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おちゃめくらぶ掲示板
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著作権法の非親告罪化で二次創作はどうなるのか?
先日ニトロプラスの二次創作のガイドラインが変更されて各所で話題となっているにょ。
http://www.nitroplus.co.jp/license/
内容は特に難しいものではなく遵守すべきは下記の5つにょ。
(1)創作性があること
(2)直接販売であること
(3)販売数量の総累計数が200個以内であること
(4)売上予定額が小規模(10万円未満)であること
(5)その他、絶対的禁止事項に該当しないこと
各項目の具体的な意味は上記のリンク先を読んでもらうのが一番だけど要するに創作性があり
サークル自身が直接販売を行い(これはイベントにおいてサークル参加だけではなく
サークル自身の手による通販も認められている)、同一商品の販売数が200個もしくは10万円
未満ということにょ。
そして、(5)に違反しない限りは問題はないにょ。
これは禁止ではなく従来グレーだった同人のガイドラインを白にするものにょ。(とはいえ
元々ニトロプラスは同人において寛容だったのネガティブに捉えてしまう人が多い)
さて、このような条件を課してくるというのはやはり営利目的と言えるレベルの二次創作を
行っている人が目立っているというだけではなく国内の著作権法が親告罪から非親告罪へと
変わる可能性を見据えているためだと思われるにょ。
国内の同人誌では数量ベースでいえば二次創作がメイン(作っている人の数だとオリジナルの
比率はかなり高いと思う)といっても過言ではないにょ。
しかし、二次創作というのは著作権法的にはグレーだからね。
この「グレー」というのは「著作権者が訴えない限りはグレーだけど実際は真っ黒」という
解釈をしている人もいるけど著作権法ではアイデアは保護されないためその元の版権の
丸々コピー(要するに単なる複製品や海賊版)ではなくキャラや設定を使った創作物であれば
客観視点で「黒」になることはありえないにょ。
さて、ここで創作物とは何かというと著作権法に「思想またはは感情を創作的に表現した
もの」と書かれているように制作者のオリジナリティが含まれたものということにょ。
「100%オリジナルでないと創作物としては認めない」とした場合には新しい創作物が
生まれることは無くなるため過去にある似たような作品を土台として新しい作品を作ると
いうことは著作権法的には認められているということにょ。
絵だとトレス、文章だとそのままの文章を使用、音楽だとフレーズの一致などがあれば
さすがに問題となることはあるけど絵や文章の表現であってもごく普通に使われている
ような誰が書いても(描いても)あまり変わらないようなものは著作権法の保護対象外と
なっているにょ。
その線引きは難しいため「黒」にはならずグレーであるということにょ。(著作権法の
扱いは他の法律とは異なるため他のものに置き換えて考えるのは難しいけどパチンコの
三店方式による換金システムが法的にグレーというのと同じで「本来は黒だけど訴えられ
ないからグレー」というのとは違うというのが分かると思う)
二次創作が白か黒かを決められるのは著作権者のみにょ。
したがって、第三者が「これは白だ!」「これは黒だ!」と介入する余地は全くないにょ。
そして本当にそれが黒かどうかは裁判によって決まるにょ。
それが「親告罪におけるグレー」というものにょ。(著作権者が「黒」と言うまでは
あくまでグレー)
ただし、これは「訴えられない限りはOK」というわけではなく「グレーゾーン=合法」
なのでよほど目立つもの(例えば(元作品をトレスしただけのマンガのような「オリジナリ
ティが極めて低いもの」とか普通に店舗販売しているような商用といっていいくらいの流通
レベルであるとか)のみ著作権者から問題視されるにょ。(上記のように100%オリジナルの
ものなんて存在しないためある程度他の作品と似ること自体は仕方がないこと)
つまり、非営利のまともな二次創作であれば「ほぼ問題はない」といえるにょ。(もちろん
私が著作権者でないので100%大丈夫と太鼓判はできないけど)
あと間違えている人がいるのはコピーライト表記にょ。
コピーライトは誰に著作権があるのかというのを表記したものだけど二次創作において
例えば「(C)ニトロプラス」とか書いてしまうとこれはニトロプラスが著作権を持っている
著作物(つまり正式許諾を受けている著作物)になってしまうにょ。
キャプ画面のように創作性が全く入ってない画像の場合には引用としては使用が可能なので
正式許諾されてなくても(C)を入れることには問題はないけどあくまで二次創作における
