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おちゃめくらぶ掲示板

313御茶目菜子:2010/07/27(火) 12:58:41
ビジネスモデルを変えるのは難しい
アニメのDVDを買ったことがある人であればその価格の高さに驚くと思うにょ。
TV放送されたものがDVD化されただけで3話入りで5800円〜7800円くらいするからね。
タイトルによって大きな差はあるものの深夜アニメの場合は概ね1話当たり2000円前後
となっているにょ。
なぜこんなに高価になるのかというとDVDを販売することで制作費を回収するビジネス
モデルとなっているからにょ。

深夜アニメの場合は1話当たりの制作コストは概ね1000万円程度となっているにょ。
この価格が高いかどうかというとまた微妙になるけど内訳を見ると動画の場合1枚約200円
程度でこれが1話あたり2000〜4000枚、原画(背景など)でも1枚2000円程度が相場と
なっているにょ。
声優の人件費は1人当たり最低1.5万円(その声優のランクによって大きく異なる)と
なっており、その他もろもろを合算すると1話あたり約1000万円になるということにょ。
アニメを見ていればそのスタッフロールの多さに気が付くと思うけど30分アニメの
場合一般的には3〜4週間かけて作られているにょ。(複数のチームに分かれたり、外注
したりで毎週の放送ができている)
それらの人件費を考えれば1000万円という費用は格安といってもいいにょ。

しかし、1000万円を回収しようとなると至難の業にょ。
1話当たりの販売価格を考えると定価の半分が製造料や流通コストで消えると考えた場合
にはDVD売上1万枚が損益分岐点になるにょ。
ただし、一説によるとオリコンの初動売上で3000本越えると一般的な深夜アニメは元が
取れるらしいにょ。
これはオリコンの売上は出荷数より小さめに出ている(メガヒットの場合は誤差は小さい
けれどマイナー作品は相対的に誤差が大きくなる)のと上記の「定価の半分」という
計算がアバウトであるのが原因だと思うにょ。

3000本くらいなら簡単に売れるのでは・・・?と思うかも知れないけど実際はそれに
達するのはせいぜい5作品に1本くらいにょ。
つまり、8割の作品が赤字を2割の作品の黒字でカバーする必要があるにょ。
タイトル数が増えるにしたがいこのような傾向が高まってきたのだけど実際売れる作品は
売れているため一部のヒット作で赤字分を回収することは可能となっているにょ。
ただし、2006年をピークにTVアニメの数は右肩下がりになっているにょ。
これは、上記のように大半の作品が赤字だからにょ。
ヒット作品を出せば今までの赤字が回収できるとしてもリスクが大きすぎるからにょ。
DVDを売ることで投資した分を回収するというビジネスモデルにはもう限界がきている
ということにょ。(一番おいしいのはヒット作品を抱えている出版社だけど昨今の
アニメ化作品の増大によって原作の枯渇化が見え始めている)

そもそもアニメというのは映像作品として売るために作るのではなくおもちゃを売る
ために作られたものだったにょ。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1007/26/news010.html
そのためおもちゃメーカーがスポンサーとなってアニメに投資していたにょ。
それは昔は映像作品として売るというのが難しかったと言うのが一番の理由にょ。
80年代前半だとVHSデッキでさえ普及していなかったからね。
VHSが普及し始めた90年代、そして90年代末期のDVDの普及開始によって現在の多くの
深夜アニメで導入されているDVD(映像作品)として販売することによる投資を回収する
ビジネスモデルができあがったにょ。

深夜アニメの多くはこの映像コンテンツを売ることをメインとしたビジネスモデルと
なっているのだけど子供向け作品では今でも昔ながらのビジネスモデル(おもちゃの
宣伝をするためにアニメを作っている)となっているにょ。
これで成功したのは最近だと「ジュエルペットてぃんくる☆」が挙げられるにょ。
ジュエルペットはおもちゃを売るのが目的であるためDVDは通常のアニメでは考えられない
4話入りで1380円という破格値となったにょ。
深夜アニメはそれと同じように考えればDVDを売るためにTVで放送(宣伝)するという
ことをしているともいえるにょ。
実際TVで放送するというだけで知名度が段違いに高くなるからね。

ただし、放送したものが映像であるためTV版で満足してしまえばわざわざDVDを買うと
いうことも無くなるにょ。
TV放送したものをわざわざ買うなんて一部のアニメオタクに限られるからね。
アニメ好きの大人は数100万人はいると思うけどその中でDVDを買うとなるとかなり
限られてくるにょ。
TVアニメだと最大に見積もっても1巻当たり10万本程度の売上だからね。(出荷ベース
だと10万本を超えている作品もあるけど)
最近では化物語が1巻当たり7〜8万本というガンダムシリーズと同レベルの販売本数を
記録し話題になったにょ。
この春の新作であればAngel Beats!の1巻が初動3.4万本という売上を記録したにょ。
1巻あたり3万本というのは年間ではトップ3に入るくらいの作品であり1年間に100作品
以上作られていることを考えればそこまで売れることを前提に考える(売れることを
見越して宣伝費用をかけたりする)のは無理があるにょ。

