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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

136:2007/07/22(日) 16:00:05 ID:???


自分は何をやっているのだろうか。
ウララーの心は、その言葉で埋め尽くされていた。

フーを助けた時、現場はそのままにして帰った。
あの時は日も落ちかけていたし、それしかすることが出来なかったからだ。
彼等は浮浪者でもあるし、何もそこまでするかと思う奴も出てくるだろう。
それでも、ウララーは化け物に襲われた命を、助けたかった。
路地裏に置いて来たフーの友人を、弔いたかった。




死体が、無いのだ。
業者が片付けたのならば、血の跡も綺麗に落とす筈だ。
だが、ここにはしっかりと赤黒く汚れたコンクリがある。
砕けた骨だって、真っ白になって一箇所に纏められていた。

誰かが、この死体を食べた。
そう思うしか、他になかった。

「・・・くそっ」

あの時、化け物は食べる事もせず遊んでいたことから、奴の可能性は殆ど無い。
骨が纏められている件に関しては、カラスや獣の類でない事も読み取れる。

ウララーが思考を張り巡らしていると、路地裏の奥からひたひたと足音が聞こえた。
何かと思い視線を向けると、薄暗い所をちびギコが歩いている。

だが、どこかおかしい。
普通のちびギコより大きめの体格で、片耳がない。
左腕は真っ黒に汚れていて、手元に目線を落とせば、ナイフが光っていた。
身体は所々血で塗れ、右手は緑色のボールを抱えていて―――。

違う。
ボールなんかじゃない。
折れ曲がった耳と、下部にあるささくれた部分に残っている血の跡。
紛れも無く、あれはここにあった死体の、首だ。




「おい!」

焦りと怒りで、必要以上の声が出た。
ちびギコの影はそれに驚き、振り向く事もなく走りだす。
ウララーは舌打ちし、同じように路地裏の奥へと駆け出した。

決して広くない空間を、ちびギコは易々と駆け抜ける。
大人のモノと思われる首と、身体と釣り合わない大きさのナイフを持ちながら。
対するウララーは、腕や脚が木材や粗大ゴミに引っ掛かり、持ち前の能力を発揮できない。
じわじわと距離を離され、その影を見失う回数が増えていく。




入り乱れ過ぎている路地裏の中、ウララーは影を追う事を止める。
息もあがり、あのまま策もなしに追っても意味がないと判断したからだ
一旦路地裏を出ようと光のさす所に向かえば、そこは鬼ごっこを始めた場所だった。

(・・・何やってんだ、俺)

落ち着いてみれば、何処か馬鹿らしくなってきた。
死んだ者は死人にならず、死体になる。
どこぞの偉い学者が言った言葉かは忘れたが、取り敢えずそう考えておく事にする。
骨の山から、なるだけ形が綺麗なものを取り出し、その場を後にした。




今日見たちびギコは、近いうちにまた出会う事になる。
ウララーは、この時点ではまだ気付いていなかった。
あの影が、治安の悪いこの街を更に混沌とさせる要因の一つということに。


―――続く


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