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練習スレ

107世にも名無しさん:2006/03/19(日) 19:43:41
老父はただただ小銃を構えているだけであった。痺れを切らした永瀬は、老父の横へ駆け寄り、彼が銃を構えている方向を目の当たりにした途端目を疑った。

------な、何これ・・・!?

彼等のいるところから五メートルと離れていない所にそれは居た。
それは小さな人間の体の頭の部分が、巨大な「貝」としか形容の出来ない物体と取って代わった異形の生物であった。カーキ色のパジャマを着込んだ小さな子供のような身体に、巨大で、色鮮やかな照かりをおびた「巻貝」が乗っているのだ。それが一歩一歩こちらに確実にゆっくりと近づいてきている。それはおおよそ子供の体型から想像されるものよりも遥かに重量感があった。

永瀬に出来る事は一つであった。腰の後ろのホルスターから拳銃を取り出し、その異形の「貝」めがけて照準をつけた。横で老父が、今しがた自分が助けた女性が拳銃を構えているのを見て少しばかり驚いた顔をしていたが、すぐに緊張に満ちた表情を取り戻し、小銃を構えなおした。永瀬は照準を合わせたまま老父に叫んだ。

------あなたは納屋の御孫さんを連れて逃げなさい! それからすぐに警察に連絡して!

警察に、か。貝の化け物が現れたから助けてくださいとでも言うのだろうか。少々笑い話のようにとれる。しかし永瀬の目の前で起きている状況は明らかに常軌を逸しているものであった。一方、老父は彼女の問いかけにも応じず、更に歪んだ表情を浮かべ、小銃を構えている。その異形は一歩一歩二人の所へ近づいてきていた。すると最中、老父は理解しがたいことを言い出した。

------銃を下げて出て行くんだ、お嬢さん・・・。

永瀬は老人の顔を不思議そうに見た。一体何を言っているというのだ。彼女は銃を構え、更に前進しようとした。見れば見るほど異様なものだ。老父の問いかけに彼女は反論した。

------何を馬鹿な・・・

すると突然、老父が片手で彼女の手からリボルバーをもぎ取り、床に投げ捨てた。
老父の奇妙な行動に呆気にとられるばかりの永瀬は少々怒り気味の声色で叫んだ。

------何て馬鹿なことをするのよ、頭おかしくなった?!御孫さんを連れて早く逃げなさいと・・・

すると、次に老父から放たれた言葉は俄かに耳を疑うものであった。

------徹、下がってくれ! 私はお前を撃ちたくないんじゃ!

------え・・・?


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