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:
山田正宗
:2017/02/05(日) 22:01:29
キェェェェイ!!!!
爽やかな朝の空気が、奇声によって切り裂かれる。
バシィ、バシィ、バシィィーン!
「ほれほれ、どうしたどうした……甘いぞ、正宗」
「はい!、もう一度行きます」
山田カリバー家の朝は早い、自宅の道場での朝稽古だ。
山田ゲイボルグ(45)が竹刀を振るう度に、正宗の山田カリバー(レプリカ)が弾かれる。
「剣が軽いぞ、もうちょい踏み込め……じゃあないと」
剣の切っ先と切っ先が触れそうなぐらいの間合いを、ゲイボルグが一足跳びに詰める。
「……こうなるぞ」
正宗の喉元に竹刀が突きつけられる。
「参りました……父上」
「うーん……どうにもな、せめて両手を使わせるぐらいにはならんとダメだぞ」
「はい、精進します」
「さて、飯だ飯、母さんが待っとるぞ」
竹刀を左手一本で器用に竹刀袋にしまいつつ、山田カリバーゲイボルグが残心を解く。
山田カリバーゲイボルグ、山田カリバー流剣術師範。
西洋かぶれの父、山田カリバー村正に誤って槍を冠する名前を付けられた悲しき男。
「あー、いつになったら父上から一本取れるのかなぁ」
ガション、ガションと大きな金属音を鳴らしながら、正宗はトボトボと通学路を歩く。
山田カリバー正宗は、産湯替わりに付けられた三種のマジックアイテム(兜、鎧、盾)が全て呪われていたため、
完全武装の中世ファンタジーの勇者じみた格好で過ごす事を強いられているのだ。
彼が、父から一本を取れない理由の半分は、その金属鎧と盾による重量にある事を彼はまだ気づいていない。
「はっはっは、ご安心召されよ、坊っちゃまはようやっておられますよ」
正宗の左腕に装備された、「七賢の盾」から声が掛けられる。
「七賢の盾」はその名の通り、七人の賢者の魂が封じられており、
冒険の最中に適切なアドバイスをくれるが、七人ともジジイであり潤いが一切ない。
つまるところ、青春とはかけ離れた存在の塊であった。
「そうは言うけどね……」
キャーーー!
正宗の抗議の声を打ち消すかのように、若い女性の悲鳴が木霊した。
「じっちゃん達!?」
「うむ「あれは「ここより「北西「茶が飲みたい「50メートルと「いったところじゃ」」」」」」」
悲鳴を聞いた瞬間、正宗は駆け出す。
全身鎧が故に通常の魔神、いや人より遅いのは置いておくとしよう。
「何している!」
正宗はバイクに跨って、希望崎学園の女子高生に詰め寄っている男に声を掛けた。
「あ、俺は何もしてねぇよ……この女が勝手に騒いでるだけで……」
「嘘よ、あなたバイクで私の服を巻き込んで、走り出した勢いで丸裸に脱がすつもりだったでしょう、不健全です」
「馬鹿か、オメー!?、そんな時代劇であーれー、よいではないかよいではないかみたいな感じになるわきゃないだろ」
眼鏡を掛けた女子生徒は佐想美空という、正宗も知っている生徒であった。
風紀委員で、人一倍厳しく、正宗も剣や鎧の事でよく詰問されていた。
「あん!?、そこまで言うんだったら本当に剥いてやろうか、このアマ!?」
「正体をあらわしたわね、ケダモノ!」
はたから聞いていたらバカ話でしかないのだが、正宗は割とドが付くほど真面目であった。
「おい、やめろ。僕が相手だ」
「若!」
「坊っちゃま」
「なんだテメーよぉぉぉぉ」
バイクに跨った男、即ち尾崎豊は盗んだバイクの向きを変え正宗に突進してきた。
「ヒャッハー、俺の落書きだらけの教科書を喰らえーーーーー!」
「くっ、こいつ強いぞ……」
「若、こうなったら「呼ぶしかありませんぞ」」
「し、仕方ない!こーーーーーい、山田カリバー!!!!」
正宗は手を天にかざし大声で叫ぶ。
尾崎豊も、その大声にびくつき動きが止まる……しかし何も起きない。
山田カリバーは通常、法定速度の60kmしか出ないのだ。
「びびらせやがって、何も起きないじゃねぇか、死ねぇー……」
ガツン
尾崎豊の後頭部に山田カリバーは刺さった
正宗の勝ち
完
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