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おちゃめくらぶ掲示板

344御茶目菜子:2010/08/21(土) 13:21:25
紙の書籍だけでは生き残れない
7月23日には米国では条件付きながら電子書籍が紙の書籍を売上を超えたということを
書いたにょ。
日本においてはケータイ向けに雑誌や漫画やグラビアなどを配信しているもののまだ
本格的には書籍のネット配信サービスは開始されてないにょ。

電子書籍が紙の書籍を超えることなどできないから問題ない・・・という考えもあるけど
それは紙の書籍だけで商売が成り立っている間だけの話にょ。
今後5年で日本の書籍市場全体の売上は現在の3割減になるという試算が出ているにょ。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/mobile/20100820_388236.html

売上減が直接影響するのは販売店(書店)にょ。
ただし、書籍には再販制度と委託販売制度(返本制度)が導入されているにょ。
その2点をそれぞれ見ていくにょ。

まず、再販制度だけどこれは定価販売を強制する制度であり、著作物の一部が対象と
なっているにょ。
その一部というのが書籍、雑誌、新聞、音楽CDにょ。
この再販制度によって全国どこの書店に行っても同じ価格で書籍を購入することが可能に
なるだけではなく値崩れというものがないため古い製品も比較的買いやすくなって
いるにょ。

もしも再販制度が無ければ競争力は上がるだけどうけどその反面書店の店頭は売れ筋
以外は置かれなくなってしまうかもしれないにょ。
再販制度に関しては賛否両論あるけれど海外では再販制度を導入しているところは
徐々に減ってきているにょ。
また、再販制度にも時限制を導入している国も多いにょ。
日本においても音楽CDは再販制度の効力は1年の時限制となっているにょ。
ただし、後述の委託販売制度により値引きされずに返品されてしまうことが多いにょ。
書籍も時限制の再販制度になれば効力が切れた古い書籍はどんどん返本され古い書籍が
店頭から消えてしまう可能性が高いにょ。

次にあるのは委託販売制度、つまり、返本制度にょ。
書籍は出版社から取次店に出荷され、そして書店に出荷されるにょ。
出版社はその本が売れなくても取次店に出荷した時点で代金を受け取るのだけど書店は
返本が可能であるため一定期間をすぎたら返本するにょ。(週刊誌の場合は、当然
発売から1週間で返本となる)

返本された分に関しては出版社が代金を返す必要があるにょ。
ただし、その全額を負担するわけではないにょ。
というのも新しい書籍は随時販売されているためそれと相殺で計算されるためにょ。
ある程度は返本対策の予算をプールしておく必要はあるけどね。
かといって、すべての書籍に対して返本制度が導入されているわけではなく一部の書籍は
対象外となっているにょ。
それには受注生産となるOVA付きのコミックス等やハリーポッターなどがあるにょ。
ハリーポッターの日本語版を出版している静山社はハリーポッター以外に大きく売れる
出版物がないため上記のように返本代金を新たな出版物で相殺ができないにょ。
そのため返本不可にしているにょ。(その代わり卸値を下げている)
あとお客から特注の本に関しても同様に返本不可となっているにょ。

ここまで書くと書店、取次、出版社の役割分担が分かると思うにょ。
出版社にとって書店はお客へと販売するための大事な窓口であり、(出版社にとって)
取次は代金の支払いをしてくれる顧客であり、書店への配本を調整する役割も担って
いるにょ。

では、ここで売上が3割減になり書店が閉鎖した場合のことを考えてみるにょ。
ある程度の返本に対しては新規発行分で対応できるため問題ないけど閉鎖によって
大量返本があった場合は出版社が連鎖倒産してしまう可能性があるにょ。
もっとも上記のような小さな出版社の静山社のようなものでない限りはそれなりには
プールしているためよほどの数がない限りは大丈夫だろうけどね。
売上がどんどん減っていけば徐々に返本による影響が大きくなるためかなり厳しい状態に
なってしまうにょ。

さて、国内の音楽市場を考えてみるとCDの売上は2000年頃をピークに年々売上は減り続けて
いるにょ。

http://www.riaj.or.jp/data/cd_all/cd_all_m.html
 2000年 5239億円 41405万枚
 2005年 3598億円 30126万枚
 2009年 2460億円 21006万枚

