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おちゃめくらぶ掲示板

664御茶目菜子:2011/07/26(火) 15:30:10
Ultrabookはタブレット端末の防波堤になる!?
7月21日に新型Macbook AirはただのUltrabookに過ぎないと書いたけどそもそもUltrabook
とはどんなものかということ書いてみるにょ。
Ultrabookは5月31日にCOMPUTEX TAIPEI 2011にてIntelが発表した薄型軽量のノートPCの
構想にょ。
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1106/01/news035.html
これは別に革新的な技術で薄型化するというのではなく現在実現可能な技術の応用に
すぎないにょ。
薄型化においては強度面の問題があるけれど最も重要な部分は熱設計にょ。
TDPが高いCPUほど薄型化は困難であり、TDPが低ければ薄型化は容易になるにょ。
しかし、TDPと性能はほぼ反比例の関係にあるにょ。
現在のノートPCにおけるメインストリームはTDP35WだけどそれをTDP10W台にすることで
薄型化を行おうというのがUltraboookの根本的な部分にょ。

TDP35WのCPUが半分のTDP17Wになれば熱設計は遙かに容易になり薄型化が可能になるわけ
だけどこれが実現可能なのかという疑問を抱く人もいるかもしれないにょ。
しかし、これは現時点でもULV版(超低電圧版)CPUによって実現可能になっているにょ。
かつては、選別品であるが故に出荷数も限られており、それ故に高価だったULV版のCPUも
微細化が進み45nmで製造されたPenrynにおいては(中〜下位クロックにおいては)選別品で
ある必要性が無くなったにょ。
その結果として生まれたのが安価なULV版CPUを搭載によるCULVノートにょ。
CULVノートはネットブックに不満を持つユーザーに受け入れられたもののやはり大きく
重いことがネックとなりネットブックほどの爆発的なヒットには繋がらなかったにょ。
そこで登場するのがこのUltrabookというわけにょ。

ノートPCにおける変革といえばやはり記憶に新しいのが2003年に登場したCentrinoだと
思うにょ。
これは従来のモバイル用のメインストリームがPentium4-MのTDP35Wだったのを25Wに引き
下げるだけではなく高性能化や無線LANの標準化も同時に行っているにょ。
Pen4に導入されたNetburstアーキテクチャは確かに高クロック化には有用であり高性能化が
可能になったのは間違いないにょ。
そして、高クロック化されるとボトルネックになるのはバス性能だけどPen3ではFSBは
100〜133MHzだったのに対してPen4ではFSB400〜800MHz相当へと大幅に高速化したにょ。
ただし、その高クロック化と高速バスの影響で消費電力やTDPは大幅に上がってしまう
ことになったにょ。
Pen4-Mはクロックとバス速度を抑えることでTDPを35Wへと抑えているけどそれはPen4に
とっては性能ダウンの要因となってしまったにょ。(Pen4はクロック当たりの性能は
Pen3の0.7〜0.8倍しかないけど最初に登場したPen4-M 1.6GHzはすでに1.2GHzにまで達して
いたモバイルPen3と比べて性能面のアドバンテージがあるとは言い難かった)
そこで登場したのがPenMにょ。
従来のP6アーキテクチャをベースに改良したものに高速なP4バスによって消費電力を
抑えつつ高性能化を行ったにょ。
最初に登場したPenM1.3GHzでもPen4-M2GHzクラスの性能であり、Pen3と比べて十分な
性能向上があったにょ。

これはULV版CPUにも現れているにょ。
Pen3-M(130nmプロセスで製造されたTualatinコアのPen3)ではULV版はTDP7Wだったのに
対してBanias(130nmプロセスで製造されたPenM)ではULV版はTDP5.5Wへと下がっている
にも関わらず性能は向上したにょ。
そして、その後継であるDothan(90nmプロセスで製造されたPenM)はULV版はTDP5Wで
Baniasよりも高クロック化をすることで高性能化を行ったにょ。
それ以降も製造プロセスの微細化は進むもののデュアルコア化でTDPは9〜10Wになり、
ノースブリッジの機能をCPUに統合することでTDPは17〜18Wになることで現在に至って
いるもののCPUのクロックは1GHz少々のところで止まったままになっているにょ。
しかし、クロックは大して上がっていなくてもアーキテクチャの改良やデュアルコア化に
よって性能はPenM時代よりも格段に向上しているにょ。

