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おちゃめくらぶ掲示板

427御茶目菜子:2010/11/08(月) 13:35:15
スマートフォンを知るにはPDA(電子手帳)も知るべし
最近はスマートフォンが高い注目を浴びているけどそれはすでにPDAで一度は通った道にょ。
スマートフォンというのは端的に言えばPDAに携帯電話の機能を備えたものでしかないわけ
だしね。
そんなPDAを集めた展示会が秋葉原でこの度開催される予定となっているにょ。
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20101106/etc_mica.html

PDAといっても明確な定義があるわけではないのだけど国内でいえばシャープから発売
された「ザウルス」シリーズが最も高い人気を集めていたにょ。
そのザウルスの元になったのが電子手帳にょ。
それらをアーキテクチャ別に大きく分けたら次のようになるにょ。

(1)80年代 電子メモの時代
(2)1987〜 PA-7000登場
(3)1990〜 DB-Z(PA-9500)登場
(4)1993〜PIザウルス(PI-3000)登場
(5)1996〜MIザウルス(MI-10)登場
(6)2002〜リナザウ(SL-A300)登場

(1)電子手帳の歴史はまさにポケコンの歴史と重なるにょ。
両者とも電卓事業から発展してできたものだからね。
ポケコンが「BASICによるプログラミング」に主体を置いていたためQWERTYキーボードを
搭載し、見た目は電卓からかなり異なるけど電子手帳の元となった電子メモはデータ
バンク機能付き電卓ということで多くの機種が電卓そのままだったにょ。
当初はアルファベットのみだった文字表示もカタカナが使用できるようになり、当初は
電話番号を50件くらいしか記憶できなかったのが搭載メモリ増加によって増えていったにょ。
この電子メモ機能(データバンク機能)はポケコンPC-1246DBにも搭載されているにょ。
逆に電子メモの中にはポケコンのメモリーカードやカセットインターフェイス(CE-124)が
使えるPOCKET DB(PA-500)のような製品もあるにょ。
これを見ても電子メモとポケコンの関係は非常に密なものであったといえるにょ。

(2)やはり電子手帳の本格的な幕開けはPA-7000にょ。
電子メモがおまけ機能を脱却できてなく紙の手帳(スケジュール帳、アドレス帳)の代用が
できるレベルではなかったにょ。
それは漢字が使えないからにょ。
そこで登場したのが初の漢字対応電子手帳のPA-7000にょ。
「電子手帳」と呼ばれる製品はPA-7000以前に多く存在したけど多くの場合は電子手帳の
起源がこのPA-7000を元として考えられているのは「漢字が使える」ということが非常に
重要となるからにょ。

とはいえ、これが誕生できたのも前年にすでに漢字対応ポケコンであるPC-1360Kが登場
していたからにょ。(実際はそれより前に登場していたPC-1600Kが初の漢字対応ポケコン
だけど価格帯も別格である)
ただ、CPU性能不足でPC-1360Kは漢字を表示するだけでももたつきが感じられるため
PA-7000は同じアーキテクチャ(ポケコンと同じSC61860というCPUをベースにしたもの)
であるけどより高クロックにしたものが採用されているにょ。

PA-7000はメモリ搭載量が16KBと非常に貧弱だったとはいえ、これは現在から考えれば
貧弱というだけであって87年当時のポケコンと比較すれば非常に大容量といえるにょ。
何せPC-1360Kはメモリ8KBだったわけだしね。

(3)ポケコンがPC-12/13/14のSC61860からPC-E500のSC62015へとアーキテクチャ変更した
ように電子手帳もCPUを変えてきたにょ。
それはやはり大画面化(192x145ドット)によって従来のCPUでは明らかに性能不足と
なったからにょ。
そうやって登場したのがDB-ZシリーズであるPA-9500にょ。
ただし、SC61860とSC62015はアーキテクチャがまるで異なり互換性がないためアプリの
互換性(当時の電子手帳用アプリはICカードにROMを内蔵して販売されていた)も無くなる
ため両方のCPUを搭載していたにょ。
メモリも当時の最新ポケコンPC-E550と同じ64KBを搭載したにょ。

ただし、大幅なスペックアップは価格に大きな影響を与えたにょ。
PA-7000が定価19800円だったのに対してPA-9500は48000円だったからね。
翌年発売のPA-9550はさらに2倍の128KBのメモリを搭載したけど定価は59000円に達して
しまったにょ。
このDB-ZシリーズでPDAの高性能化が始まったわけだけど言い換えれば高価格化もここから
始まったともいえるにょ。

