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【場所】『墓地』
209
:
夢野久佐久『インキュバス』
:2005/04/17(日) 05:42:32
カシュッ
スライド型の携帯を戻し、溜息をついた。
「面倒くさい……妙な時期に越して来ちゃったもんだよ……まったく……」
携帯で繋げていたサイトはとある『BBS』。ログを読み、この街の現状をおおまかに理解した。
――なんかマズイっぽい。
この街に来る前にそれを知れれば、もうちょっと対処のしようもあったのに。あの男に会うのはもうちょっと後らせたって問題なかったのに。
「……もう一度引っ越しする、なんてのもいまさら過ぎて間抜けだし……」
大体自分の能力のことを知らない内に逃げ帰るわけには行かない。この街に住むこと――それ自体にも、何か運命じみた感覚を覚えていることだし。
「で……だ」
周囲を、墓場を、ぐるっと見回してみた。
「卒塔婆が抜かれているのは新手の墓荒しの仕業か、それとも件の蝙蝠神父――牧師だったっけ? まぁどっちでもいい――の仕業だろうか。
……ああ物騒だ、物騒だよ全く……」
墓地を出る。
天を仰ぐ。
深呼吸。
視線を戻す――コンビニ発見。
「さて、面倒だけど帰り道を教えてもらおうかな……」
コンビニへと歩く。
「――マズイっぽいのも物騒なのも、危険なのも死ぬかもなのも、別に嫌いじゃないけどね。
運良く、いや、運悪く巡り会った暁には――」
コンビニ店員に道を聞き、迷子は無事に帰宅した。
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