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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

394:2007/09/09(日) 15:55:48 ID:???


『今月○日午前○時頃、××商店街で中学生の少年一人が、何者かに殺害される事件がありました。
遺体は、額に鋭利な刃物で刺された痕があり、右腕が現場から消失していました。
警察は目撃者からの証言などを頼りに、捜査をすすめていく方針・・・』

同じ時間に違う場所で、同じ報道を見ていたAAが居た。

「・・・またか」

呟くように嘆き、眉を寄せて溜め息をつく男。
本人は自覚していないが、事件の犯人を最初に追った者であり、名前はウララーという。
ウララーは治安の悪いこの街で擬似警官を勤め、銃を握る事が許されている。

今回の件に関しては、やり方も含め被害が甚大なので、本部の方のみで捜査をしていた。
つまり、引き金を引くだけの警官、ウララーはこの事件に介入できないのだ。
しかし、今のウララーの興味と怒りは、そちらに向けたものではなかった。
ブラウン管の光が、その険しい表情を嫌らしく照らす。



フーに出会い、一ヶ月が経った。
その間、ウララーはこれ以上被害者を出さないようにと、化け物を追う事を決意。
しかし、この一ヶ月もの間、情報は全く手に入らなかった。

『片腕が黒い少年』の話は、ノイローゼになりそうな程あちこちで聞いた。
が、ウララーが追い求めている『化け物』の話は全く耳にしない。
まるで街全体が、化け物の事をまるまる隠蔽しているのかと疑心暗鬼になった程だ。

当の本人達なら知っているその理由も、至る所から蚊帳の外のウララーには難解な謎である。
真逆、夢でも見たんじゃないかと頬をつねっても、肩には傷、家には保護した被害者がいる。
まるで雲を掴むような捜索に、ウララーは頭を抱えていた。

と、後方から不意に自室の扉が開く音がした。
振り向くと、そこには扉にもたれ掛かったフーがいた。

「おはよ・・・」

まだ眠気が身体に残っているようで、声に力が入っていない。

「お早う」

そう言って、ウララーは座っているソファーを二回叩く。
フーはそれに反応すると、覚束ない足取りだが、確実にそこに向かう。
ソファーの前に来た所で後ろを向き、ウララーが手を握りそのまま倒れ込むように座った。

「まだ寝足りないんじゃないのか? 無理して起きなくてもいいんだぞ」

赤ん坊のように首がすわってないフーを見て、心配し声を掛けてみる。

「・・・ん」

と、生返事の直後、フーはウララーの肩に頭を置き、そのまま寝息をたてて寝てしまった。
可愛い奴だなと思いつつ、そのフサフサした肩に腕をまわす。



フーの眼は治らない、と医師に告げられた。
文字通り『目が潰れている』状態だったので、摘出だけしておいたとのこと。
病気や老衰以外での死が多いこの街で、しかも浮浪者を診てくれたのは本当に感謝している。
だが、本人に取ってそれは喜ばしい事だったのだろうか。
光の無い世界で生かされ、生き地獄を味わうことになってしまうというのに。

そんな悩みは、本人と会話を交える事で解消された。
最初は良くない意味で大人しかった性格も、恐らく本来のフーと思われる明るさが段々と前に出てきていった。

『光が無くなっても、まだ音と匂いが自分にはある』

助けた事への感謝の言葉の前に、フーはそう言った。
街から迫害されている者達なのに、力強く生きることを想い、願う。
ウララーは力無き被虐者に感動し、力を持った自分達を恥じた。
そして、慈悲の心は虐殺の世界では決して無駄ではない事を、再度確認した。


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