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ダンボール戦機 episodeβ

1 ◆06eq/BhDjA:2012/12/25(火) 20:42:12
ダン戦の二次創作小説です
勿論ながら投下です
暇なときに投下します

28 ◆06eq/BhDjA:2013/03/10(日) 23:34:51
ガッという地を蹴る音が鳴り、砂埃が舞う
やはりと言うか、案の定奴等は速水めがけて一斉攻撃をしかけてきた
ハンマーを所持しているため、速くは動けないとでも考えたのだろう
それが失敗だった

「弱点を克服できないのならば、補えばいい」

突如地面が閃光を放ち、轟音を轟かせ爆発した
砂埃が天高く舞い上がり、黒煙はジオラマ中に広がる
暫くして煙が払われた頃、そこにはスタン状態の3機が、腕や脚を吹き飛ばされた姿で横たわっていた
実は速水、バトルが始まった瞬間に周囲にスタンマインを仕込んでおいたのだ
誰にも悟られることなく、罠を張り巡らせたのだ
ちなみに速水の使用武器はハンマーではない
グレネードだ
グレネードは所持できる数に制限があるため、無限に繰り出すことはできない
だが速水は限られた数の中で敵を仕留めてみせる
その職人のような速水の技に、LBXプレイヤーは畏敬の念をこめてこう呼ぶ
『寡黙な花火師』と

29 ◆06eq/BhDjA:2013/03/10(日) 23:44:39
「さて、とどめを刺すか」

ジョーカーが鎌を振り上げる
その瞬間、スタン状態から回復したバーサーカーが、ジョーカーにタックルを繰り出した
だがそんな足掻きも虚しく、軽くあしらわれ、首を落とされた
残りの2機はまだ横たわっている
先輩が首を小さく縦に振る
『殺れ』というサインだ
俺はジャンヌDの胴を撃ち抜き、速水はハンマーを高く掲げ、勢いよく振り下ろした
爆発の炎が真夏の太陽のように見えた

30 ◆06eq/BhDjA:2013/03/11(月) 00:02:44
『戦闘終了』

CCMに『YOU WIN』の文字が表示され、Dエッグが消滅する
俺はフライトデクーを内ポケットにしまう

「しかし、こいつらは一体何だったんだ?」

先輩が不発したバーサーカーの胴体をいぶかしげに見つめる

「いや、今はそんなことはどうでもいいな」

先輩が速水に尋ねる

「現在の校内の状況はどうだ?」

「さっき戦ってるときに外で大きな爆発音がしましたから、あるいは・・・」

言葉を濁らせてうつむく

「そうか・・・」

そう言って先輩は俺たちのほうを向き、こう言った

「今から、私達の学校を取り戻す・・・・!」

31 ◆06eq/BhDjA:2013/03/11(月) 00:04:59
ダンボール戦機episodeβ
第1話『狂喜乱舞のアブノーマル』



32 ◆06eq/BhDjA:2013/03/12(火) 23:26:20
廊下に蔓延る無数のLBX
白いタイルの床が真っ赤に塗り替えられる
ザッザッと地を踏みながら、どこかへと行進している
その時、最後尾から爆音と共に炎が上がった

「邪魔だァァァァァァァァ!!!!!」

廊下を駆け抜けながら、速水がルールなど無視してグレネードを投げまくる
今は非常事態なのでルールなどと言っている場合ではないが
速水はとてつもなく爽やかで、そして楽しそうな表情で、狙いも定めず投げつける
グレネードが1機に当たり爆発すると、連鎖的に爆発していく

(何これ楽しい・・・)

そう3人は思った

33 ◆06eq/BhDjA:2013/03/12(火) 23:35:56
数分後
次々と放たれる無数のグレネードに対抗できず、廊下を覆いつくす程の数だった敵機は半分以下となっていた

「さて、残りを一掃するか」

先輩がCCMを起動させ、口角を少し釣り上げる
恐らくこれからよからぬことが起こるのは容易に想像できる

「消し飛べ!必殺ファンクション!」

『アタックファンクション デスサイズハリケーン』

ジョーカーが鎌を振り回して竜巻を作り出した
それを思いっきり敵に向けて放つ
勿論敵も多少は抵抗する
銃を撃ちまくったり、グレネードを投げたり
だがそんな抵抗も空しく敵は竜巻に呑み込まれ、廊下には爆発音が響きわたり、真昼のように明るくなった
先輩は凄い、改めてそう思った