異端児となるのは92年に登場したPV-F1にょ。
従来のDB-Zとは異なり後のPIシリーズのようなピュアタッチパネル形状でありPIザウルスの
元祖・・・とも考えられるけどアーキテクチャ的にはDB-Zと同じになっているにょ。
しかし、DB-Zより格段に大きいQVGAの大画面に加えてメモリを288KBを搭載したせいか
定価は128000円になってしまったにょ。

(4)「PDA」として考えるならば元祖はこのPIザウルスと考える人も多いかと思うにょ。
PDAには明確な定義がなくアプリの導入が容易な自由度の高い電子手帳という程度のもの
だけどやはり93年に登場したニュートンによってその言葉が広がったというせいも
あるにょ。
しかし、すでにニュートン発売前にシャープはPV-F1を売り出していたからね。

さて、ザウルスシリーズ元祖となるのはPI-3000にょ。
液晶解像度はPV-F1よりも劣る239x168(約1/8VGA)だけどメモリはPV-F1と同じ288KB
搭載し定価65000円とPV-F1の半値まで下げたにょ。
PI-3000はSC62015を搭載している(クロックはPC-E500系より2倍くらい速くなっている)
もののSC61860は搭載していないにょ。
そのためICカードはDB-Z用のものは使えるけどそれ以前の機種向け(2行、4行用)の
ものは使えなくなってしまったにょ。
しかし、サブCPUとしてZ80を搭載しているにょ。
これは手書き認識用として使われているにょ。
このツインCPU構成によってザウルスは低スペックながら快適な動作が実現されたにょ。

(5)テキスト主体の処理であればPIシリーズでも問題なかったけど画像を扱うのであれば
とてもCPU性能が足りず、普及が始まっていたインターネットに対応できなくなって
しまったため登場したのがMI-10(カラーザウルス)にょ。
http://web.archive.org/web/20010218164527/www.sharp.co.jp/corporate/news/960509.htm
ポケコンの進化が止まっていたためこのMIシリーズからはポケコンとアーキテクチャが
完全に変わってしまったにょ。
CPUは32bitRISC CPUであるSH3を搭載し、動作メモリは1MB、フラッシュメモリを2MB
搭載し、カラーTFT液晶を搭載しているにょ。
そのせいで定価は12万円まで跳ね上がってしまったにょ。

従来のPIシリーズはポケコンのようにSRAMを搭載していたため使用中は本体の動作メモリと
記録用メモリは共用であったけどMIシリーズはPCのようにDRAMを用いたため記録用に
別途フラッシュメモリが不可欠になったにょ。(カタログ上ではDRAMとフラッシュメモリ
合算量が記載されている場合が多かったので搭載メモリの割りに記憶容量が小さかった)
これは大容量化を実現するというのと同時に電池交換時(というか電池切れ)の際に
データが消えてしまうという問題を解決するという役割も担っているにょ。
またこれによって本格的なOSを搭載することも可能になったにょ。

大型化したMI-10は「弁当箱」とも呼ばれていたけど翌年登場したパワーザウルスMI-504
では体積、重量ともに一気に4割減らしようやくスーツの胸ポケットに入るレベルの
サイズになりザウルスシリーズは完全にPIからMIへと世代交代が始まったにょ。
http://web.archive.org/web/20010218154956/http://www.sharp.co.jp/corporate/news/970623.htm
DRAMも2MBとなり、これがMIザウルスのベースとなったにょ。(DRAM1MBのMI-10では動作
しないアプリも多い)

DRAMはMI-C1で8MBに拡大されてようやくVGAを超える画像が扱うことができるようになり
(XGAまで扱えるようになった)さらに大きく変わったのが2000年に登場したMI-E1にょ。
http://web.archive.org/web/20010413164807/www.sharp.co.jp/corporate/news/001121-1.html
従来は横型だったザウルスだけど半年前に登場したMI-P10と同じく縦型に変わったという
だけに止まらずMP3やMPEG4の動画再生なども標準で可能になったにょ。
PIM中心だったのがネット中心になりさらに多目的に使えるようになったPDAの象徴とも
いえるモデルにょ。

