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407：名無し三等兵：2007/09/26(水) 06:18:47: Brand XXX

　XXXにはルーン文字が入るのだが、表示できないのでこうしておく。
　ＭＭＯＲＰＧだ。十日ほど前、自称貴族の気狂いスウェーデン人ES.Kir卿に教えてもらった。いかにもアマチュア（同人）チームの作ったものらしくグラフィックもインターフェイスもヘコいのだが、それを補って余りある魅力がコイツにはあって、このところハマっている。
　どういう魅力かというと、まぁ要するにＰＫ（Player Kill）だ。

　世の中には無数とも言えるほどのＭＭＯＲＰＧが存在し、そのうちのいくつかはＰＫが可能であり、かつ推奨するかのようなシステムをとっている。殺したヤツから装備品を奪ったりできるとか、そういう具合に。しかしそれらのほぼ全てはＰＫ行為そのものに対して何らかのペナルティが課されるのが常だ。犯罪者扱いになったり、街の施設が使えなくなったり、警備員に殺されたり……etc。
　人を殺せばペナルティを負わされるのは現実世界も同じことで、こうした抑圧装置が存在しない世界では簡単に殺人がおこなわれる。北斗の拳やマッドマックスみたいに、暴力が全てを支配する世界になってしまうのだ。
　Brand XXXは、しかしそれをやってしまった。この世界では、いつでも、どこでも、だれが相手でも、攻撃を加え、殺すことができるのだ。このゲームの中には、警察に相当するシステムが存在しない。私のような人間にとってはユートピアのごとき世界である。殺されるほうにとってはディストピアだが。

　具体的にどれぐらいのディストピアかというと、まず私はこのゲームを始めたとき初心者専用セーフゾーンから出た直後２秒で殺された。こっちのＨＰは３０程度なのに一撃で２００ダメージオーバーのLightning Boltを叩き込まれたのだ。どれぐらいのレベル差があるのか想像もつかないうえに、そんな上級者がゲームを始めたばかりのプレイヤーを殺したところで何のメリットもないのだが、なにしろそういう世界なのだということを知った。おまけに殺されたあと「noob go home」などと罵声を浴びせられる始末。普通のプレイヤーならその場でアンインストールしかねない話である。

　私はかねがねＭＭＯＲＰＧの最高傑作はHelbreathだと公言してきたのだが、ことＰＫだけに関して言えばBrand XXXはこれを超えた。なにしろ、街の中でＰＫできるのは当たり前。ショップの中でも（銀行の中でも！）ＰＫできてしまうのだ。
　殺されると”刻印”された装備品以外すべての所持品を落とすので、当然のごとく銀行では預金目当てのＰＫが横行する。かくして、銀行でカネを引き出すのも命がけ、それを奪い取るのも命がけという実に素敵な殺伐世界が繰り広げられることになる。（このゲームの中で最も多くの死体が転がっているのは銀行である）
　もっとも、実際のところカネ目当てでＰＫするようなプレイヤーはかなり良心的な部類と言える。彼らはカネを持ってなさそうなキャラをわざわざ殺したりしない。悪質なのは、何の意味もなくＰＫするプレイヤーである。ひまつぶしに英雄レベルのキャラで初心者鍛錬場に乗り込んでいって全員殺戮するようなのが何人もいるのだ。私が最初に食らったのも、おそらくそれである。

　しかし、こうした無意味なＰＫは自分がやられると不愉快だが、他人に対して実行する分には大変爽快だ。始めたばかりのときには成す術もなく殺されまくっていた私であったが、ある程度レベルが上がってくるとレベルひとケタの初心者などは面白いように殺せる。
　ナイフ一本でスライムと戦っている戦士をスライムごとFire Ballで焼き払ったり、ちょっと頑張ってゴブリンと殴り合っている戦士をHold PersonしてゴブリンにBerserkをかけてやったりするのは、じつに楽しい。死体がレアアイテムを落としたりすると更に楽しいのだが、今のところ一度もない（というか自分が落とした畜生）

「ＰＫ？　なにそれ？」とか「ＰＫする人なんてサイテーです！」などという草食動物的思考をする人は私のマイミクに限って存在しないと思うのだが、もしかすると何かの間違いでこれを見てしまっている可能性もあるのでどうか気分を害さないでほしい。（害しても別に問題はない）
　一方、ＰＫに対して気分を害さない人には非常にオススメのゲームである。問題は英語がロクに通じない（スウェーデン語が主）ということなのだが、どうせコミュニケーションの大半は暴力なのであまり問題にはならないだろう。というより、しゃべっているヒマがあったら殴ったほうがいいゲームである。素晴らしい。

　無料なのでヒマな人はどうぞ。そして私に殺されてくれ。