34 ◆06eq/BhDjA:2013/03/21(木) 23:40:16
廊下を駆け抜け、東校舎を目指す
途中に立ち塞がる敵は速水が爆弾で蹴散らして進む

「速水、さっき職員室と放送室が占拠されたって言ってたよな?」

「ああ。それがどうした?」

「なんで奴らはそこを狙ったんだ?」

「これは俺の推測だが、職員室は警察等の組織を呼ばせないため、放送室は放送による注意勧告を行わせないためだろう」

階段を駆け降り、東連絡通路へと差し掛かる

35 ◆06eq/BhDjA:2013/03/22(金) 00:06:06
「ここからは二手に別れよう。私は放送室へ行く。二人は職員室を頼んだ」

そう言って先輩は放送室のある一階へ降りていった

「俺たちも行くか」

「ああ」

職員室はこの二階にある
俺たちは廊下に蔓延るLBXには目もくれず、一目散に職員室を目指した


職員室のドアを開けようとするが、鍵がかかっているようで開かない

「・・・壊すか」

俺はフライトデクーを取り出し、ガトリングで鍵を撃ち抜く
鍵は砕け散り、ドアの開閉が可能となった

36 ◆06eq/BhDjA:2013/03/23(土) 15:52:48
ドアを蹴破って職員室へ進入する
こんなことしたら停学じゃ済まないだろうが、今は非常事態だ
そんな悠長なことは言っていられない
蛍光灯はすべて撃ち抜かれ、夕方ということもあってか、かなり暗い
俺達は床に散乱した蛍光灯の破片を踏まないようにして電話を模索する
と、電話に手が触れる
俺は受話器を手に取り、ダイヤルを押す


「電話線が切られてる・・・」

恐らくLBXの仕業だろう
そうでなかったとしても、これで俺達は警察の協力を仰ぐことができなくなってしまった

37 ◆06eq/BhDjA:2013/04/04(木) 18:18:51
色々誤字目立つから1話の修正版明日投下する

38 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:05:19
ピピピピピ―――――

「う〜ん…」

いつものように目覚まし時計が決まった時間に鳴る
俺はまだ眠気が抜けきらない半覚醒状態の体を無理に動かして、それを止める

これからまたいつもと同じ日常が始まる
いつもと同じように学校へ行き、勉学に励み、友人と会話を交わし……
例を挙げていけばきりがない

「隼人ー!起きなさーい!」

下の階からお袋が俺を呼んでいる
ちなみに隼人というのは俺の名前だ
フルネームは水窪 隼人である

39 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:05:52
俺は瞼を擦りながら、2階へと続く階段をゆっくりと降りる
俺の家はいたって普通な洋風建築の一軒家(3階建て)だ

「おはよう・・・」

欠伸混じりに朝の挨拶をする

「おはよう、もう朝ご飯できてるわよ」

そう言うのは俺のお袋水窪 鈴葉だ

「はーい」

トーストの香ばしい匂いに誘われ、俺は眠気を吹き飛ばし、食卓につく

40 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:14:30
トーストを齧り、コーヒーを啜る
それを繰り返す
その後皿をさげ、洗面台の鏡に向かい、身だしなみを整える
そして学校指定の制服に着替え、鞄を持ち、靴を履く

「それじゃあ行ってきます」

そうお袋に言い、玄関の扉を開け、駅へと向かう


今日の天気は晴れとテレビで言っていたが、今は太陽を雲が覆いつくしている
特に知り合いと会うこともなく、駅へ到着した
通勤中や通学中の人で駅は賑わっている
切符を買おうと思ったが券売機前は結構な人数並んでいる
仕方なく俺は普段はあまり使わないICカードを使った
何故あまり使わないかというと、俺は切符のほうが好きだからだ
理由なんてない、なんとなくだ


ホームへ着くのと同時に、目的の電車が到着した
俺は急いでその電車に乗るが、座席の確保はできなかった
既に先客に座られている

『ダァシェリエース』

電車が発車する
俺は吊り革に掴まり、目的地への到着を待つ
ふと窓の外を見ると、空は見事なまでの快晴だった

41 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:15:18
『シブヤタウン駅〜シブヤタウン駅〜』

俺の目的地であるシブヤタウン駅に到着した
俺はその駅で降り、改札機にICカードを通す

駅を出て暫くすると、俺が通う学校が見えてくる
シブヤ第二高等学校
それが俺の通っている学校だ
部活動に力を注いでいる学校で、大体の生徒は推薦で進学している
たまに普通に試験を受けている生徒も居るが