著作権は元の著作物にない部分のみであり、その扱いは非常に複雑にょ。(二次創作にも
創作物である以上は著作権が自動的に発生する)
二次創作の場合は「私のオリジナル作品です」と主張することもできないため「これは
元の作品とは無関係である」ということを明記するのがベターだと思われるにょ。
特に18禁同人誌などでは公式の著作物と勘違いしてしまうとトラブル発生の原因になり
かねないにょ。(例えばポケモン同人誌事件など)
本来ならば著作権者が容認(黙認)できたかもしれないのにそれができなくなってしまう
原因を自らが作ってしまうというのは何とも愚かなことにょ。
ここで著作権法が非親告罪になってしまうとそのグレーの存在を第三者によって白黒決め
られてしまうにょ。
その場合でも著作権者が「これくらいならば問題ないよ」と言えば問題ないのだけど
すべての著作権者がグレーゾーンのものをわざわざ庇ってくれるとは限らないにょ。
そのため創作活動が萎縮して二次創作にとっては致命的なダメージになってしまう可能性が
あるにょ。
そこで、基本的に二次創作はグレーゾーンとして黙認して悪質なもののみ黒として警告
(二次創作にはあまり寛容的ではないように見える小学館などはこの悪質なものをちゃんと
警告できるように事前にWebサイトで予防線となる文章を書いている)という現状のやり方が
できなくなるため「この範囲内ならば白ですよ」というガイドラインを定めたのが今回の
ニトロプラスのリニューアルされたガイドラインにょ。
これについてはマンガ家の赤松健氏が考案した同人マークに通じるものがあるにょ。
◎ついに二次創作がグレーからホワイトに!?
http://6407.teacup.com/ochame/bbs/3907
この同人マークは作ったもののまだ著作権法がどのようになるのかが分からないため様子を
見ているマンガ家さんが多くて赤松氏以外で使用している人はほとんどいないにょ。
それだけではなく現状だと「一律で二次創作を黙認」となってしまい商用レベルの規模のもの
であっても黙認することになってしまうにょ。
非営利でファン同士で楽しんでいる活動ならば黙認できても営利活動ならば黙認できないと
いう方も多いと思うのでどこまで黙認できるかというのをもう少し細分化しないと普及は
進まないのではないと思うにょ。(もちろん、これはすでに赤松氏も気づいていることであり
将来的にはそのような方向にするらしいけどあくまで現時点では実験導入にすぎない)
冒頭のニトロプラスのガイドライン変更はネット上でも物議を醸し出しておりその1つの焦点が
「200部」「10万円」という上限にょ。
コミケのような大規模イベントは万単位で頒布する(建前上は非営利になっているため同人は
「販売」ではなく「頒布」と表記するのが一般的)ような大手サークルもある一方で1桁部数の
弱小サークル(ピコサークル)も少なくないにょ。
では、コミケにおいて実際にはどれくらいの頒布部数なのかは少し古いデータだけどこの
9ページ目が参考になるにょ。
コミックマーケット35周年記念調査 調査報告
http://www.comiket.co.jp/info-a/C81/C81Ctlg35AnqReprot.pdf
0〜49部 ・・・・・ 32%
50〜99部 ・・・・・ 20%
100〜149部 ・・・・・ 13%
150〜299部 ・・・・・ 14%
300〜499部 ・・・・・ 9%
500〜999部 ・・・・・ 7%
1000〜1499部 ・・・・・ 3%
1500〜2999部 ・・・・・ 2%
3000部〜 ・・・・・ 1%
これを見ると50部未満が最も多いにょ。(ピラミッド型にはならず150〜299部だけ少し多い
のはそこが18禁本のボリュームゾーンになっているためだと推測する)
200部というのは150〜299部の中間であり明確な数字は出てこないけどそれを超えるのは
30%程度だと思われるにょ。
もちろん、健全オリジナル作品やターゲット層が狭いマニアックな本(私が昨年の冬コミで
頒布したプチコン本も1画面プログラムの作り方を記したものなのでターゲット層が極めて
狭いと思う)などは50部未満になる場合が多くまたコミケで知名度がない初参加のサークルも
多くの部数を頒布するのは難しいにょ。
そのためこの数字だけを見て「上限200部であっても7割の人は問題ない」と断言できるような
ものでもないけど問題ない人の方が多いのではないかと思われるにょ。
さて、基本的に同人(特に二次創作)においては建前上は非営利となっているけど上記の
アンケート結果を見ると3分の2の人が赤字であると自己申告をしているにょ。
これは200部未満の割合と概ね一致して200部付近が赤字と黒字の分岐点(営利か非営利かの
分岐点)になっていると推測されるにょ。
