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常夜灯 確認

479フルス:2014/02/09(日) 12:45:13
愛されたいと口を溢しても、誰も彼女を愛してはくれなかった。
父も、母も、兄も、姉も。
生まれたときから、イスとりゲームの空席はとっくに埋まっていた。



彼女が幼い頃、苦しい家計故に彼女は誰に構われることもなく育った。
結果、いわゆる『暗い子』になってしまった。そして、家計が安定してもわざわざ『暗い子』に構うような良くできた家族を、彼女は有していなかった。
それはまるで呪いのようで、家族も先生も、押し付けるようにそう呼ばれる『オトモダチ』も、誰も彼女を愛してはくれない。
唯一彼女を愛してくれた『本当の友達』は、アンナだけだった。

アンナの姿は彼女にしか見えない。
アンナの声は彼女にしか聞こえない。
ぬいぐるみの姿は誰にも見えないし、間延びした声は誰も聞こえない。
彼女の、彼女による、彼女のためだけの友達、頭の中のテディベア。
俗に言う、イマジナリーフレンド。
それが彼女の隙間を埋める、唯一の存在だった。



『優しい人』というのは案外いるものだが、その優しさを信じてはいけない。
そんなこと、彼女は知らなかった。

彼女に話しかけてくれる人が現れた。
この人なら、私の友達になってくれる。
そんな勘違いまみれの信頼を、無責任な優しさにしてしまった。
はた迷惑な義務感に動かされる人形が、隙間を埋めてくれるわけがないのに。

彼女は知ってほしかった。自分の全部を。
愛してくれない家族のこと。
誰にも見えない友達のこと。
面白味もない自分のこと。



話疲れた彼女は、無責任な人形の目を見た。
彼女は知っていた。この目はあれだ。
この恐怖と軽蔑の要り混じった目は、醜いものを見る目だ。
ゴキブリの死骸を見るような、『関わりたくない』って目だ。



結局、彼女には幻のお友達がお似合いだ。


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