したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

長編、長文支援スレ

69</b><font color=#FF0000>(cwYYpqtk)</font><b>:2003/09/28(日) 01:00
魔夜 〜1〜

「王女、王女! 」
 私を呼ぶ声が遠くから聞こえる。どうやら激しく肩を揺すられているらしい。
「ん…… んんっ…… !? 」
 眠りの井戸から強制的に引きずり出されて、うっすらと瞼を開くと、二人の
青年が心配そうな顔つきで、自分を覗き込んでいる。

「…… どうしたの? 」
 私はきょとん、と首を傾げた。
 澄み渡るような蒼い空、そして遥か遠方に煙る水平線と、穏やかな大海原……
 ルプガナの街で、幸運にも手に入れることができた小ぶりの船は、適度な
追い風を受けて、純白の帆を目一杯に膨らませながら、快調に目的地へと
進んでいる。
 初秋の日差しは強く、夏の名残を残しているが、船上を吹きぬける風は
涼しく心地よい。
 魔物も今のところは姿をみせず、旅は順調に進んでいるはず。

 それなのに、何故、不安げに私を見ているのだろう。

「憶えていないのか? 」
 サマルトリアの王子からは、いつもの陽気さが影を潜めており、眉間には
深い皺が刻まれている。
「どういう事…… なの? 」
 気まずい雰囲気に不安を覚えたが、心に浮かんだ疑問を、敢えてそのまま言葉に
載せる。
 暫くの間、ローデシアの王子は無言で見つめていたが、やがて、はっきりと
口を開いた。
「君は、うなされていたんだ」
「うなされる? 」
 私は小さく呟いた。額に手をあてると、人差し指と中指の先端がしっとりと
濡れている。
 何か、悪い夢でもみたのだろうか。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板