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27山田正宗:2017/02/10(金) 23:23:16

【お題キャラ:二子石 希望&桜火&水川和巳】
【書いた人:薬岡龍汰】

孤守悪斗は猜疑心の塊であった。
コツコツと靴音を立てて、生徒会室の机の周りを歩き回る。

(……これは一体どういう意図だ……、ふむ)

孤守は自分の机の上に置かれた、「ソレ」を眺める。

(分かりやすい罠か……いや、しかし……)

孤守は、既に思考の袋小路に入り込んでいた。
ソレは一体、いつからここに置かれているのか?
ソレは一体、誰がここに置いたのか?
ソレは一体、なぜ置かれているのか?

ふむ、と独りごちた後に、ようやくソレを手に取る。

「……苺だいふく饅頭ケーキ……か」



幕間 孤守悪斗の孤独なる熟慮と苺だいふく饅頭ケーキ



説明しよう、苺だいふく饅頭ケーキとは!
希望崎学園最寄りの和菓子屋、四条庵の月一限定メニュー。
小振りの苺だいふくを、更に苺餡を使用した饅頭に仕立て、それを苺のショートケーキの上に乗せた苺まみれの逸品だ。
毎月、苺の日である15日限定の発売品であり、そのあまりの人気の高さゆえに抽選で販売されているのだ。

「嫌いではない……嫌いではないが……」

孤守は苺だいふく饅頭ケーキの大ファンであった。
最高級の苺をふんだんに使った餡、クリーム、スポンジ生地。
苺ケーキ、苺だいふく、苺饅頭の3つに分けて食べてもよし。
それぞれを一緒に口に放り込んで、ハーモニーを奏でてもよし。

ごくり

孤守が喉を鳴らす。

昨日の前日抽選にも参加したのだが、奮闘虚しく外れてしまった。
その、渇望していた苺だいふく饅頭ケーキが今目の前に……

問題は、その貴重品がなぜこうも無造作に、生徒会長の机に置かれているのかということだ。

(ストレートに考えれば……賄賂か……)

孤守は納得しかけた、だがしかし、何かしらを要求する手紙の様な物は無かった筈だ。
具体的な要求がないのであれば、単純に付け届けの様なものだろうか?
ただそれにしたって、差出人が誰かわからなければ意味があるまい。

コツコツと考えを纏めながら部屋を歩き回る。

(賄賂でないとすれば……テロリズムか!?)

孤守はカッと目を開くと、大袈裟に飛んで後ずさった。

ケーキに見せかけた爆発物、生徒会長暗殺、ハルマゲドンの発生……
孤守の脳裏に物騒な光景が浮かぶ。

危ない所であった。
あれだけ小さいサイズであれば、これだけ距離を取ってあれば問題あるまい。

スマホを取り出し爆発物処理班へダイヤルを掛けようとした孤守の手が……ふっと止まる。

(いや、待てよ……ここまでが賊の考えなのではないか?)

取り出したスマホをスッと胸ポケットにしまい、更に思考を進める。

(既に爆発物処理班が制圧されていたら……、油断した生徒会室になだれ込み掌握、クーデター……)
(どうする……どうすればいい……)

ロボ研、ロボ部、対処できそうな組織は幾らでもある……だが、賊の手に落ちていない保証は無い。
孤守の猜疑心は最高潮にまで高まっていた。

ガチャ

孤守の背後のドアが開く……

しくじった、孤守は悠長にしていた自分の愚かさを呪った……
やはり生徒会長になるべきでは無かったのではないか?
慚愧の念が心中に去来する。

「あら……どうしたの、孤守くん?」

柔らかな声で、孤守に話しかけたのは生徒会顧問であった桜花であった。

「桜花……先生?」
「一体、何をしているのかしら」
「い、いえ。見慣れないものが机の上に置いてあったので……」
「ああ、あれ。先生抽選に当たったからお裾分け。孤守くん、好きでしょ……それに……」
「それに?」
「1日遅れだけど、バレンタインデーでしょう」

桜花先生は優しく微笑みかけたが、結局毒物混入を疑って孤守は手を出さなかった。

【お題:バレンタインデー】


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