いつものように校門前に立っている体育教師に挨拶し、教室へ向かう
しかし教室までの道のりが辛い
この学校には西校舎、東校舎、北校舎と分かれている
西校舎は4階建てで、部室が集中しているため、生徒からは『部室棟』と呼ばれている
東校舎は科学室や家庭科室、職員室などが集中している
移動教室のとき以外はあまり生徒は立ち寄らない校舎だ
西校舎と同じく4階建てだ
そして北校舎
ここは各学年の教室が集中している校舎
3階建てで、上から1年、2年、3年と振り分けられている
俺は1年生なので、最上階の3階まで階段を上らなくてはならない
はっきり言って面倒だ

42 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:16:37
階段を上り1−3の教室を目指す
1年の教室は4組まであり、そのうち3組が俺の教室だ

時刻は8時10分、教室には既に何人かの女子が集まっていた
このクラスで早く来るのは男子は俺のような家が学校から遠いやつくらいで、ほかは余裕を持って20分くらいに登校する
俺は教室へ入ると、窓際最後列に位置する自分の机に鞄を置き、その中から教材を取り出し、机の中に乱雑に放り込む
その後椅子にすわり、予鈴のチャイムが鳴るまで家から持ってきたLマガを熟読する
これが俺の日課だ
ちなみにこのような私物の持込は、R−18ものや銃火器、それと菓子以外なら認められている

43 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:17:29
そろそろ大体の男子が到着する時間帯だ
今俺はサイバーランス社長のインタビューページに目を通している
特にめぼしい内容ではないが、暇つぶしには調度いい
次のページをめくろうとした時

「うぃーっす隼人、今日も早いなぁ」

ある男子が声をかけてきた

「おう、お前は今日も遅いな」

俺は適当に返事をする

俺に声をかけてきた男子、こいつの名前は『速水 龍之介』
茶色がかったウルフヘアが特徴の二枚目だ
染めているのではなく地毛らしい
入学式当日に2年生から告白された猛者だ
ちなみに断ったらしい
そういえば俺の特徴を書き忘れていた
俺の特徴といえるところは、漆黒のワイルドショートくらいしかない
体系は少し平均より痩せているという感じだ

「お前またLマガ読んでんの?」

「サラッと目を通してるだけだよ」

「同じの何回も読んでて飽きないか?」

「…流石に飽きる」

Lマガは週刊誌なので毎週違うのを読むのだが、読み終わったら次の発売日まで読むものがない
なので次の発売日まで今週号を読み直しているというわけだ

44 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:17:51
失礼、↑ミスった

45 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:18:16
そろそろ大体の男子が到着する時間帯だ
今俺はサイバーランス社長のインタビューページに目を通している
特にめぼしい内容ではないが、暇つぶしには調度いい
次のページをめくろうとした時

「うぃーっす隼人、今日も早いなぁ」

ある男子が声をかけてきた

「おう、お前は今日も遅いな」

俺は適当に返事をする

俺に声をかけてきた男子、こいつの名前は速水 龍之介
茶色がかったウルフヘアが特徴の二枚目だ
染めているのではなく地毛らしい
入学式当日に2年生から告白された猛者だ
ちなみに断ったらしい
そういえば俺の特徴を書き忘れていた
俺の特徴といえるところは、漆黒のワイルドショートくらいしかない
体系は少し平均より痩せているという感じだ

「お前またLマガ読んでんの?」

「サラッと目を通してるだけだよ」

「同じの何回も読んでて飽きないか?」

「…流石に飽きる」

Lマガは週刊誌なので毎週違うのを読むのだが、読み終わったら次の発売日まで読むものがない
なので次の発売日まで今週号を読み直しているというわけだ

46 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:18:33
今日はいつもと同様、HRの後午前の授業を受け、昼食をとったのち、午後の授業に励んむ
別に勉強を苦と思うことはないが、つまらないとは思う
将来役立つことならまだしも、何故役に立たないことまで学ばなければならないのかと考えたりする

キーンコーンカーンコーン…

本日最後の授業の終了を告げるチャイムが鳴った
学級委員の号令と共に、教師に礼をする
俺はそそくさと帰る準備をする

HRを終えた後、俺は部室棟へと向かうため、今居る校舎を2階まで降りる
この学校の校舎は全て2階に連絡通路が通っており、態々1階まで降りる手間が省ける
俺は連絡通路を通り、部室棟3階を目指す
何故向かっているかというと、俺の所属している部活の部室がそこにあるからだ
何の部活に属しているかは後でわかる

47 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:18:53
そうこうしている間に部室の前に到着した
扉には長方形に切った紙に『LBX部』と横書きされて、セロハンテープで貼られている

