長編、長文支援スレ

70：</b><font color=#FF0000>（cwYYpqtk）</font><b>：2003/09/28(日) 01:01: 　そういえば……
　夢というものは、ばらばらに千切れた過去の記憶が再構成されたものだと、
お城にいる宮廷魔術師から聞いたことがある。
（えっ、お城？　）

　過去、記憶、お城、火、魔物……
　数瞬の間に、いくつかの単語が脳裏をかすめた直後、心の奥底に眠っていた
忌まわしい記憶が、見る間に蘇っていく。

「嫌っ」
　身体が震えだし、両腕で身体をぎゅっと抱きしめる。上下の歯が擦れる音が
やけに大きく耳に響く。
　瞼を閉じて必死に逃げようとしても、一度思い出してしまった記憶達は、
容赦なく苛んでいく。
「王女！」
　急激に顔色を青ざめさせた自分に驚愕した二人の王子は、同時に声を
はりあげる。
「しっかりしろっ」
「いやっ、やめて…… 」
　気遣ってくれる声すらも、鬱陶しく感じてしまう。
　だから、私は差し伸べられた手を首を振りつづけることによって、無言で
拒みつづける。

「おうじょ…… 」
　自分を呼ぶ声がだんだんと遠くなり、周囲が再び闇に包まれる。
　そう、３ヶ月前の同じ日…… 私は大切な全てのものを喪ってしまった。

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