真似はしない。
 では何故?
 自信過剰?――確かにそれはあるが、にしても言いすぎだ。
 ただの間抜け?――あいつは昔から頭の切れる奴だ。洗脳されていたって、そこまで変わりはしないだろう。
 なめ猫?――関係無い…。
 とすると、奴は逆にそうする事で何かを果たそうとしているのか?
 では何を?
 1つの可能性が浮かぶ。しかし、普通に考えれば絶対に有り得ない。
 だが、オレと相棒の仲であるならば、あるいは…。

 「お前、ひょっとしてさっきからベラベラ能力のことを喋ってんの、オレに倒してもらうためじゃないのか?
 あの男によって自分の意思とは違う行動をさせられている自分を、オレに解放してもらうために!!」
 余裕綽々といった相棒の顔付きが変わる。
 冗談抜きでマジギレした顔だ。
 「何言ってんだ…この漏れがそんな事、絶ッッッッッ………対にする訳ねーだろ!!!」
 明らかな態度の変貌。
 間違い無い。行動こそ何者かの意思に操られているが、心の底からは洗脳されていない。
 「俺はお前を絶対に元に戻す。その為には、再起不能もやむを得ないと思っている!!」
 「喪前は…最高に逝ってよしってやつだぁぁ―――――――ッ!!」
 大振りのパンチ一発。先程までとはまるで違う。
 その隙を、オレは逃さない。
 手近な鉄棒を手に取り、部分的に分解。
 鋭い槍にして、相棒目掛けて突きを放つ。
 右胸に命中。激しく血飛沫がほとばしる。
 しかし、ギコはまるでひるむ様子が無い。そのまま伸びたままのオレの腕を掴む。
 「馬鹿め、隙を作りやがったな!このまま推進力を与えて腕を吹っ飛ばしてやる!」
 貫かれた右胸から血を吹き出しながらも、力強く深呼吸をするギコ。
 オレの腕を、ぽろろ達の時同様強く掴む。
 しかし、何の変化も無い。
 「さっきオレにラッシュを打ち込む前に、お前が一回深呼吸した…あれが気になってたんだ。
 お前のエネルギーは、ひょっとするとその呼吸で作ってるんじゃないのか?」
 何も言わない。図星だな。
 「さあ、いい加減に観念したらどうだ?右肺が潰れたんじゃ、もうそのエネルギーもあてにならない」
 「…なめるな」
 ボソッと一言つぶやき、鉄槍を「スタンド」でへし折る。
 傷口からそれを抜き取ると、その痕に手を当て、例の呼吸をする。
 みるみるうちに、相棒の出血は収まり、傷口も塞がっていく。
 「呼吸が少なくなればエネルギーが減るが、0になる訳じゃあない。
 体中のエネルギーを集めれば血を固め、傷を塞ぐ事ぐらい出来る。そして、喪前は漏れの罠にはまっている」
 「何ッ!?」
 「お前の言う通り、漏れのスタンドは呼吸からあらゆるエネルギーを作り出す事が出来る。熱も冷却も推進力も…電力もな!!」
 周囲を見回す。オレの周りには、沢山の肉塊から流出した血の海が広がっていた。
 「クソッ、俺の周りの血を分解しろ―――ッ!!」
 「もう遅い!!回避不可能よぉ――――ッ」
 高圧的な嘲笑の後、相棒は廃タイヤの上からありったけの電流を流した。
 「ぐあああああああ!!」
 その隙に、相棒は倉庫から脱出してしまった。


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