『LBX』とは『Little Battler eXperience』の略で、TO研究員の山野淳一郎氏によって作られたホビー用小型ロボットである
しかしホビーといわれて甘く見てはいけない
このLBX、なんと銃より殺傷能力が高いのだ
現にLBXを悪用した犯罪者がこれまでにも何人かポリスメンに捕まっている
だが正しい使い方をしていれば、間違っても人が死ぬことなんてない
これ以上は長くなりそうだから省略しよう

俺は部室の扉を開け、中に入る
部室は元々技術室だったところを再利用している
長机が3台、パイプ椅子が9脚設置されており、本などはマガジンラックに収納されている
あと、部屋の奥にリサイクルショップで買った3人掛けソファが2つ並んでいる

部室にはまだ誰も来ていないようだ
俺はパイプ椅子に腰掛け、鞄から自分のCCMを取り出す
CCMとはLBXを操作するためのコントローラーみたいなものだ
これがまた優れもので、携帯電話としての機能も備わっている

48 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:21:09
俺はCCMをネットに接続し、『@ちゃんねる』を表示する
『@ちゃんねる』とは
『「ハッキング」から「今晩のおかず」までを手広くカバーする巨大掲示板群』のことである
まだ皆が来ていないとき、俺はニュースを見て時間を潰している
世界情勢から面白ニュース、勿論LBXのことも
通常のページで@ちゃんを閲覧するとスレタイがごちゃごちゃして見づらいのだが
俺はCCM用に作られた専用ブラウザアプリをインストールしているため、スッキリ整理されて表示されている
まずは国際情勢板を開き、ざっと目を通す
特別暗いニュースはないが、明るいニュースもない
国際情勢板を閉じ、別の板に移ろうとしたとき、興味深いスレタイが目に留まった

「『大阪でLBXが暴走』?」

俺はそのスレを開ける


大阪でLBXが暴走

1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2050/10/17(月) 15:51:04.94 ID:hskOl3np
通天閣も崩壊した
マジでヤバイかもしれん

2 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2050/10/17(月) 15:52:19.62 ID:7wzje3X2
2get

3 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2050/10/17(月) 15:52:22.97 ID:xFu2qAxZ
マジならソースはよ

4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2050/10/17(月) 15:54:39.10 ID:ubEkleZK
俺大阪住んでるけど何も起こってないぞ


その後何百ものレスがあったが、>>1のレスはその1回しかなかった

49 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:24:28
「………」

俺は@ちゃんを閉じた
そしてワンセグを起動する
チャンネルを回すが、LBXが暴走したなんていうニュースはない

「なんだ、ガセか」

そう呟き、ワンセグを終了した
それと同時に部室の扉が開き、1人の女性が入ってきた

「すまない、遅くなってしまった…」

「まだ俺しか来てませんよ」

彼女は3年生でLBX部部長の篠崎 葵先輩
黒髪ロングストレートが似合う綺麗な女性だ
裏LBX大会で3年連続優勝しているらしい

「さて、皆が来るまでLBXのメンテナンスでもしておくか」

そう言って先輩はパイプ椅子に座り、鞄からメンテナンスキットとジョーカーを取り出した
ジョーカーは先輩の愛機で、クセが強く扱いにくい機体だ
市販のジョーカーは白を基調としているが、先輩のは黒く塗装されている

50 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:26:09
先輩はジョーカーのアーマーフレームを取り外し、コアスケルトンの状態にする

「あー、やっぱり腕の螺子が緩んでいたか」

メンテナンスキットからドライバーを取り出し、螺子をきつく締める
次にグリスを全間接に注ぎこむ
そしてアーマーフレームを取り付け、テストプレイを行う

「うん、これで機動性は問題ないな」

CCMを閉じ、もう一度アーマーフレームを取り外す
次はコアパーツの調整を行うようだ
しかし室内がグリスの臭いで満たされてきたので、俺は外に出ていることにした
ノブに手をかけようとしたとき、勢いよく扉が開け放たれる

「皆!大変だ!」

速水だった
走ってきたのか息を切らしている
ちなみに速水もLBX部の部員である

「どうしたんだよ速水、何が大変なんだ?」

俺が速水に尋ねる

「学校がLBXに占拠された!」

「…嘘はよくないぞ、速水後輩」

「嘘じゃありませんよ!既に職員室と放送室が制圧されてます!」

「それじゃあ、此処に攻め込んでくる可能性もあるのか?」

「今男子帰宅部が連絡通路と入り口に防衛ラインを張っているが、其処を突破されればあるいは……」

ズドンッ!!!

