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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

393:2007/09/09(日) 15:54:50 ID:???

タカラの慟哭を聞きたい。
だが、罵倒は絶対に耳に入れたくない。
『変態』とも『狂人』とも取れるギコの思考。
自分にしか理解できない賭けに挑むか、そのまま身体を破壊していくか。

(・・・でもなぁ、あの反応を見たらなあ)

聞かずにはいられない。
ギコの奇妙なこだわりは、もはや性癖と化していた。
妄想が膨らみ居ても立ってもいられなくなり、鉄パイプを投げ捨てる。
そして、さるぐつわに手をかけた。

「あ! っが・・・」

乱暴にそれを解いてタカラの顎を掴み、眼前に持ってくる。
今の自分の顔は、どんな風に相手に映っているだろうか。
血走った目で見詰めてくる、鼻息の荒い変態だろうか。
それとも、AAの皮を被った悪魔か何かだろうか。

「今、お前の眼に、何が映っているか言ってみな」

はち切れんばかりの気持ちを、必死で抑えながら質問をする。
それでも腕の震えは止まらず、いっそこのまま握り潰したいと思ってしまう。
早く答えが欲しい。一秒が十秒にも感じる。
焦らされるのは好きじゃない。興奮が憤怒に変わる前に、早―――。

「・・・ぃ」

と、タカラの口元がかすかに動いた。
ほぼ同時に聴覚に全神経を集中させていく。
対象の喉から湧き出る空気の振動をかき集める。

『こんなやつに、ころされたくない』

虚ろな目をしつつ、タカラは確かにそう言った。




「・・・ッハ」

最初に洩れたのは、渇いた笑いだった。
一瞬にして興奮は冷め、心臓も落ち着きを取り戻す。
すると、急に発情していた自分が馬鹿らしくなり、額に手を宛てて更に笑う。
狂気に満ちたものではなく、一泡吹かされた時に出るような笑いだ。

「はははっ」

やがて笑う事すらも馬鹿らしく思い、大きく息を吐いて芋虫を見詰め直す。
その顔は形を歪め、もはや表情は読み取れなくなっていた。
それは何故か、答えは至極簡単で、自分がタカラの顎を握り潰そうとしているからだ。

「あーあ、また、ハズレかよ」

吐き捨て、タカラの顎を掴んでいた手に力を込める。
骨が軋むより先に、ぐしゃ、と湿った音をたててそれは弾けた。

「〜〜〜!!!」

もう言葉でもない叫びなんて、聞いてもつまらない。
また暴れるスイッチが入る前に、そのモーターサイクル顔を拳で爆ぜさせた。




「・・・クソが」

死体を蹴り飛ばし、あいた空間に腰を落とす。
虐殺で散乱した肉片は部屋を汚し、ブラウン管の光を虫食いのように遮断していた。
ふう、と溜め息をつき、血と肉に塗れた右手を眺める。

「あの糞虫・・・」

指の欠けた手が、心の中の何かを駆り立てる。
宛もないのに、やるだけ無駄かもしれないのに、また身体が勝手に動く。
これで何度目の『我慢ならない』なのだろうか。

ギコは立ち上がり、血を拭って玄関に足を運ぶ。
そして今、失敗した虐殺の余韻を持って『メイを捜しに』出掛けた。






物語は止まらない。
歯車は噛み合わないと回らない。
ひかれあうのは必然的なものであり、それは運命なのかもしれない。

ギコの願い、念いは、もうすぐ叶おうとしていた。


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