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おちゃめくらぶ掲示板

478御茶目菜子:2010/12/25(土) 14:02:58
漫画によって電子書籍は普及する!?
今回の東京都の青少年育成条例の改正を見て都の対応が気に入らないならば本格的に電子
書籍に力を入れれば良いと考えている人もいるけどそういうわけにはいかないにょ。
それは著しい規制が加わったとはいえ、例えばiBooksで出版する際にはさらに大きな
規制があるからにょ。
日本の漫画が海外で評価されているからといって海外への販売を考えるならば手直しを
しないとそのままでは難しい作品が非常に多いのは事実にょ。
確かに最初から海外を視野に入れて作るという方法もあるけど「海外」とひとくくりに
して考えることは出来ないにょ。
国によって大きく基準は異なるために規制の厳しい国に基準を合わせなくてはならなって
しまうからね。

そうなると日本では日本用に作り、その中から海外向けに売れそうな作品はその国の
事情に合わせて修正を加えるというのがベストにょ。
元々言語が異なるので「修正無しで販売」という選択肢はないからね。(コアユーザー向け
として日本語、無修正版を年齢制限を付けて売るという方法もあるけど)
そもそも最初から海外ウケを狙って作ったものというのは日本でさえヒットするかも
怪しいにょ。
それは価値観の違いが大きいにょ。
最初から万人受けを狙った作品というのは凡庸になりがちであり誰からも見向きされない
可能性があるにょ。

ヒット作品というのは多くがターゲットを絞ることで成功しているにょ。
しかし、それらは必ずしもコアユーザー向けというわけではないにょ。
最初からコアユーザー向けのタイトルであればそのユーザーにマッチした表現を用いると
いう方法が使えるけどそこまでコアではなくかといって万人向けというほどではないという
作品・・・言い換えれば、個性はあるけどある程度間口が広い作品がヒット作品へと
繋がる可能性が高いということにょ。

そう考えるとパイを大きくするために海外を視野に入れて凡作(当たり障りのない
表現やストーリーの漫画)を作るというのはいかに無意味なことかが分かるにょ。
海外の人と日本での共通の価値観を持った上でおもしろい作品が作れるというすごい人
ならばあらかじめ海外を意識して作ってもいいけど海外の前に国内でヒットしないと話に
ならないからね。(そもそも日本人でさえひとくくりにできないわけだし、日本でヒット
しない作品が海外向けに翻訳されるとは思えない)
つまり、海外を視野に入れるからこそ日本で売れる土壌(漫画の裾野を広くする)が
ないと話にならないということにょ。(「クールジャパン」ともてはやされお金になり
そうだから海外向けに日本の漫画を変えるというのが逆に漫画をダメにするということに
まずは気づく必要がある)
最初からすべての漫画を海外事情に合わせて作るなんてことは完全に無意味なことである
ことが分かると思うにょ。

人気(ヒット)作品や傑作と呼ばれる作品というのはいきなり登場することはないにょ。
多くの凡作があるからこそ人気作が出てくるという単純な理論にょ。
これは、コアユーザー向けの作品があるからこと万人向けの作品が受けるという考えも
あるにょ。
「人気商品しか存在しない」市場なんて漫画に限らずどんな分野であってもあり得ない
からね。

紙の書籍ではなく電子書籍であれば国境を越えることは容易に可能にょ。
日本においては古くから電子書籍は存在するけど実際にそれなりの支持を獲得したのは
ケータイ向けのサービスだけと思われるにょ。
そんな中、北米ではKindleやiPadなどによって電子書籍は普及の兆しを見せており、その
影響はようやく日本にも及び始めたにょ。
iBooksはまだ日本ではサービスを開始していないもののシャープのGALAPAGOSやソニーの
Readerという日本独自のサービスをスタートすることでiBooksの本格参入する前にシェアを
獲得しようとしているのだけど規格が乱立するというのはあまり好ましい状態ではないと
思うにょ。

電子書籍であれば出版社の直売が容易だし、作者が直に販売することも可能にょ。
そうすれば高い利益率を確保できるけどリスクが大きくなるために既存のサービスを
利用するという方法がベターといえるにょ。
日本ではiBooksが本格参入してないとはいえ、すでに日本の作家でiPad向けの電子書籍を
販売している人は多くいるからね。
ただ、日本では出版社、取次、書店のバランスのためになかなか出版社の意向だけで
電子書籍へ本格的に参入するのは難しい状態にょ。
日本では漫画が多く売れているのだけどGALAPAGOSにしろReaderにしろラインナップを
見てみるとビジネス書や文芸書が多く、書店では多く売れているはずの漫画はほとんど
揃ってないにょ。
これは書店とのバッティングを防ぐためと考えられることができるにょ。