部室棟が揺れる
下から煙が立ち込める

51 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:26:28
「くそっ、連絡通路側がやられたようだ…」

速水が呟く

「とりあえず速水後輩、敵の侵入を防ぐためにも、扉を閉めてくれないか?あと寒い」

「あっ…、すみません」


扉を閉めたあと、俺達は速水から簡単に事の経緯を説明された

「それで、帰宅部は全滅したのか?」

「入り口はまだ頑張っているが、突破されるのも時間の問題だろうな…」

ギリリと速水は右親指の爪を噛む

「他のやつらは今何処に?」

先輩が速水に尋ねる

「……多分全員やられました」

「何だと!?」

「全員連絡通路側を護っていたので……」

52 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:47:09
そこで暫く沈黙が続く

「………気のせいかもしれないんだけど」

この沈黙を破るために、さっきから気になっていたことを口にする

「天井から音しないか?」

また沈黙が包み込む
いや、皆耳を澄ませて音を拾っているのかもしれない

「あ、音するなぁ」

速水が呟いた
やはり気のせいではなかったようだ

「でも、だんだん大きくなってるような……」

その速水の言葉を聞いて、先輩が叫ぶ

「伏せろ!」

突然天井から無数の弾丸が降り注ぐ
弾は机や椅子を貫通し、床にまで到達する
穴だらけになった天井は抜け落ち、更に大きな穴ができる
その穴からLBXが6機落ちてくた
落ちてきたLBXはウォーリアー、ムシャ、アマゾネス、ブルド、バーサーカー、ジャンヌDだ

「やはり来たか…」

先輩はCCMの電源を入れ、ジョーカーを起動し、Dエッグを投げる

「Dエッグ展開!」

53 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:48:20
Dエッグとは―――

最新式のLBXのバトルフィールドで、その名の通り卵型をしている
分離すると中央部に強化ダンボールが配置され、展開と同時にエネルギーフィールドらしきものにプレイヤーごと包まれる
ライトニングランスをはじめとするアタックファンクションは下手をすればプレイヤーだけでなく
周辺すら被害を被ることが多く
また、プレイヤーのやり逃げ防止を前提に完全決着させるため生み出された


―――Dエッグ内

「水窪後輩はともかく、速水後輩はLBXを持っているか?」

先輩が速水に尋ねる

「十分なメンテナンスはできてませんが、一応持ってます」

そう言って速水はズボンの尻ポケットからLBXトゥルーパーを取り出した
トゥルーパーは接近戦仕様であり、耐久力に優れるプロメテウス社製のLBXだ

「よし、それではバトルを開始するぞ。準備はできているな?」

そう言われて俺はCCMの電源を入れ、ブレザーの内ポケットからLBXフライトデクーを取り出す
フライトデクーは神谷重工製のLBXデクーにフライトユニットを増設したLBXだ
カラーリングは白に変更されている

「ではいくぞ!ジョーカー!」

「トゥルーパー起動!」

「いけ!フライトデクー!」


戦闘データ

ジオラマ:王宮城内

敵LBX

ウォーリアー
武器1:バルキリーレイピア&ライトバックラー
武器2:ハンターライフル

ムシャ
武器1:薙刀・斬鉄
武器2:なし

アマゾネス
武器1:バトルランス
武器2:オートマチックガン&バックラー

ブルド
武器1:ブルドアックス
武器2:4連ランチャー

バーサーカー
武器1:バーンナックル
武器2:ALBXバズーカ

ジャンヌD
武器1:グラディウス&グラディウス
武器2:アサルトAR4C&アサルトAR4C


味方LBX

ジョーカー
武器1:呪魂ソウルイーター
武器2:レッドリボルバー

トゥルーパー
武器1:メガトンパニッシャー
武器2:なし

フライトデクー
武器1:雷神棍
武器2:マキシガトリング

54 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:48:47
王宮城内に降り立つ9つの機影
敵はメインカメラを深紅に染め上げ、暴走マシンと化した哀れな6機
だがこの面子ならば勝つことは容易いだろう

バトルスタート!