(6)時代が経つにつれてMIシリーズはOSの設計の古さが目立ってきたにょ。
MIザウルスより後に登場したPalm OSやWindows CEは何度もバージョンアップを重ねて
きたけどザウルスOSはほとんど変わらなかったからね。
そこでOSを一新して登場したのがLinuxザウルス(リナザウ)にょ。
最初に登場したのはSL-A300だけどリナザウの象徴といえるのは同年に登場したSL-C700
だと思うにょ。
ポケットサイズのQWERTYキーボード搭載でクラムシェル型のコンバーチブルスタイルは
まさに私が理想としていたモデルだったにょ。(それにVGA液晶だったし)
http://web.archive.org/web/20021114152121/http://www.sharp.co.jp/corporate/news/021112-1.html

ただ、動作用メモリが32MBでは足りないためもっさり気味だったのとバッテリ駆動時間が
従来機種より短くなってしまったのは難点だったにょ。
それも翌年登場のSL-C750/C760で改善されたにょ。
それ以降CPUの強化や1インチHDD搭載モデルの登場など多くの派生機種が登場したものの
大きな変更をすることなく2006年に登場したSL-C3200をもってザウルスシリーズは終息して
しまったにょ。

それ以降は昨年登場したUbuntu搭載のNetWalkerは成功したとはいえない状況だし、今後
登場するAndroid OSを搭載したGALAPAGOSはどうなるのかというのがはっきり見えて
来ないにょ。
黎明期から現在までシャープ製のPDA(およびその原型)の流れをざっと見てきたけど
時代によって大きく設計思想が変わっているのが分かると思うにょ。


とりあえず、私も手元にあるPDAをいくつか紹介しようと部屋の中を漁ってみたにょ。
見つかったのは下記の4台にょ。(まだ多くの機種が部屋の中に眠っている)

http://ww5.tiki.ne.jp/~ochame/test/pda.jpg
 ◎ザウルス PI-6500
 ◎ザウルス MI-E1
 ◎コミュニケーションパル MT-300
 ◎Palm m100

PI-6500はPIシリーズの末期(1996年)に登場したものであり完成系に近いものにょ。
http://web.archive.org/web/20010218163959/www.sharp.co.jp/corporate/news/961112.htm
PIシリーズでサポートされているほとんどの機能を持っていながら定価55000円と非常に
安価であったため購入したにょ。(当時はHP200LXとどっちを買うか迷ったけど地元には
HP200LXを置いている店がなかったのと予算の問題もあってPI-6500を選択した)

ただ、本体は安くてもオプションは高かったにょ。
内蔵メモリはSRAMということでポケコンと同じくいつ消えるかドキドキして使う必要が
ある(電池交換を誤るとデータが消えてしまう)ため大事なデータはバックアップが必須
だったにょ。
というわけで買ったのが1MBの専用フラッシュメモリにょ。
1MBで定価13000円(購入時の金額で1万円弱)というのは非常に高価(同容量のスマート
メディアと比べて数倍高価だったけどこれは専用品である宿命だから仕方ない)だけど
プレステ用メモリーカード(128KB)の8倍の容量と考えれば納得できる価格だったにょ。
さらに10年前のPC-1350の頃は8KBのメモリーカードが定価18000円だったからそれを
考えれば1MBは破格の大容量だったにょ。

あと携帯電話接続アダプタによってモバイル環境下にパソコン通信も行えるのだけど
このケーブルが何と定価22000円だったにょ。
あとBASICカード(プログラム関数カード)も買ったのでそれを合わせると定価ベース
では10万円に達したにょ。

MI-E1に関してはすでに上記のような通りだけど携帯電話接続ケーブルはただのケーブル
である(モデム機能はCPUで行っている)ため4500円と非常に安価になったにょ。
MT-300はかつてのポケットボードと同じように携帯電話と接続することを前提とした
ザウルスであり他の通信の選択の余地がないにょ。(赤外線ポートのみ搭載)
その代わり携帯電話接続ケーブルは本体に内蔵されているためコスト面では追加投資が
要らないというメリットがあったにょ。
乾電池が使えるサブ機として買ったものの出番はほとんど無かったにょ。

Palm m100は安いPalmがどれだけ使えるのかということで実験で買ったものにょ。
Palm OS機といえばCLIEも持っていたけど部屋の中に埋まった状態で見つからなかったにょ。

PDAはもうほぼ絶滅状態だけどスマートフォンとして生まれ変わり活気づいているという
のを見ると昔からの流れを見てきた1人としてはなかなか感慨深いものがあるにょ。
PA-7000で漢字表示が搭載されて話題になったように今となっては「搭載されているのが
当たり前の機能」であっても昔はそうではなかったわけだからね。
「温故知新(故きを温ねて新しきを知る)」とことわざにもあるように古いものを知る
ことで新しいものへの理解もより深まると思われるにょ。




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