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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

97若葉 ◆t8a6oBJT5k:2007/05/29(火) 04:21:01 ID:???
気力が蘇って、動かなかった体に力が入った。
視覚と嗅覚を封じられて方向感覚がつかめないから聴覚だけを頼りに這い進む。
焼け焦げた指が床に当たるたびに、耐え難い痛みがはしったけれど
あたしを呼ぶベビちゃんの声に励まされて、必死で這い続けた。
急がないと、せっかく助かったベビちゃんが殺虫煙で死んでしまう。

ベビちゃん!今、ママが助けてあげますからね。

少しずつベビちゃんの声が近づく。あと少し。あと少しだよ。
手を伸ばすと、堅い感触があった。



柔らかなベビちゃんの体とは似ても似つかない感触。
網目のようなザラザラした部分とスイッチみたいなものが並ぶ感触。
こ、これ、は。

正体を確かめるべく触っているうちに絶望が込み上げてきた。
この硬いものの中にベビちゃんが閉じ込められているのだと期待した。

だけど。スイッチのような部分を指で探って押すと
カチリと音がしてベビちゃんの鳴き声は止まった。
室内からはシュウシュウと殺虫煙の吹き出る音だけが聞こえる。

硬いものの正体。それはラジカセ、だった。

スピーカーから生前のベビちゃんの声が流されていただけだった。
やっぱりベビちゃんは、あのときに死んでいたんだ。

脳裏にチィちゃんの得意気な顔が浮かんで消える。
やりたいことがあるって言ってたけど、これのことなの?

こんな、ひどい。期待を持たせておいて絶望させるなんて。

希望が潰えて、今度こそあたしの全身から総べての力が抜けた。
さっきまでは必死で気づかなかったけれど、口に流れ込む空気は
とっくに殺虫煙に汚染されていて呼吸障害が起こっている。

息の出来ない苦しみに咳き込んでも吸い込まれるのは煙だけ。
咽喉が焼けるように痛み、耳鳴りがする。
いや、よ。まだシニタクナイ。どうしてあたしが死ななきゃいけないの。

苦しい。クルシイ。くるしぃ。くやしい。べび、ちゃん……どこなの?

せめてベビちゃんの亡骸を抱しめて逝きたい。
そう願っても、もう、あたしの体はピクとも動いてくれなかった。
そして。意識が死という闇に呑まれて消えるのを止めるすべも無かった。

ー終ー


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