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長編、長文支援スレ

109瞳を開けて:2003/08/30(土) 22:18
 嫌。嫌よ。見たくない。
 わたしは地面に手足を突っ張らせて首を振る。
「ウ〜…」
 喉の奥からかすかな唸り声。これが、わたしの声だなんて。
 歯を食いしばる。
 少しずつ、少しずつ、記憶が戻ってくる。
 突然の襲撃。なすすべもなく倒れていく人たち。兵士の怒号。お父様の悲痛な声。そし
て……。
 わたしの国――ムーンブルクは滅亡した。大神官ハーゴンが差し向けた魔物の大軍団に
よって。
 ムーンブルクの王女で、ロトの末裔であるはずのわたしは、何もできなかった。城のみ
んなを助けるどころか、逆に助けられてかくまわれ。
 ――それなのに、わたしは敵に見つかってしまった。
 わたしの放ったバギは、相手の皮膚一枚傷つけることはできなかった。
「ロトの末裔といっても、所詮はこの程度ですか」
 魔物は嘲るように笑うと、無造作にわたしに近づいた。ベギラマの火炎がわたしの横を
掠め、背後の壁をなめる。
「ふん……気に入りませんね。無力な小娘の分際で、泣きも喚きもしないとは」
「魔物なんかに気に入られようとは思わないわ」
 わたしは怒りをこめて、魔物を見上げた。怖くなかったかと言われればウソになる。だ
けど、それよりも悔しくて情けなかった。魔物に一矢報いることすらできずに、殺されて
いくだろう自分が。


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