やはりDVDだけでは限界があるので重要となるのが版権ビジネスにょ。
現在ほとんどのアニメが制作委員会システムを取っているにょ。
これは複数の企業で投資をすることでリスクを分散するものにょ。(得られた利益も
その出資割合によって分配される)
この方法によって小さなアニメ制作会社でもTVアニメを作ることが可能になっているにょ。
これによってリスクが分散されるというメリットがあるものの問題は考え方の異なる
複数の企業が出資することで作る側の自由度が減ってしまうということにょ。
スポンサーの指示には逆らえないためプリキュアやリルぷりなどの変身もののアニメでは
変身グッズを売るために毎回変身シーンを入れるという制約があるにょ。(ネギマ!?
では、TVに100枚のネオパクティオカードを登場させるようにプロデューサから指示が
あったのは有名な話)
それに近年表現規制が厳しくなっているせいで自由度が失われているというのも原因と
なっているにょ。
つまり、「作りたいものが作れない」ということにょ。

TVで放送するということで知名度が上がりDVD売上にも貢献できるけどTV放送するには
大きなコストがかかり、なおかつ上記のように制約も大きくなるという難点があるにょ。
かといって、制作委員会システムをとらず、宣伝も控えめにしてオリジナルのOVAとして
販売しても売れる見込みはほとんどないにょ。
最近話題になっており、(商業的に見て)ハズレ作品がない京都アニメーションでも
自社原作のOVAのMUNTOはさっぱり売れなかったからね。
映像作品を売るためにはそれなりの作品知名度がないと厳しいということにょ。

これが人気原作であれば原作ファンの支持があるために売上はそれなりに期待できるため
最初から原作ファン向けに作られてコミックスとセットで売られるOAD(※講談社命名)
というシステムも最近は多く取り入れられているにょ。
ネギまはTV版1期が平均1万本少々の売上だったのに対してOADでは8万本の売り上げと
なり、OADというシステムはが効果が大きいことは実証されているにょ。(ただし、
これは一定以上のコアなファンが付いている人気原作でないと効果が発揮できない)

映像で儲けるのは無理だから無料配布して版権収入だけで回収するというのが上記
リンク先の山本寛氏の考えにょ。
確かにアニメのDVDを買うというのはアニメファンの中のごく一部にすぎないから
その少ないパイの奪い合いでは勝者になるのは極めて難しいからね。
しかし、アニメのDVDだから売れないというわけではないにょ。
実際ジブリアニメはアニメDVDとしては破格の数100万本(「千と千尋の神隠し」は
DVDとVHSを合わせて500万本)売れているにょ。
これはアニメとして・・・ではなく映像作品として優れているから売れるというわけにょ。
ジブリアニメ以外が映像作品として劣っているとは私は思わないけどジブリアニメ
以外は「アニメだから」と敬遠する人が多いせいだと思うにょ。

さて、そのように考えると映像を無料配布することで幅広い層にその作品を知らしめる
ことが出来てもその関連商品を買うという版権ビジネスを非常に難しいことが言える
かもしれないにょ。
実際、世帯視聴率3%のアニメの場合単純計算で360万人の人が見ている計算になるにょ。
広いユーザーに認知させるのであれば少なくともそれを超えるレベルはできないと
話にならないにょ。

最低でも360万冊売れる雑誌(ちなみに最も売れている週刊少年ジャンプが現在の
発行部数は280万部)に無償配布しないと「少ないパイの奪い合いを避ける」という当初の
目的は達成ができないにょ。
360万枚も無料配布した場合にはDVDのプレス料金は少なめに見て1枚50円と計算しても
1.8億円かかる計算になるにょ。
TVアニメの場合はキー局で放送しても1話5000万円程度だからメディア配布の方が
かえってコストがかかってしまうにょ。
そもそも、その無償アニメを見てもグッズを買いたくなる層というのは結局コアな
アニメオタクに限られるため狭いパイの奪い合いから結局逃げることは出来ないにょ。
ジブリ並みの「アニメ」という枠から外れるくらいの認知度にならないと駄目という
ことにょ。
そのためには良質の作品を作り続けるだけではなく多業種と提携し認知度を上げるために
多くのコストが必要になるというわけにょ。
「面白い作品だから関連商品が売れる」という計算は単純には成立しないにょ。
かといって、今のアニメのようにどこかで見たことあるようなものばかりというのも
困りものだけどね。

ガラパゴスケータイのインセンティブを付けて販売するビジネスモデルと同じように
一旦普及したビジネスモデルは簡単に変えることはできないにょ。
これは電子書籍の流通に関してもいえるにょ。
変えることができても1社の力だけでは難しいにょ。
したがって、他の会社と連携をしてより変えられるような環境に少しずつ近づけていく
ということが必要になるにょ。




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