このULV版CPUだけど従来は選別品であり高価だったために軽量かつ長時間駆動が求められる
日本メーカーのモバイルノートに採用されることが多かったにょ。
TDPが低いことで熱設計が容易になりそれが軽量化になったのと同時に消費電力が小さい
ことでバッテリ駆動時間が延びるためにそれが長時間駆動が求められていた国内のモバイル
ノートに多く採用される理由となっていたにょ。
しかし、それも45nmプロセスのPenrynで動的に電圧が変えられるようになり通常電圧版と
ULV版ではアイドル時の消費電力に差が無くなった(つまり、パワーマネジメントさえ
しっかり行えば通常電圧版CPUでもULV版とほぼ同じ駆動時間が可能になった)ということが
原因で長時間駆動が求められるモバイルノートに通常電圧版CPUを搭載するメーカーが
どんどん増えていったにょ。
もちろん熱設計の難易度は大幅に向上するもののコスト面の問題が大きいので廉価販売では
ないモバイルノートにおいてはそれほど大きな問題にはならなかったにょ。

では、Ultrabookとは一体何なのかというと要するにただの薄型軽量なCULVノートでしか
ないにょ。(少なくとも現時点においては)
それを考えると革新的でも何でもないのだけどこれは製造プロセスの微細化による恩恵が
非常に大きいにょ。
Ultrabookは今年の年末(米国のホリデーシーズン)に登場予定だけどそれにはULV版の
Sandy Bridgeが採用されるにょ。
Sandy Bridgeは32nmプロセスで製造されており、その性能は45nmプロセスで製造された
Penryn(Core2Duo)と比べて最大2倍程度の性能となっているにょ。
これは来年登場するivy Bridgeは22nmプロセスとなり、TDPは15Wになりながら性能面は
大幅に向上することが期待されているにょ。

ただ、やっぱりULV版だと通常電圧版よりも性能が劣るのがネックと考えている人がいる
かもしれないにょ。
ULV版Pen3-Mではある程度ガマンしないとWinXPが使えなかったけどULV版PenMでは普通に
WinXPが使えるようになったにょ。
しかし、Vistaが大幅に重くなりULV版でストレス無く使えるようになったのはWin7登場
後だと思われるにょ。
これは初期のCULVノート(デュアルコアCPU搭載モデル)を見れば分かるにょ。
次世代のWin8はWin7と比べて同等以下の重さと言われているのでOSの動作においては
少なくともWin8世代の間は不満を感じないレベルだと思われるにょ。(動画再生においても
再生機能は標準搭載されているためフルHDの動画でも低負荷で再生できる)
ULV版Sandy Bridgeは現時点ではCore i7-2677M(1.8GHz、TB時2.9GHz)が最高となって
いるけどこれは22nmのivy BridgeではULV版でも定格で2GHzの大台に乗る可能性は十分に
あるにょ。(ivy BridgeではTDPを変化させる機能を持っておりドックに使う場合はフル
パワーで動作させ、薄型軽量のため単体使用する場合は最高クロックを下げることでTDPを
下げるということを自動的に行うことが可能になっている)
ただし、そのような高クロック品は選別品であるため昔と同様に高価なものとなって
いるにょ。(Core i7-2677Mの提示価格は317ドルであり決して安くはない)

確かにULV版CPUを搭載のノートPCでも十分と感じる人は多くなるだろうけどTDP35Wの
通常電圧版のCPU搭載ノートからこのようなTDP10W台のULV版CPUを搭載のノートPCへと
メインストリームが移行するのかと聞かれたら疑問に感じる人もいることだと思うにょ。
しかし、それにはタブレット端末の影響が大きくなっているにょ。
昔は主に家族で共用するデスクトップPCに対してノートPCは個人が所有するパーソナルな
存在として考えられてきたにょ。
しかし、日本においては住宅事情もあって早い段階でノートPCの普及が始まったために
「ノートPC=パーソナルなPC」とは限らないにょ。
それに昔はノートPCはデスクトップPCよりも割高感も大きかったしね。
そこで登場したネットブックの存在こそ真のパーソナルなPC(1人1台のPC)として注目
されて、それ故に一時期は爆発的なヒットとなったにょ。
そのネットブックもXPのOEM供給が終了したために一気に終息してしまったにょ。
元々高い性能を持っていないAtomだけどこれはXPがネットブック限定でOEM供給を伸ばした
ために「必要十分な性能を持つPC」として受け入れられたけどOSやそれを取り巻く環境の
変化に対してAtomが高性能化を行わなかったためにネットブックは「安いだけのPC」と
いう認識が高まってしまったにょ。
そこに登場した真のパーソナルデバイスがタブレット端末にょ。

