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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

135:2007/07/22(日) 15:58:42 ID:???

パンを食べ終えたら、静寂が部屋を包み込んだ。
あまりにも静か過ぎるせいか、カーテンの靡く音が先程よりも大きく聞こえる。
今のフーには、それが夜のコオロギよりも、夏の蝉よりも煩く感じた。

目を潰され、見えるものは暗闇だけ。
その為、嫌が応でも意識が耳に走ってしまう。
化け物に襲われた時の恐怖も、そんなに直ぐに拭いきれるはずがない。
ノーネという心の依り所も、亡くなった。

怖い。
風の音も、衣すれも、なにもかもが自分を嘲笑っているようで。
こうなる位なら、せめて目でなく耳を削いで欲しかった。
フーはそう思いながら、わざと爪をたてて耳を塞ぐ。

不快な音達は、テレビに映る砂嵐のように視覚化されていく。
恐らく、不安と恐怖のせいで見える幻覚なのだろう。
無数の光の粒は、縦横無尽に暗闇を駆け巡り、それを埋め尽くした。
夢なんかじゃない。
はっきりとした意識の中、そんなものを見続けられる筈なんてない。
幻覚に幻覚が重なり、鼓動がじわじわと加速する。
誰か、これを―――

「どうした?」

扉の開く音がして、続いてウララーの声。
フーはそれに驚いて、耳を押さえていた手を掛け布団の下に捩込む。
跳ね上がった心拍数は、ゆっくりと下がっていった。

「あ、いや・・・なんでも・・・」




ボタンを押す音の後、電子音が一つ。
突如、部屋が騒がしくなる。

「っ!? な、なに!?」

掛け布団を首元まで引っ張り、縮こまるフー。
ウララーはその反応に、少しの間だけ呆気に取られた。
ノイズ混じりに喋り始めたスピーカーと、フーを交互に見遣る。

「・・・唯のラジオなんだが」

「ラジオ?」

「知らないのか?」

「・・・」

まるで電子レンジを怖がる老人のようなリアクション。
ウララーは、その初々しさだか何だかに、どこかくすぐったい気持ちになる。
ベットの傍に腰掛け、フーの頭を優しく撫でた。

「ぼーっとするだけなのは辛いだろ?」

「う、うん・・・」

それから少しの間、二人はラジオを聞きながら話し合った。
フーの心から、不安を取り除く為のウララーの配慮だ。
リスナーからのハガキを、意味不明なテンションで読み上げるDJ。
笑い声のSEが聞こえると同時に、二人もつられて笑う。
時折、フーの知らない単語が出て来ては、ウララーが解りやすく説明する。

曲が流れると、話題を変えて自分の事などを話した。
なるだけ内容を明るい方向に持っていき、互いに打ち解けていく。




番組がある程度進んだ所で、ウララーが腰を上げる。

「さて、時間だし出掛けるかな」

タイミングよく、ラジオが今の時間を知らせた。
早い人は既に仕事場に、学生は登校中の時間である。
軽くストレッチをして、棚から拳銃をホルスターごと取り出す。

「いつ頃戻ってくるの?」

フーがそう聞いてきて、天井付近に掛けている時計を見て踏み止まる。
目が見えないのに、壁掛け時計で時刻を教える事はできない。
どうしようかと少し考えた後、ウララーはスピーカーを見て閃いた。

「あー、ラジオが12時って言った頃には戻れるから」

「うん」


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