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おちゃめくらぶ掲示板

772御茶目菜子:2011/10/30(日) 14:55:16
つい黒船(Amazon)が日本にやってくる!?
Amazonが日本で本格的に電子書籍に参入すべく出版社に契約を申し出ている模様にょ。
http://news.livedoor.com/article/detail/5977004/
Amazonといえば専用端末Kindleと合わせて北米では電子書籍販売シェアNo.1となっている
わけだけどこれまでは日本には参入しておらず、日本に参入していないため専用端末で
あるKindleシリーズも日本国内では販売されて来なかったにょ。(輸入ショップや個人
輸入によって端末を購入し英語版の書籍を購入することは日本国内からでも可能だった)

日本で販売してこなかったのはやはり端末の対応の問題があるにょ。
日本語を表示するだけならばフォントを用意するだけでいいのだけどルビや禁則処理も
きちんと行えないと電子書籍端末としては失格だからね。
この辺はAndroidベースであるKindle fireならば何ら問題はないにょ。
ソフト面の問題があってもネット接続を前提とした端末であるため更新によっていくらでも
対応が可能だしね。
そもそも、Amazonの場合はKindleアプリをiOSやAndroidにも提供しているため専用端末に
拘る必要もないにょ。
したがって、あとは電子書籍というコンテンツの方を用意できればいつでも日本に参入
可能な状態にすでになっていたと言えなくもないにょ。

日本では幾度となく新規格が登場し消えていったにょ。
その中で注目されたのが昨年登場したソニー主体のReaderとシャープのGALAPAGOSだけど
Readerはそこそこ頑張っているもののGALAPAGOSは専用端末の生産を終了し提携していた
TUTAYAとの関係を切ったようにジリ貧状態にまで陥っているにょ。
なぜここまで厳しい状態かというとやはりコンテンツがないためにょ。
紙の書籍のうち電子書籍でよめるのはごくわずかしかないからね。
そのために高価な端末を購入していつ消えるか分からない独自規格を受け入れられるという
人は少ないと思われるにょ。

電子書籍には下記のようなメリット、デメリットがあるにょ。

 ◎メリット
 (a)(基本的に)紙の書籍より安い
 (b)売り切れがない
 (c)嵩張らない

 ◎デメリット
 (d)端末が無いと読めない
 (e)規格が変わると読めない
 (f)譲渡や貸し借りができない

(a)電子書籍は中間マージンが少なくなるし印刷代がかからないからにょ。
ただし、サーバコストはかかるものの書籍は映像ソフトと比べると遙かにデータ量も
小さいため輸送や販売のためのコストと比べると安上がりになる可能性が高いにょ。
とはいえ、マンガの1話ごとの個別販売の場合は紙のコミックスよりもトータルで見たら
高くなる場合もあるにょ。

(b)紙の書籍の場合はある程度売れる品でないと店頭に並ぶ機会はかなり少なくなるにょ。
基本的には出版社がたくさん売りたい本が書店に多く入荷する仕組みになっているため
これはやむを得ないにょ。
逆に発行部数の割りに需要が高まると品切れを起こしてしまうけどこれは紙の書籍の場合は
重版がかかるまでにはかなりの日数が必要になるにょ。

(c)紙の書籍の場合はどうしても物理的なサイズからは逃れることはできないけど電子書籍
ならばファイルサイズだけの問題になるにょ。
このファイルサイズもテキストベースの書籍ならば微々たるものにょ。
8GB程度の容量があれば読み切れないほどの大量の書籍を持ち歩くことも可能にょ。
ただし、テキスト化が難しいマンガの場合はファイルサイズが大きくなる傾向があり
その場合は1冊数10MBになってしまうけど1冊80MBとしても8GBの端末で100冊持ち歩く
ことが可能になるにょ。

(d)当然ながら電子書籍というのは端末がないと読むことさえできないにょ。
これが最もハードルを高めているにょ。
紙の書籍ならばめくって文字を読むだけで済むのに専用端末の操作方法を覚えたり操作
方法に慣れたりする必要もあるしね。
それに端末のバッテリが切れた場合も読むことができないにょ。

(e)電子書籍の場合は規格ば無数にあり、それ専用の形式に対応したソフト(端末)を
使用しないと読むことさえできないにょ。
異なる規格の書籍を読みたい場合は下手をすると端末を複数台用意しなくてはならなく
なってしまい1つの端末で読めるという電子書籍のメリットがかなり失われてしまうだけ
ではなくその規格が過去のものとなった際には読む方法を失われかねないにょ。
これがDRMが無ければ再変換をするという方法もあるけど実際は市販流通している電子
書籍にはもれなくDRMがかかっているため再変換はできないにょ。

