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2003/12/28/21:12
高槻高校の文化祭の冊子におもしろいものがあったので。
いで、ききたまへや、一こそ。必ずここにきこゆべきことにもあらざめれど。
きのふ、なにがしが家近き吉野屋にまかりしに、あやしう、人びと世に知らず多くて、さらにゐぬるべきやうなし。いかなることにかとて見るに、多きなる布に「百五十銭下げはべらむ」など書きけるを垂れたりけり。
「しれものどもかな。あないふかひな。たださばかりに例来ぬ所にやは来べき。ほけたること」
となむおぼゆる。をとこをんなの、子ども具したるなどもあり。ここにしも、ひといへ集へるよ、めでたのことや、とうちつぶやかる。いでや、てていはみじう大きなる盛を食ひてむずるぞなど、子にいふさま、いとほこりかなり。まばゆきことかぎりなし。
「立ちね、さらば百五十銭とらせむ」とこそ言はまほしけれ。かやうの所は荒々しかるべきものぞかし。細長に、なかのほど曲がれる台盤、Ｕのようなるがかなたこなたにゐたる者ども、ややもすればいさかひがちに、ようせずは人を刺しあやまちなどすばかりのけはひこそ、をかしけれ。女、子どもの、あるべきかは。
さて、かあうじてゐ付きぬと思ふすなはち、隣なる者、あさましう、「大盛汁あまた」としもいふものか。またいとにくくなりて、
「さても今めかしからぬことをいふよ。ものぐるほし。何せむに、いとところえ顔にも、さ言ふならむ。『それ、まことに食はまほしきか。ただいかでそのこと言あむ、人にも聞かせなむ、とてすることにはあらずや』と問はむ。さいひてとがめむ。ときなかばかりとがめむ。」
と思ふ。なにがし、はかばかしからねど、つねにまかり通ひて見はべるに、なほこのみちの人びとは、この頃は「『き』あまた」をぞ好むめる。「大盛り、きあまた、かひ」とこそ、さやうの人びとはいふめれ。きあまたは、「き」の多くいりたるもの。そのかはりに、ししはいささか少なし、きあまたは。
さて高く盛りてかひをそへたるは、いみじく、まことに鬼神もめでつべし。
されど、さ言はむ人、あるじ方の人びとに見とがめられぬべきわざなれば、あやにくに、あふさきるさなりや。さればなほ、なべての人びとのさらにいふまじきこと。さやうならむ人びとは、牛と避けとのなにがしなど食ひてうれしがりたらむこそ、めやすく、つきづきしけれ、とぞ本に。
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