[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
| |
第2回応援企画
15
:
翻訳者
:2017/02/09(木) 22:50:01
【お題キャラ:伊藤早矢梨】
【お題:さよなら時間マン+子猫を拾う】
【書いた人:翻訳者】
魔人とは夢見る生き物であるだなんてどいつの言葉だ?
私は伊藤早矢梨。魔人なんてやってる女の子だから、夢を食べて生きてる生き物とかいえないこともなーい。今日も放送委員として夢をみんなに吐き出してまわってる。
私は夢を見ないでは生きられない。
今日も夢を吐き出し終えたマイクを人差し指で弾くと、軽い残響音がした。何かを転がしたような、転がり落ちていくようなそんな感じで少し憂鬱だ。
名前もあやふやなブランドのショルダーバッグを担ぎ上げ、家に帰りたい。
今日も放課後、放送室のキーを職員室へ返却する。先生たちも振袖だとか、逆光だとかキャラが立ってやがる。
あの人たちは生まれ付いたように個性的だ。
きっと、生きているだけでは自分は伊藤早矢梨になれない。私は嫉妬するし、希望崎の誰にだって負けたくないって思ってる。それが私の信じている伊藤早矢梨という女の子だから。
応援部はほとんど体育会系だし、一年生の私が目立つ位置に食い込むのは正直骨が折れた。帰路について、少し足が痛む。
応援部で私はかたちを作り、放送委員の私はゆめを吐き出す。
正直、上手くいっていると思う。――山乃端一人さえいなければ、二年もいらなかった。
あいつの卒業を待つなんて、逃げの一手を取らないといけない自分が情けなくて、足下の石を蹴飛ばして、痛みが強くて、それには何の意味も意義も無くて――。
希望崎大橋の真ん中で私は立ち止まる。
泣き出してなどなるものか、だけど進むことは出来ない、戻ることも出来ない。
橋の欄干にあてどなく体重をゆだねてみる。夕暮れの時間はまだ長いと思ったのだけれど、潮の香りは少し遠かった。
瞼を閉じて、開くと夜になった。
「え?」
思わず辺りをきょろきょろと見回す。
「ごきげんよう。それともこんばんわとはじめまして? 伊藤早矢梨さん」
唐突にその女は私の三メートルくらい後方に立っていた。まるでそこにいるのが当然というように、まるで自分が舞台の上でスポットライトに照らされる大女優であるかのように立っていた。
形のいい顎をくいと上げて、そいつは傲慢にも私に向かって微笑みを向けた。
肌の白も髪の艶も負けているだろうか、いいや負けてはいまい。私は嫉妬しているんだから、私は上に立つんだ、カラーの色からすると上級生を睨み返す。
「あー……、センパイ。誰ですか〜☆彡」
「態度と言葉があってなくてよ。それより上を見なさい↑」
人差し指を上に向けた。その人を食ったような態度は腹が立つんだけど、釣られて視線をずらすのは当然だった。そいつの顔を見たくなかったから。
「夏の……大三角?」
「そう、あれがデネブアルタイルベガ、大宇宙の真理の前では放送部のアイドル(笑)もちっぽけなものでしょう?」
言うまでもなく、本来の今日は冬の星座しか見ることは出来ないはずだ。いつのまにか地球の南半分に移動したかとかいうでない限りは魔人能力を受けている。
そして悔しいことに、この女はひどく個性的だ。
ゴーイングマイウェイ☆彡、魔人能力に強弱なんてないのだけれど、魔人に、人間に、強いやつはいる。弱いやつはいる、そんな当たり前の真実を私は否が応にも思い知らされていた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板