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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

145:2007/08/06(月) 23:39:05 ID:???


普通のちびギコより少し大きい身体。
顔の左、彼から見て右半分は、綺麗な茶色をしている。
真っ黒に透き通った目は、刔られたのか片方しかなかった。
立派な耳も、同じく片方だけもがれている。

「あ・・・」

そして、彼の身体で一番の異彩を放つ部位があった。
左肩から指先にかけて、どろどろに黒く汚れていたのだ。
しかしそれはよく見ると、重度の火傷だとわかった。
炭化した皮膚と、所々で血と膿が混ざって固まっている。

助かった事による安堵の溜め息と、奇妙な風貌のちびギコに驚いた声が重なった。
アヒャの眉間からナイフを抜こうとした彼はそれに気付き、こちらに目を向ける。

「・・・なに?」

「いや、あの・・・助けてくれて、ありがとうデチ」

同じ種族のようだし、やはり感謝位はしなくては。
そう思ったのだが、やはり見てくれの酷さに目を逸らしたくなる。

「助けたつもりは、ないよ」

ナイフを抜くのに苦戦しながら、彼は意外な返答を返してきた。

「え?」

「僕は、このヒトを食べたかったから」




衝撃的な言葉に、脚が切断された事なんてどこかへ吹っ飛んでしまった。
それでも一応、止血の為に傷口を押さえるのだけれども。
ナイフをアヒャの頭蓋から抜き取った彼は、刃についた体液を舐めながら続ける。

「このヒト達はね、虐殺に夢中になると注意力が散漫になるんだ」

建物の上に居たのは、先程のように頭を狙い打つ為とのこと。
入り組んだこの商店街では、今のようなケースはそれなりにあるらしい。
つまり僕、被虐者達は彼にとって『仕掛けていないエサ』。
ここの他にも、地の利を活かした自分用の狩場があるんだ。と彼は言った。

「な、なんでこんなヤツを食べたがるんデチか?」

もしかして、自分をこんな姿に変えた虐殺厨への復讐なのか。
そう問い質してみたが、彼は首を横に振り、アヒャの腕に刃を入れてこう返してきた。

「生きたいんだ」

その時、彼の黒い瞳の中に、更に黒い何かが垣間見えた。
負の感情ではなかったが、その悍ましさに身震いしてしまう。

死体から腕を切り離した彼は、決して綺麗ではない肉の切り口をかじる。
もぐもぐと少し嬉しそうに咀嚼する様は、野性児とか浮浪者とかを彷彿とさせた。

暫く彼の食事を眺めていた時、不意に、商店街の通りの方から話し声が聞こえた。
段々と大きくなってくることから、こちらに近付いてきているようだ。
声色からして、虐殺厨かもしれない。

「!」

彼はその声に気付いた途端、肉を食べる事を止め、置いていたナイフを乱暴に掴む。
そして、脱兎の如くその場から消えた。

「あっ!?」

片脚の僕を、置き去りにして。

『うわっ! な、なんだ?』

『お、おい、今のって『片腕』じゃね?』

『って事は、まさか・・・!』

奴らの慌てたような声から、どうやら彼は虐殺厨を正面突破したようだ。
奴らはかなり近くまで来ているようで、会話の内容をしっかりと聞き取る事ができた。
しかし、奴らは彼を追い掛けることなく、こちらに迫っている。

「ああっ!」

「アヒャ君!」

複数の足音が消えた時、既に視界にそいつらはいた。
真っ先に死体に飛び付き泣きわめく者と、その場でオロオロする者。
そして、僕を睨んで青すじをたてている者の三人だ。

正直、どうでもよくなった。
一分でも一秒でも長く生きたいという願いは叶ったし、これ以上何も望まない。
脚もないし、希望も潰えた今、最期に面白いものが見れた。
そんな不思議な気持ちになった僕は、三人に向かってこう言ってやった。

「そこの奴ら、僕を殺せデチ」


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