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【場所】『窓が割れたままの家々』【スラム街】

530『我々は皆運命に選ばれた兵士』:2006/08/20(日) 21:22:48
>>528
警察関係者、という言葉に、目を剥いた。

「……そう、警察」

ぶっきらぼうにそう言ってうつむく。
垂れさがった髪の毛で顔が隠れる寸前、少女の表情が見えた。
どうしようもない苛立ちと、怒りと、悲しみが混ざった、
例えばとてもとても大事な物を不条理な理由で壊された苛められっ子がするような、
『なんで、どうして』と訴えたくて、けれど誰にも言えない、そんな表情だった。

「……人を待ってたんです。大丈夫なので」

ボソボソ、と。
人通りの多い街中だったら聞こえない程度の口調で、一応質問に答えた。


>>529
「!」

凄い勢いで手が伸び、ガシリと『イージー・ローラーズ』の腕を掴んだ。
髪を振り乱す勢いで顔を上げる。

「そうね、邪魔にしちゃいけないし、私の相手もいないから、教える。こっち」

まくし立てるようにそう言う少女の目は、溺れかける人のように血走っていた。
そのままグイグイと、『イージー・ローラーズ』を『警察』から離れる方向へと引っ張っていこうとする。
掴む力は鮮やかに塗られた爪が喰い込むほど強く、
背中は曲がっているのに首だけが上げられ、
髪の毛はドロドロと顔を覆い、
下手な鬼婆の真似でもしているようだった。


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