(f)紙の書籍ならば自由な譲渡や(個人的な)貸し借りは可能になっているにょ。
しかし、DRMで管理している電子書籍ではそれはできないにょ。
ただし、Kindleにおいてはかなり制限があるものの貸し借りは可能になっているにょ。


これ以外にも電子書籍には「印刷しないので紙資源を節約できる」「テキスト検索ができる」
「デジタルならではの表現方法(動画など)を入れることができる」といったメリットも
あるにょ。

こうしてみると確かに電子書籍のメリットは大きいけどその反面でデメリットも大きい
ことが分かると思うにょ。
したがって、電子書籍は音楽と違ってすぐには置き換えができるものではないにょ。
音楽はわずか10年で完全にCDからダウンロード販売に主流が移ったけどそれは書籍と
異なりメリットがデメリットよりも圧倒的に大きいためにょ。
それにCDからiPodやウォークマンへ楽曲を転送することはPCさえあれば容易にできるけど
書籍をデジタル化するには自炊環境を整える必要があるため非常にハードルが高く
なっているにょ。
すべての書籍が電子書籍化されているわけではなく既存の手持ち書籍をデジタル化したい
という人もいるだろうけどそのためにも1月6日、1月22日に書いたように自炊環境が普及
することが電子書籍の普及を促進すると思われるにょ。

日本では電子書籍がなかなか普及しない(といっても実際はケータイ向けのマンガや
雑誌コンテンツがそれなりにヒットしているせいで少し前までは金額ベースでは日本は
北米よりも電子書籍売り上げで上回っていたため日本の方が電子書籍では先行していた
と言えなくもない)理由となっているのはやはり再販制度と著作権が北米などとは異なって
いるのが大きいのではないかと思われるにょ。

再販制度は8月21日に書いたけどこれは書籍、雑誌、新聞、音楽CDにのみ与えられている
定価販売を維持する制度にょ。
この再販制度に加えて返品制度もあるためゲームソフトのようにショップ間で価格競争を
したり売れ残ったら仕入れ値よりも大幅に安く販売するという必要性もないにょ。
そのため出版社、取次、書店が十分な利益が出せる仕組みができているにょ。
要するにその均衡が保たれているということにょ。
また出版社は特定の印刷所と契約しているため電子書籍化はその力関係がすべて崩れて
しまいかねないので出版社の意向だけではなかなか難しいにょ。
それに加えて日本では書籍の著作者に著作権が与えられており出版権のみにょ。
これが音楽や映像関係ならばれCD制作会社や放送事業者には著作隣接権が与えられており
様々な媒体において販売する権利を持っているにょ。
日本の場合はあくまで著作権は著作者にあるため出版社との契約が切れたりその書籍が
絶版になった場合にはその著作物を他の出版社から出版することが可能にあんるにょ。
だからこそ、絶版マンガなどを自由にダウンロード販売かのうにしている「Jコミ」の
ようなサービスが可能になっているにょ。(著作権が出版社にあれば出版社の認可が
ない限りはこのようなサービスを行うことはできない)

このような難しい日本の市場に参入しようとしているAmazonだけどその契約内容はさらに
厳しいものになっている模様にょ。

 (1)希望小売価格の55%以上をロイヤリティとして支払う
 (2)新刊・既刊を含め出版社が権利をもっているすべての書籍を提供する
 (3)著作権は出版社が管理する

(1)Kindle形式でAmazonに提供した場合には55%、他の形式だと60%になっている模様にょ。
この割合はどうかというと極めて高い割合にょ。
例えばiBooksでは30%だからね。
確かに紙の書籍では中間マージンが多くなってしまうためそれと比べる必要があるかも
しれないにょ。
出版社は一般的には取次には60〜70%くらいの掛け率で納品されているため取次や書店の
マージンがロイヤリティに置き換わったとすれば30〜40%が妥当といえるにょ。

また紙の書籍で販売している場合にはその価格よりも希望小売価格を安くするように求めて
いるにょ。
確かに印刷コストがないため安くすることは可能だけどそれはロイヤリティが取次と
書店の合算マージンと同等以下の場合にょ。
ロイヤリティがあまりに高いため印刷コストが占める割合が20%だったとしてもそれが
無くなったとしても紙の書籍と同等の価格にするのが精一杯にょ。
実際の印刷コストはどうなのかというと書籍の場合は版元を作るまでのコストが高価で
あるため発行部数が多ければ多いほど1冊当たりの印刷コストはほぼ反比例して安く
なるにょ。
したがって、人気作は利益を失ってしまう可能性が極めて大きくなるにょ。
その場合は出版社の人件費を削るしかなくなるにょ。(大手出版社の人件費は非常に高い
ためにそれを減らすのはありだけど有能な編集者が居なくなるのは将来的にはマイナスと
なりかねないため難しい)