しかし、CDを買う人が減っただけであってiPodの爆発的な普及、ケータイの着うたの
ダウンロードなどで音楽を聴く人自体はそれほど減っているわけではないと思うにょ。
ネット配信に関しては2005年以降の資料しかないけどそれを見てみるにょ。

http://www.riaj.or.jp/data/download/index.html
 2005年  343億円
 2009年  853億円

2005年と2009年において音楽CDとネット配信の合算を行うとこのようになるにょ。
 2005年 3941億円
 2009年 3313億円

確かに4年間では減っているもののネット配信があることでかなり救われているにょ。
ネット配信が無かったらCDを買っていたというユーザーもあるから単純に音楽配信分
だけ増えたとは言い難いけれどそれでも確実にプラスに働いていると思うにょ。
CDの売上が減ったのは違法ダウンロードによる影響を重要視する見方が多いけどそれが
正しいとすれば公式にネット配信をすることで違法ダウンロードユーザーの増加を抑制
しているということがこの結果から見えてくるにょ。

では、書籍はどうなのか・・・?
上記リンク先の試算では書籍のみで5年間で2700億円くらい売上が減ると予想されて
いるにょ。
また、これに雑誌の売上減も加えるとさらに大きくなるにょ。(国内の電子書籍&雑誌の
昨年度の全体売上は464億円)
書籍よりも雑誌の方が近年落ち込みが厳しくなっているからね。
これはWeb普及によって情報の多くがネットで入手可能になったため雑誌の相対的な
価値が落ちてしまったというのもあるにょ。
ぴあ(関西版)も10月発売号をもって休刊となるにょ。
http://www.asahi.com/national/update/0730/OSK201007300075.html
一部の雑誌では付録によって売上を大きく伸ばしているためやはりネットの影響が
大きいということがいえそうにょ。(現在の技術では立体物はダウンロード不可能)
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51047802.html

そうなると早めに手を打たないと本当に手遅れになってしまう可能性があるにょ。
書店が倒産してもアマゾン等のネット通販が生き残るもののそれだけで需要を十分に
満たすのは難しいにょ。
ネット配信サービスというのは店頭販売があって初めて生きてくるからね。
雑誌も定期購読しているものでなければ書店で立ち読みして気に入ったものを買うと
いう人も少なくないだろうから書店が無くなれば販売機会を失うことになるにょ。

現状で出版社が電子書籍に対してあまり本腰を入れないのはそういった書店保護という
考えはできるものの本質的なものはそこにはないにょ。
日本においては書籍の著作権管理が欧米よりも複雑だというのもあるけどやはり電子
書籍には紙の書籍にある再販制度が適用されないというのもありそうにょ。
再販制度が適用されないということは価格の拘束力がないわけなので書籍に対する
絶対的な価値(=額面価格)というものが無くなるにょ。

例えば紙の書籍で1000円の本が電子書籍で500円だったらその本の価値は500円程度と
ユーザーは感じてしまうにょ。
音楽もネット配信によってCDの価値が下がったことによる売上低下は否定できないにょ。
上記結果ではCD売上が下がっても配信が伸びているため問題ないと考えられるけど
書籍で同じようにできる保証はないにょ。
かといって電子書籍に再販制度を導入するのはナンセンスにょ。
紙の書籍で1000円の本を電子書籍として1000円で買いたいかというとほとんどの人が
そうは思わないだろうからね。
最初から自炊(=自分でスキャンしてデジタルデータにする人)目的で買う人ならばその
手間が無くなるため電子書籍の方が良いと感じるだろうけど・・・。

電子書籍が現時点でまともにネット配信されてなくても現時点でも自炊した人のデジタル
データがネット上に不正に流通しているため音楽配信のように公式配信がないと売上は
落ちる一方にょ。
音楽も配信の方が主流になりつつあるけどコレクターの人はやはり現物を買う(デジタル
データではなくパッケージ品を買う)ということもあるので完全には廃れないにょ。
紙の書籍も同じように「現物を買う」という人がいるため完全に廃れるような時代は当分
やってこないだろうけどそれまで何もしなければ出版社も生き残ることはできないにょ。




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