CCMから合成音声が再生される
その音声が鳴った刹那、一つの爆発音がした
見ると、ブルドの頭部がなくなっていた
先程の爆発は恐らく頭部によるものだろう
そして予想通り数秒後に、残された部位も盛大な花火を打ち上げた
このような芸当ができるのはやはり

「これが極限までスピードを追い求めた結果だ」

先輩しかいないだろう
今起こったことをわかりやすく説明しよう
まず先輩はバトル開始の音声を合図に、高速でコマンドを入力した
それをジョーカーに搭載された高性能CPU『メタナスGX』が処理をし、行動に移す
先輩の言う通り、このジョーカーは極限までスピードを高めており、その速さは正に韋駄天の如し
目にも留まらぬ速さでブルドまで近づき、そして斬首した後、元々の位置まで戻った
端から見れば相手が自爆したように見えるだろう
何故なら、ジョーカーはそこにあるように見えているからだ
それ即ち残像
並みのプレイヤーが行える技ではない
これが『迅雷の天馬』の異名を欲しいままにしている先輩の実力だ

55 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:49:09
一見すればチート級の強さを誇る先輩のジョーカーだが、一つ致命的な弱点がある
防御力の欠如だ
LBXはニク抜きやパテ盛りで重さを調節する
ニク抜きを行うとスピードが上がり防御力が下がる
パテ盛りはその逆だ
先輩はニク抜きを限界まで行ったため、実際ジョーカーの中身はスカスカである
更に重くなるからとの理由でコアパーツは最低限のものしか積んでいない
なのでディフェンダーやライフガーターは装備していない
更にジョーカーはストライダーFのため、元々HPが少ない
このスペックから導きだされる解
それは一撃でも攻撃を受ければブレイクオーバーだということだ

56 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:49:31
「隼人!危ない!」

速水が叫ぶ
気がつくと俺はアマゾネスとムシャの挟み撃ちを受けそうになっていた
だがこのフライトデクーには飛行機能が備わっている
俺はフライトユニットを起動し、上空へ逃げる
そして勢い余ってアマゾネスとムシャは激突、大破した
これで残りは3機
こちらの頭数と同じだ

「水窪後輩はそのまま制空権を維持しておいてくれ」

先輩が指示を出す
俺はそれに従い、武器をマキシガトリングに持ち変えた

「バーサーカーの相手は私が行おう。速水後輩はウォーリアーとジャンヌDを、水窪後輩は我々の援護を頼む」

「「了解しました」」

3人は武器を構え直す
さぁ、第2ラウンドの開幕だ

57 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:49:48
静寂が空間を支配する
唯一響く音はフライトデクーのブースター音のみ
双方お互いの出方を伺っているのだ
一瞬でブルドを塵にした先輩、目前まで迫っていた二機を軽々とかわし、おまけに大破させた俺
そうなると自然と狙われる人間は決まってしまう
おそらく暴走LBXはAIによって制御されている
AIは人間が考えているよりもずっと単純だ
全てを学習しようとする、それがAIだ
ならばまだデータの取れていない速水を狙うのは必然と言ってもいいだろう
全員のデータを採取した後、勝利に最も有効な策を練り、そして勝つ
シナリオ通りにいけばそうなるだろう
そう、あくまでもシナリオ通りにいけばの話だ

58 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:50:03
ガッという地を蹴る音が鳴り、砂埃が舞う
やはりと言うか、案の定奴等は速水めがけて一斉攻撃をしかけてきた
ハンマーを所持しているため、速くは動けないとでも考えたのだろう
それが失敗だった

「弱点を克服できないのならば、補えばいい」

突如地面が閃光を放ち、轟音を轟かせ爆発した
砂埃が天高く舞い上がり、黒煙はジオラマ中に広がる
暫くして煙が払われた頃、そこにはスタン状態の3機が、腕や脚を吹き飛ばされた姿で横たわっていた
実は速水、バトルが始まった瞬間に周囲にスタンマインを仕込んでおいたのだ
誰にも悟られることなく、罠を張り巡らせたのだ
ちなみに速水の使用武器はハンマーではない
グレネードだ
グレネードは所持できる数に制限があるため、無限に繰り出すことはできない
だが速水は限られた数の中で敵を仕留めてみせる
その職人のような速水の技に、LBXプレイヤーは畏敬の念をこめてこう呼ぶ
『寡黙な花火師』と

59 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:50:19
「さて、とどめを刺すか」

ジョーカーが鎌を振り上げる
その瞬間、スタン状態から回復したバーサーカーが、ジョーカーにタックルを繰り出した
だがそんな足掻きも虚しく、軽くあしらわれ、首を落とされた
残りの2機はまだ横たわっている
先輩が首を小さく縦に振る
『殺れ』というサインだ
俺はジャンヌDの胴を撃ち抜き、速水はハンマーを高く掲げ、勢いよく振り下ろした
爆発の炎が真夏の太陽のように見えた

