長編、長文支援スレ

73：名無しさん：2003/08/30(土) 03:20: 　彼女がやっとその表情を緩めたのは、呼びに来た若い二人連れの姿を見たときだった。
　若い-というよりは、少々幼い？-ふたりの男は、彼女と同じ瞳で同じ方向に視線をやって、
同じように堅い顔つきをした。
　でも、すぐに彼女を促して、去って行った。

　後で僕は知った。彼女が確かにムーンブルクの最後の生き残りの王女であり、
彼らが、伝説の勇者ロトの血をひく、僕らの勇者であった事を。

　それを知った日から、僕は待っている。戦いを終えた彼女が戻る日を。
　そして、またあの丘から城を見やって、今度は笑顔を見せて欲しい、と。
　それを楽しみに、僕は城を作り直している。ほとんど廃虚となった
場所の修復は容易な仕事ではないけれど。
　あの美しい人に笑顔を取り戻すお手伝いができたら、こんなに嬉しい事はない。

（おしまい）

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