(2)その出版社が権利を持っているすべての書籍が電子書籍化されるのであれば非常に
歓迎すべきと考える人もいるかもしれないにょ。
出し惜しみが無くなるわけだからね。
しかし、人気作はもれなく電子書籍で読めるようになるかもしれないけど人気のない作品に
関しては難しいにょ。
拒否権がないためAmazon側が「これを電子書籍化して欲しい」と言った作品に関しては
すべて電子書籍化されるけれどそうでない場合は出版社側が自主的にAmazonに提出しなく
てはならないからにょ。
その際のオーサリングコストなどを考えると売れる見込みが薄い作品でAmazon側も特に
欲してない作品の場合は電子書籍化されないためマイナー書籍が読めるようになると
考えているならばそれは難しそうにょ。
現状は人気書籍、マンガの利益でマイナー書籍、マンガの赤字を埋めている状態なので
人気作品の利益がAmazonに奪われたらマイナー作品は逆に読めなくなってしまう可能性が
高くなるし、上記のように印刷は部数によってコストが大きく変わるためマイナー作品は
紙の書籍としても出版されなくなる可能性が高くなる上に書籍全体の価格を上昇させるしか
なくなってしまうという可能性が出てくるにょ。

それに倫理、暴力、性描写の基準は北米基準になる可能性があるにょ。
もしもそうなる場合は、日本では普通に売られているものであってもそのままではAmazon
では販売ができない場合も出てくると思われるにょ。
実際「ワンピース」でさえ北米で流通しているコミックスは日本と比べて大きく変更が
させられているからね。(喫煙、飲酒描写はNG、露出の多い服もNG)
したがって、その変更コストに見合わない場合にはAmazonでは販売できないにょ。
iBooksでは、そういう性、暴力描写によって却下された作品もあるみたいだからね。

(3)これが一番厄介な問題にょ。
上記のように日本では著作権は著作者のみに与えられており出版社には出版権しかない
わけだからね。
そのため出版(紙の書籍)以外で販売するならば著作者の許可を得る必要があるにょ。
すべての著作物の許可を得ようとするならば契約更改が必要になるにょ。
その際に厄介なのは条件にょ。
日本では基本的に定価の10%が作者(著作権者)に支払われているにょ。
しかし、電子書籍化で定価が下がれば1冊当たりの得られる金額が下がってしまうし、さらに
著作権を出版社も持つようになる(要するに著作隣接権に近い考え)となれば作者に
とってはデメリットしかなく契約更改する人はほぼ居ないのではないかと思われるにょ。
Amazonはすべての著作権を出版社が管理するように要求しているけどそれは非常に困難な
ことだということがこれで分かると思うにょ。
もっとも「現状では10%だけど契約更改で20%にする」とかの作者にとって有利な条件を
提示すれば可能かもしれないけど(1)のように出版社の取り分が大幅に減ってしまうため
それはかなり困難になるにょ。

それならば著作権法を改正して出版社に隣接著作権を与えるようにする方が遙かに簡単
ではないかと思われるにょ。
しかし、Amazonの力ではとてもそんなことはできないにょ。
とはいえ、TPP(環太平洋連携協定)に日本が参加するのであればその可能性は十分に
出てくるにょ。
TPPは関税が大きく採り上げられているけど実際は「制度やルールの国際標準化」や
「サービス、医療などの規制緩和」があるからね。
実際に何がどのように変わるのかというのは具体的には分からないけど当然ながら
著作権に関する考え方も国際標準(というか北米基準)に変えさせられてしまう可能性も
出てくるにょ。


現時点でAmazonが提示している条件は決して良いものではなく出版社にとっては一方的に
不利な条件であるといってもいいにょ。
しかし、これは十分な猶予期間があったにも関わらず日本でデファクトスタンダードを
生み出せなかったのが大きな理由にょ。
この劣悪な条件でさえ日本市場を狙えるとAmazonは考えているわけだからね。
Amazonは10月31日までに契約するように要求しているもののこれは必須ではないため
条件が気に入らなければ断ればいいだけにょ。
ただし、紙の書籍売り上げは右肩下がりをしているためそれほど時間的な猶予はないにょ。
それに日本がTPPに参入するならば流通のしくみの変革も迫られる可能性があるため
現在の出版社、取次、書店のバランスも崩れる日は遠くない将来に訪れるにょ。
北米では書店がどんどん潰れており、日本でも書店はどんどん減っているにょ。
そうなると紙の書籍から電子書籍メインへとシフトする時期が必ず訪れてくるにょ。
世界標準に勝てるような日本標準規格が作れない限りは遅かれ速かれAmazonやAppleなどと
契約を行うことになると思われるにょ。




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