60 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:50:36
『戦闘終了』

CCMに『YOU WIN』の文字が表示され、Dエッグが消滅する
俺はフライトデクーを内ポケットにしまう

「しかし、こいつらは一体何だったんだ?」

先輩が不発したバーサーカーの胴体をいぶかしげに見つめる

「いや、今はそんなことはどうでもいいな」

先輩が速水に尋ねる

「現在の校内の状況はどうだ?」

「さっき戦ってるときに外で大きな爆発音がしましたから、あるいは・・・」

言葉を濁らせてうつむく

「そうか・・・」

そう言って先輩は俺たちのほうを向き、こう言った

「今から、私達の学校を取り戻す・・・・!」

61 ◆06eq/BhDjA:2013/04/05(金) 17:50:53
ダンボール戦機episodeβ
第1話『狂喜乱舞のアブノーマル』



62 ◆06eq/BhDjA:2013/05/15(水) 22:15:46
ここから2話の続き

63 ◆06eq/BhDjA:2013/05/15(水) 22:30:13
目的の電話が使い物にならないのならここからすぐに撤退してもいい
だが目的はもう一つある
職員室を占拠したLBXの駆逐及び教職員の安否の確認だ
しかしさっきから物音一つしない
もう既にここを占拠したLBXはどこかへ行ってしまったのだろうか
とりあえずそのLBXを探す
引き出しの中やロッカーの中まで抜け目なく探すが見つからない
諦めて部屋から出ようとしたとき、天井から何かが落ちてきた
それは天井の欠片だった
上を見ると、そこに敵はいた
巨大な腕にはタイヤらしきものがついており、片方のタイヤにはスパイクがついている
それを天井に突き刺して奴はぶら下がって俺たちを見下ろしていたのだ
すると奴はスパイクを引き抜き、こちらに向かって飛び降りてきた
それと同時に奴の両腕から眩い光が放たれる

.

64 ◆06eq/BhDjA:2013/05/17(金) 22:11:15
戦闘データ

ジオラマ:機械の墓場

敵LBX

ミノタウロス(キラードロイド)


味方LBX

フライトデクー
武器1:雷神棍
武器2:マキシガトリング

トゥルーパー
武器1:メガトンパニッシャー
武器2:なし

65 ◆06eq/BhDjA:2013/05/17(金) 22:21:34
巨大なジオラマが展開される
その大きさはDキューブ4つ分くらいだろうか
ジオラマ中央には奴が鎮座している
しかももう片方のタイヤにもスパイクが付いている
エネルギーフィールドも発生している
どうやら戦闘は避けて通れないらしい

「準備はいいか?速水」
「こっちは大丈夫だぜ」

自信たっぷりに速水は言う
こいつを心配する必要はなさそうだ

「じゃあさっさと終わらせるぞ!フライトデクー!」

「もちろんだ!トゥルーパー!」


墓場の支配者は来る者は招き入れ、去る者は喰らい尽くす

66 ◆06eq/BhDjA:2013/05/18(土) 19:02:40
『バトルスタート!』

モニター越しに奴を見るが、まあLBXより大きい
こいつはLBXなのかと疑いたくなる

「どんな奴が相手でも俺たちは必ず勝つ!」

フライトデクーを空高く飛翔させ、マシンガンを乱射する

「俺もやってやるぜ!」

トゥルーパーは膨大な数のグレネードを奴に連投する
だが奴は動く素振りも見せず攻撃を全て受けた

「やったか!?」
「速水!それ生存フラグだ!」

案の定爆煙の中から奴は姿を現した
しかも奴は無傷だ
急いで弾を装填し、奴に銃口を向ける
しかし弾を込め終わったときには遅かった

奴は空中まで跳び、フライトデクーに裏拳を繰り出した

67 ◆06eq/BhDjA:2013/05/18(土) 19:05:51
>>66
マシンガンじゃなくてガトリング…

68 ◆06eq/BhDjA:2013/05/18(土) 19:13:48
攻撃は直撃し、深いダメージを与えた
さらに奴はフライトデクーをもう片方の手で掴み、地面に思いっきり投げつけた
衝撃でフライトユニットと右腕が砕け散る

「隼人!大丈夫か!?」
「いや…ちょっとヤバイかもしれない…」

現にフライトデクーの残り体力は半分を切っている
それにこいつの長所である飛行機能が奪われてしまった
マキシガトリングも裏拳を食らった衝撃で手離してしまい、どこかに飛んでいってしまった

やむを得ず普段はあまり使わない雷神棍を構える
その有り様は単なる片腕の白いデクーだ

69 ◆06eq/BhDjA:2013/05/18(土) 19:40:25
奴は俺への攻撃を終えた後、目標を速水へと変えたようだ
立ち上がったフライトデクーには目もくれず、トゥルーパーの方に歩み寄る