昨年登場iPadでブレイクした個人向けのタブレット端末だけどこれを受け入れるための
下地として重要なのがスマートフォンの普及にょ。
スマートフォンによってタッチパネルでの操作に慣れるとともに非Windowsの動作にも
慣れるということがタブレット端末において大きな追い風となったにょ。
PC向けのWindowsを搭載したタブレット端末が個人に普及しなかったのも高価ということ
だけが理由ではなくWindowsそのものがキーボードとマウスでの動作を前提としていることが
大きいにょ。
しかし、それはタッチパネル前提で設計されたOSの場合はタブレット端末において
キーボードが付いてないことはそれほどデメリットではないにょ。

スマートフォンが普及するのはほぼ確定事項なのだけどタブレット端末はまだ現時点では
スマートフォンほどの盛り上がりはなくあくまで普及するという予測が出ているという
だけに過ぎないにょ。
しかし、タブレット端末が普及すればパーソナルなコンピュータはタブレット端末に
勝るものはないにょ。
PCは概ね世界で年間年間3億台程度出荷されているのだけどすでにスマートフォンはそれを
凌駕するレベルであり、近い将来にはタブレット端末は年間数千万台規模にまで膨らみ
PCはその割を食う可能性があるにょ。
さらに先にはそれらの端末がPCの領域に完全に侵食してくる可能性さえあるにょ。

タブレット端末がPCの領域を侵食する前にパーソナルなコンピュータとしてのWindows PCの
下地を固めておく必要があるにょ。
すでにほとんどの家庭にWindows PCは普及しているもののPCは真にパーソナルなデバイス
にはなってないからね。(自分専用のコンピュータとして常にWindows PCを手元に置いて
いる人はかなり限られると思われる)
そのためにネットブックやCULVの失敗を生かして薄型軽量の実用的なPCをUltrabookと
定義することで普及させようとたくらんでいるにょ。
普及させるには安価で発売する必要があるけどネットブックにおけるAtomの安価な提供と
同じく条件付きで安価な提供をする可能性が高いにょ。
20mm以下の厚さに拘るならば「20mm以下の厚さのPCならば提供価格を半額にする」とか
条件を定めればそれに賛同するメーカーも多数現れるだろうからね。(CULVノートが
失敗したのはほとんど制限が無かったのが理由だろうし)

AMDも次世代APUではTDPを17.5Wまで引き下げることを予定しているにょ。
http://northwood.blog60.fc2.com/blog-entry-5118.html
これはやはり、IntelのUltrabook構想に乗っかかるためだと思われるにょ。
TDPが同程度であれば熱設計をし直すことなく同一筐体に搭載可能になるためにメーカーに
IntelかAMDかで選択を行えるようになるにょ。
すでにBobcatコアを搭載したZacate(AMD E-350など)ではTDP18Wが実現されているけど
こちらはCULVノートが競合というよりも実際はAtomが競合となっているにょ。
TDPからすればCULVノートと競合なのだけどダイサイズや価格面はAtomレベルだからね。
したがって、性能面ではSandy Bridgeには遠く及ばず(GPU性能だけはZacateの方が若干
勝っている)、Sandy Bridgeより高性能となるivy Bridgeと比べるとかなり分が悪いため
もうじき登場するBulldozerアーキテクチャを採用する模様にょ。

結局のところWindows PCは真のパーソナルデバイスになりきれてないというのがタブレット
端末の付け入る隙を与えている原因となっているためそれを解決することがUltrabookの
役割だと思われるにょ。
パーソナルデバイスになることで必然的に出荷数は増えてそれがデファクトスタンダードに
なれば結果としてそれがメインストリームになるにょ。
TDP35WのCPUを搭載のノートPCがTDP15〜17WのCPUを搭載のノートPCに切り替わるという
ものではなくWindows PCの底上げを狙っているわけにょ。
ネットブックで実現しようとして実現できなかったことをUltrabookで実現しようという
わけにょ。
このUltrabookが防波堤になることでタブレット端末がかりに真のパーソナルデバイスに
なったとしてもそれより上のラインまでARM系CPUを搭載のコンピュータが侵食する危険性を
防ぐことが可能になるにょ。




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