とはいえ、同人誌の印刷コストというのは調べれば分かるし、相場も粗方決まっているので
それが本当に正しいのかを検証してみるにょ。
印刷会社によって価格は変わってくるためここでは「同人誌 印刷」でぐぐって広告以外で
最も上に出てきた栄光の価格を元に検証してみるにょ。
オフセット印刷、表紙フルカラー、本文モノクロ、28ページ、B5サイズ
1部あたり サークル参加費 損益分岐点の消化率
印刷費用 単価 込みの単価 300円 400円 500円
50部 ・・・・ 34400円 688円 888円 無し 無し 無し
100部 ・・・・ 34900円 349円 449円 無し 無し 90%
150部 ・・・・ 39900円 266円 333円 無し 83% 66%
200部 ・・・・ 44000円 220円 270円 90% 68% 54%
250部 ・・・・ 48100円 192円 232円 78% 59% 47%
300部 ・・・・ 51200円 171円 204円 68% 51% 41%
500部 ・・・・ 65600円 131円 151円 51% 38% 31%
??1000部 ・・・・ 114000円 114円 124円 41% 31% 25%
2000部 ・・・・ 186800円 93円 98円 33% 25% 20%
※参加費込みの単価はサークル申込書と参加費を印刷価格に加えた場合のもの
この表はどういう意味かというと印刷費用は上記のように栄光でサンバセット(オフセット
印刷、表紙フルカラー、本文モノクロ)における28ページ、B5サイズの本を印刷するときの
価格にょ。
これを見ると50部と100部では価格がほとんど変わらないことが分かるにょ。
逆に部数が増えていくと部数に比例ではなくそれよりずっと安くなるにょ。
最近では少部数から対応できるオンデマンド印刷がありこれを使えば少部数のときは安く
なるとはいえ条件を揃えるためオフセットで統一したにょ。
これは1部あたりの単価を見れば明白で50部の時は1部あたり688円かかっていた印刷
コストが1000部だと93円にまで減るにょ。(オンデマンド印刷でも10〜20部だと高コストに
なるけどそういう場合はコピー本ならばモノクロ1ページあたり5円で済む)
つまり、利益が出るか否かは印刷部数がかなり影響しているということにょ。
これはあくまで印刷代のみでこれにイベント参加費用が最小限必要にょ。
コミケならば申込書、参加費などで約1万円かかるにょ。
あと参加するためには交通費や宿泊費もかかるけどこれは一律いくらと分かるものでは
なくてもあと必ずしも必要ではないため省略したにょ。(実際にかかった経費として計算
するならばそれを込みで行う必要がある)
当然ながら部数が少ない場合はそれを印刷コストの単価と合算すると金額は跳ね上がって
しまうにょ。
そこで実際に利益が出るのかを確認する前にいくらで頒布するかが重要になるにょ。
これはいくらで頒布しなければならないという規定があるわけではなくあくまでサークルの
自由意志で価格は設定できるけど私の過去の経験からすると本文モノクロだと1ページあたり
10円、フルカラー表紙だと100円プラスくらいのサークルが多く感じたにょ。
つまり、28ページモノクロ、表紙がフルカラーだと400円程度が相場といえるにょ。
もちろん、コミケ初参加だから安めにしたいとか「高い」と思われたくないならば300円
くらいが妥当とも言えるにょ。
逆に人気版権の18禁本や大手サークル本は高めに設定されることが多く同一条件でも
500円くらいのことも多いにょ。(大手の場合は少しでも少ない時間で数千、数万も頒布する
必要があり、金銭のやりとりの時間を減らすため500円、1000円単位で設定している場合が
多いというだけなんだけど)
したがって、300円(安め)、400円(普通)、500円(高め)という3つのモデルケースで
考えることにしたにょ。(B5ではなくA5やB6ではこれより安めになるし、小説などの文字が
主体の本もページ単価はこれより安くなっている場合が多い)
損益分岐点(利益が出せるライン)を見ると50部では3つのモデルケースのいずれの価格で
あっても完売しても利益が出ることはないにょ。
100部の場合は500円という高めの設定で90%以上(つまり90冊以上)売れた時にようやく
利益が出るにょ。
では、どれくらいの消化率が普通なのかというとこれは各サークルの判断基準によるので
難しいにょ。
コミケ参加経験があるならばその時の頒布部数を参考に決めれば大きなミスはないだろうけど
初参加だとその手は使えないし、参加経験があっても異なるジャンルとか従来と方向性を
変えてしまうとまた変わるためよほど少なめに印刷しない限り完売もしくはそれに近いもの
にはならないにょ。
したがって、50部や100部では利益が出ないと考えるべきにょ。