「速水!逃げろ!」
「・・・」

速水は動こうとしない
黙って奴が来るのを待っているようだ

「速水!」

やはり動じない
何かを企んでいるのだろうか

遂に奴がトゥルーパーの目前にまで迫った
拳を打ち込むために足を一歩前に踏み込む

その瞬間、地面に埋めてあった地雷が爆発した

70 ◆06eq/BhDjA:2013/05/18(土) 20:07:56
奴が体勢を崩し倒れる

「ハハハハ!お前が跳んだ瞬間に地面にありったけの地雷を埋め込んでいたのさ!」

そういう速水は非常に清々しい顔をして笑っていた

「よし!このままぶっ壊すぜ!」
「おう!」

トゥルーパー、フライトデクーが身動きのとれない奴に一斉に襲いかかる

「終わりだァァァ!」

だが奴はこれほどでくたばるようなタマではなかった
奴は腕のタイヤを回転させ、ジオラマ内を縦横無尽に駆け巡り、2機を跳ねとばす
勢いで壁に激突し、かなりのダメージを負った
トゥルーパーは一撃でブレイクオーバー
フライトデクーはギリギリでかわしたため、かすっただけで済んだ
しかし体力が少ないことには変わりない
次の攻撃で仕留めなければならない

71お察しの通り名無しです:2013/09/10(火) 01:25:19 ID:???
「マジかよ……」

相手の強さに速水は動揺する
無理もない
トゥルーパーはプロウラーフレーム、ライフも防御力も並みのLBXよりはある
少なくとも一撃でブレイクオーバーすることはまずない
それほど相手のパワーが強大ということだ

「チッ……」

軽く舌打ちし、体勢を立て直す
現在の武器は「素手」、ライフは残り僅か
誰がどう見ても圧倒的に不利な状況だ

「こんな時奇跡でも起きてくれればなぁ…」

半ば諦め気味に呟いた
勝利するのは不可能に近いと悟り、本能的に発してしまった

72 ◆06eq/BhDjA:2013/09/10(火) 01:31:58 ID:JNg.kl8U

しかし、奇跡は本当に起きたのだ


「え?」

フライトデクーの前を何かが横切る
トゥルーパーはブレイクオーバーしているため動けない
奴も動いた気配はない
ならば一体あの影は何だったのか
単なる見間違いか
そう思量していると、Dキューブ内に鈍い金属音が響いた
見ると、奴の左肩の関節あたりに、見慣れないLBXが攻撃を繰り出していた
そのLBXは全体的に白く、槍と金色の盾を装備し、どこか中世の騎士を思わせる風貌をしている

73 ◆06eq/BhDjA:2013/09/10(火) 01:45:40 ID:JNg.kl8U
白いLBXは間接部にひたすら突きを繰り出す
奴は振り払おうと腕を振るうが、白いLBXも負けじと腕にしがみつく
振り回されながらも隙を見つけては突く
暫くするとバキッという音が鳴り、奴の左腕が胴体と切り離された
続いて白いLBXは地面に着地すると、有無を言わさずすぐさま必殺ファンクションを発動する

『アタックファンクション ライトニングランス』

大きな光の槍が放たれ、またも奴の右肩関節部分を貫く
奴は合成音声の悲鳴をあげ、右肩を押さえようと尽力するが、その隙を俺は逃さなかった
激闘が繰り広げられている間にマキシガトリングを拾っておき、弾を装填していたのだ
肩の関節を重点的に狙い乱射する
幸い白いLBXが与えていたダメージもあって、右腕は簡単に外れた
それと同時にCCMのモニターに『YOU WIN』の文字が表示される

74 ◆06eq/BhDjA:2013/09/10(火) 01:53:34 ID:JNg.kl8U
眠い寝る

75 ◆06eq/BhDjA:2013/09/10(火) 23:04:28 ID:JNg.kl8U
その後、俺たちは隣接する校長室に監禁された教職員を発見、拘束を解いた
ある教師曰く、LBXに催眠スプレーを噴射され、気がついたらコードで縛られていたらしい
俺たちは事件の要点のみをかいつまんで話し、教師たちを怪我人の救護にあたらせる
続いて俺たちも先輩と合流すべく放送室へ駆け出した

76 ◆06eq/BhDjA:2013/09/10(火) 23:06:43 ID:JNg.kl8U
ダンボール戦機episodeβ
第2話『廃棄された迷宮の主』



77 ◆06eq/BhDjA:2013/12/05(木) 17:15:38
戦闘シーンもっと頑張りたいな


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