長編、長文支援スレ

77：月は東に　日は西に：2003/09/28(日) 20:18: 呪いが解け、元の姿に戻れたあと。
喜びに湧くムーンペタの皆に、旅立つことを告げた。

「ごめんなさい、みんな」
わたしには、皆にスープを与えることも、新しい住みかを用意することも、
そのぼろきれのような服を新しいものに変えることも。
なにもできない。
王族として、国民を救う力すらない。
今のわたしは、ただのちっぽけな魔法使い。
けれどわたしの中に流れるこのロトの血が、世界を救う礎となるのなら。
そして、この手で仇が討てるなら――

ムーンブルクの生き残りとしての義務を果たさず、旅立とうとするわたしを
ムーンペタの人たちは許してくれた。
「姫様、どうかご無事で」
「ムーンブルクに棲まう、水と森の精霊のご加護をお祈りいたします」
「おうじょさま、ハーゴンやっつけてきてね？」
あたたかい言葉に、わたしは搾り出すような声で「ありがとう」と応えるのがやっとのことだった。

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