200部の場合を見てみると安めの300円で見ると90%なので結構厳しいけど普通の400円ならば
68%となり、これならば何とかなる数字だと言えるにょ。
こうしてみると200部印刷が必要に感じるレベルのサークルだとギリギリ利益が出せるかどうか
というレベルになるにょ。
68%ということは136部となるため普段100部程度しか売れないサークルが200部印刷したから
利益がでるというわけではないにょ。
あとそれより多い部数を見てみると500部の印刷ならば安めの300円で設定しても51%という
ことで半分売れればそれ以降はすべて利益となり、200部ならば1/3売れればそれ以降は利益
となるにょ。
したがって、1000部とか2000部も印刷が必要なレベルの人だとよほど低価格に設定して
いない限りは非営利活動とは呼べないといえるにょ。
そうなると非営利かどうかの基準に200部というのを入れているのはそれほど的はずれな
ものではないと言えそうにょ。
今回は28ページ、本文モノクロという同人誌ではポピュラーなものをベースに考えたため
10万円の上限より200部という上限の方に先に達してしまったけどこれが本文フルカラーの
同人誌や同人ゲームなどの単価の高いものであれば200部以下で頒布合計金額が10万円以上に
達する場合があるにょ。
ニトロプラスのガイドラインでは200部かつ10万円未満という両方を満たす必要があるけど
200部以下で10万円を超える場合にはアマチュア向けのライセンス取得によって可能になる
ということにょ。(価格は応相談)
ただし、「200部を超えてしまった場合」「書店委託などの直接販売ではない場合」には
個人だと相手をしてもらえないため法人契約が必要になってくるとのことにょ。
これは法人として登記すればいいだけなのでそれほど難しいことはないのだけどコミケに
サークル参加できるのは個人のみなので法人登録してしまうとコミケには参加できないにょ。
もっともサークル参加はできない(正確には法人名で出版している本は頒布できない)と
いうだけであって企業ブースになら参加は可能だけどハードルが跳ね上がるにょ。
200部、10万円というのは非営利活動か否かを判断するボーダーラインとしては妥当なレベル
だと思うけど多いのは描き手ではなく読み手側にょ。
たとえ200部以上のサークルがコミケ参加の30%程度だとしても上記のアンケートの分布を
元に計算すると部数ベースでは83%くらいになるにょ。(50〜99部を平均75部として計算)
頒布部数≒読み手の数なのでやはり影響力はかなり大きいものと言えるにょ。
あと問題はコミケなどのイベントに参加しにくい地方民にょ。
今は大手サークルは大抵委託販売を行っているためそういったものは通販などを利用して
買うという選択肢もあるけどそれは完全に閉ざされてしまうにょ。
もっとも、通販が禁止ではなく委託して通販を行うのが禁止なだけなのでサークル自身の
手で通販を行うことは可能にょ。
ネットがまだ普及していない90年代まではそれは普通だったにょ。
雑誌などで住所を公開してそこに通販の申し込みをして購入というのは良くあったからね。
私も昔は自分で作った同人誌を通販で頒布していたにょ。
とはいえ、これも部数が少なければ問題ないけど大部数になると大変だし、何よりネットで
自分の住所などを公開するリスクは極めて大きいにょ。(雑誌で住所を公開しても全国に
公開しているのと同じだけど基本的にその雑誌を買っている人が対象となっているため
閉じられた範囲での公開に近い)
そうなるとイベントで購入してヤフオクなどで転売というケースが今以上に増えそうにょ。
かといって、このような転売を防ぐことはできないにょ。
同人誌を海賊版と見なせば警察の介入によっていくらでも対応できるけどそうなると
その同人誌をつくったサークルも海賊版の製造者となるため逮捕のリスクも出てくるにょ。
従来はグレーだった二次創作において一部を正式に認めて白にするというのが今回のガイド
ラインの趣旨だけどそれは著作権法が親告罪でなくなっても二次創作を守るということが
できる反面で均衡を崩すことになるため多くのユーザーにとっては不満が出てくるし、やはり
転売など問題が目立つことになる可能性が高くなりそうな感じにょ。
グレーであるものを全面的に認めろなんてことはとても言えないのであくまで著作権者の
意向にすべてかかっているのだけどこれが成功するかどうかで今後他社がどのような形で
追従するのかが決まりそうにょ。
もっとも、著作権法がずっと親告罪のままだと要らぬ心配なんだろうけどね。(それでも
営利目的やよほど目立つサークルに警告することはいくらでもできるわけだし)
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