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長編、長文支援スレ3

72</b><font color=#FF0000>(cwYYpqtk)</font><b>:2003/10/13(月) 11:36
「お父様、お母様…… 」
「おお、マリアか」
 豊かに蓄えたあごひげと、揺るぎ無い威厳をそなえた、ムーンブルク国王は、
厳しい表情を一瞬だけほころばせた。
 父の脇には、華奢な女性が不安そうな表情を浮かべて寄り添っている。
「戦いは、どうなっているのでしょうか」
「まだ、詳しい情報がはいっとらん。しかし、油断はできん」
「そう…… ですか」

「ルナ! 」
国王は、私のばあやの名前を呼んだ。
「はい」
敬礼をした彼女は、澄んだ鳶色の瞳を国王に向けている。

「王女を守れ。近衛兵の一隊を警護につける。それを指揮せよ」
「了解しました」
 彼女は、きびきびとした声で命令を受領すると、早速、周囲にいる兵士達に
指示を飛ばす。
「まず、戦況を把握する為に、斥候を放て…… 」
「はっ」
「残りの者を王女様の傍へ集合させよ」
「はっ! 」
国王の周囲に集まっていた兵士達の一部は、彼女の指示によって左右に散っていく。

 ばあやは、ただの侍女兼教育係ではない。
 10年程前に起こったロンダルギア戦役では、数少ない女性兵士でありながらも、
強力な攻撃魔法と、優れた状況判断によって、輝かしい武勲を立てていた。
 当然、国王である父の目にとまることになったのだけど、それが為に、国防の
第一線からは離れることになった。
 父が病に倒れた前任者に代わって、有能な彼女を、私の教育係に任命した為だ。
 ただ、戦役終了直前に得ていた、第3近衛中隊長の資格は失っておらず、
200名程度の兵を指揮する権限を、現在も有している。
 つまり、ばあやは、魔法と軍事の専門家でもあった。


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