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28ハリー:2017/02/10(金) 23:23:45
【お題キャラ:二子石 希望&桜火&水川和巳】
【書いた人:ハリー】

その日、佐想美空は不機嫌だった。否、その日だけではない。
ここ数日間、美空はすれ違った人が二度見するほどの怒りのオーラを見に纏い、学校中を練り歩いていた。
それを目撃した多くの生徒は何事かと一瞬驚き、次の瞬間には「ああ、あのことか」と納得していく。それ程までに彼女の怒りの理由は明白で、皆が思い当たるものであった。
皆がなんとなく知っていて、しかしどこか繊細に扱っている話題。風紀委員である美空が不機嫌になる話題。
そんなものは、一つしかない。

すなわち…現在希望崎学園で巻き起こっている、空前の恋愛ブームのことだ。

美空に言わせれば不純異性交遊ブームといったところであるが、しかし学園全体の雰囲気としてはこの浮ついた雰囲気は大いに歓迎されているようで、全くもって納得いかない。
我慢できずに独自調査に乗り出した美空の手元には、このブームに関する情報が集まっていた。

(どうやらブームのきっかけは1週間前…クラスで一番大人しくていつも目立たなかった女子生徒が、教室の真ん中で男子生徒に告白したのが始まりみたいね)

男子生徒はこれを快諾、晴れて2人はクラス公認のカップルになり、この情報を2人でいちゃいちゃしながら話してくれた。
美空の怒気は高まった。

(更にその日のうちに5組のカップルが成立…学年はばらばらだけど、共通点としてカップルのどちらかがそれまで想いを秘めていたことは分かった。それに、詳しくは聞けなかったけど告白した人たちはみんな、背中を押してくれた人がいるって言ってた…)

「実は私、ある人に応援してもらって幸せを掴んだの!貴女も出逢えるといいね!」昨日聞き込みをした相手からはこのようなことを言われた。
美空の怒気は高まった。

(不純異性交遊…不純異性交遊!!どうせ今日は告白の瞬間どんなに緊張したかとかでお互い盛り上がって、じゃあもっと緊張すること…しちゃう?みたいな話に発展するんだわ!!不潔、不潔よ!!絶対にこのブームの黒幕を見つけて…)

「あっ、やっと見つけた!貴女を探してたの!えーと、佐想美空ちゃんで合ってる?」

「風紀の裁きを…っ、は、はい?すみません、考え事を…」

何者かから声をかけられ、美空は慌ててそちらを見た。そこにいたのは頭にニット帽を被った私服の女性で、どう見ても学園の生徒ではない。

「確かにそれは私の名前ですが、貴女は…?」

「よかったー。貴女の想いの匂いを追ってこの世界に来たんだけど、この学園人が多くて中々見つからなくてね。探してる間にも想いを秘めた子がたくさんいて、そっちも対応してたからさ。
でも会えてよかった!というわけで彼に想いを伝えに行こう!」

美空は直感した。目の前の女性が、探していた黒幕だ!

「あ、貴女がこんなふしだらなブームを!許せません!あと彼って誰ですか!私に、す、好きな人なんて…!」

「いやいや、隠さなくても大丈夫。それとも、まだ自覚してないのかな?どっちにせよ私はそういうの分かるんだよね。
恋愛の気配っていうか…ま、そういうのを秘めてる子は大体引っ込み思案で告白できないからさー。せめて勇気が出るおまじないってことで、私の力を使ってるの。
それじゃ貴女も、どうか頑張って。えいっ」

「ぼ、釦?何を…っ、っっっ!!!れ、恋愛したい!男子といちゃいちゃしたい!私、彼に想いを伝えなきゃ…!!」

凄まじい桃色のオーラを体から放ちながら、美空は走ってどこかへ行った。彼女が自覚した想いがどんな結果を生んだかは、この世界でたった2人だけが知るところである。


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