漫画のラインナップが乏しいのはそれだけではないと思うにょ。
デファクトスタンダードと言われるような端末が存在しないというのも大きいにょ。
12月7日にも書いたようにテキストメインの書籍であれば画面サイズ、解像度によって
文字サイズが自由に変えることができ、自動段組も可能なのだけど漫画の場合は絵と
文字を同時に読むことが重要になるため元の1ページ全体を丸々表示した状態で読むことが
できることが望ましいにょ。
つまり、漫画を読むならそれに合ったスペックの端末が必要だけどそれは現時点では
デファクトスタンダードとして存在しないから漫画を積極的にラインナップに加えてない
というのが大きいかもしれないにょ。

それに加えて表現の問題が存在するにょ。
出版社側としては自主規制をしているもののそれでも仮にGALAPAGOSやReader向けに出す
のであればそれらの基準を満たす必要があるからね。
それは一般流通している漫画(非18禁漫画)が過激という意味ではないにょ。
販売部数が多い人気作品は取次との兼ね合いで難しいだけだろうけど部数がそれほど多く
ないけど過激な描写が含まれる作品は(出版社の基準よりは自主規制が厳しいであろう)
電子書籍では難しいというだけにょ。
「過激な性描写は売れるために入れているだけ」と考えている人も中にはいるけど実際に
国内で売れている上位の漫画で過激な性描写を含んでいるものはほとんどないにょ。
「性描写がウリ」ならばそれこそ18禁漫画として出せばいいのだけど多くの漫画は
性描写はアクセントの1つとして取り入れているに過ぎないにょ。
例えば昨日も書いた「ラブひな」は性描写がウリだけの漫画と感じる人は(少なくとも
漫画を普段から読んでいる人であれば)ほとんど居ないと思うにょ。
ただ、残念ながらそれは漫画をあまり読まない人には理解されないにょ。(絵が含まれて
いない小説の場合はそれらよりも基準は緩いけど漫画だけ不当に評価されている)

電子書籍化は漫画家にとっても大きな影響を与えるにょ。
漫画家はあらかじめ出版社が定めた自主規制の範囲を最大限に用いてより良いと思う
作品を描こうとしているにょ。(自分が描きたいというのではなく編集部の意向や人気
取りの意向が多く入っているだろうけど)
そういう面においてあらかじめ特定サービス向けの電子書籍をターゲットにして描いた
作品ならいいけど端末(サービス)によってその基準が変わるならば描く方も基準が
厳しい方に合わせる必要があるにょ。
海外向けに売るのであれば言語の関係から修正作業は余儀なくされる(性描写、暴力
描写だけではなく宗教描写なども厳しい国がたくさんある)けれど日本国内向けで
わざわざ特定端末向けに修正作業をするというのは労力の面だけではなく作者の意図も
損ねかねないにょ。(ワンピースでも北米向けでは大幅な修正が行われている)
それに電子書籍と紙の書籍では契約が異なるためそれを了承できない作者も少なくない
だろうからね。(印刷費用がかからないのに作者の取り分は電子書籍と紙の書籍では
同程度だったり、紙の書籍では本来は作者にその原稿を所有する権利があるけど電子
書籍の場合は出版社にその権利が取られてしまう場合があったりという契約の問題がある)

出版不況の中、それを支えているのは漫画だけどその漫画も先日の都条例の改正で
今後の行方が分からなくなってしまったにょ。
そして、「紙の書籍がダメなら電子書籍にすればいいじゃない」という考えも今回書いた
ように単純に電子書籍化ができず、問題解決手段にはならないということが分かるにょ。
今後は紙の書籍において漫画のレーティングが導入されるのは時間の問題だと思うけど
それと同じように電子書籍の方でもレーティングが進まないと漫画の本格的普及は望め
ないと思われるにょ。
現時点ではiBooksでは年齢制限のある書籍は扱ってないので漫画の電子書籍化で海外市場を
狙うというのは簡単なものではなく国内でもそれは簡単ではないにょ。
逆に言えば普通に売られている漫画のほとんどが電子書籍で読めるようになった時こそ
電子書籍が普及したといえるかもしれないにょ。




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