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落書きスレ2022
71
:
◆/D8/honey2
:2023/01/20(金) 23:39:30
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霊的なナニか メイキング補足、参考作品『夜叉ヶ池』について
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>>65
で
「霊的なナニか」も、とある昔の文学の世界観をだいぶ意識していますって書きましたが
霊ナニでもとうとう水害が起こってしまったのでその辺のお話を。
意識した作品は大正時代に 泉鏡花 によって書かれた戯曲 『夜叉ヶ池』 ですね。
その戯曲の元になった福井県の『夜叉ヶ池伝説』からも「龍神が人間の嫁を欲しがる」等借りてる設定はありますが、
戯曲『夜叉ヶ池』の「個人の感情で躊躇なく村を滅ぼす水害を引き起こす」竜神、といった
人間とは違うけど人間らしい怪異ならではの価値観で進む部分など実はかなり影響受けています。
シチュエーションでも、例えば神の前でちっさい人間同士が諍い起こして取り乱した方が鎌振り回すとかね…w
といっても霊ナニみたいな稚拙で泥臭い物語とはぜんっぜん違います!一緒にしちゃいけません!
夜叉ヶ池は現代まで人々に愛される不変のロマンチックストーリーだし、
竜神は感情移入できる美しく切ない、見る人によっては十分惚れるに足るお姫様ですから。
作者の「泉鏡花」は幻想的で魅惑的な怪異の世界を綴ることでも有名な作家ですが、
(俺の読書はコンプリート型ではないので彼の全ての作品を網羅してるワケではないがw)
この『夜叉ヶ池』もそんな感じです。
大正時代の文学だけあって、古典苦手な人がぱっと見たらウゲッてなるような古い文体なのですが、
この泉鏡花の文章ってのはお堅くなくてめっちゃ柔らかく、繊細で鮮やかな文体です。風雅さのかたまりですww
そもそも「泉鏡花」ってペンネーム見ただけでも本人がどんだけ美しい文語を操る人かって伝わってくるよねぇw(でも男だよ!)
ちょっと冒頭の部分の一部切り抜き。戯曲なので台本形式で綴られております。
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晃 いや……お手伝いという処だが、お百合さんのそうした処は、咲残った菖蒲を透いて、水に影が映さしたようでなお綺麗だ。
百合 存じません。
晃 賞めるのに怒る奴がありますか。
百合 おなぶり遊ばすんでございますものを。――そして旦那様は、こんな台所へ出ていらっしゃるものではありません。早くお机の所へおいでなさいまし。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これは主人公夫婦の会話ですが、まずは百合さんの台詞、夫の誉め言葉に「存じません」とふくれっ面でもしてるであろう態度。
これをくだけた現代語訳すると「もー知らない(赤面しながらプィ)」にあたると思います。
その後の「おなぶり遊ばすんでございますものを」は「だってからかってくるんだもん(イジイジ)」でしょうか。
今の漫画でもあるような萌える照れ隠しな感情表現がこの時代にもあるんです。
逆に「存じません」ってこの古風な言葉遣いの方が余計に一切の汚れのない品の良さと知性を連想させてくれて、余計萌える気がしませんか?
ゴージャスに咲き誇る花ではなく、咲き残った菖蒲が水に映った様子に例えられる百合さんは
きっと目立つ訳ではないけど清楚で透明感がある凛とした美しさと儚さのある容姿。
夫に容姿を褒められて恥じらってしまうウブな雰囲気があり、台所仕事を手伝いに来た夫を立てながら断る奥ゆかしい存在。
そして夫の晃さんの最初のセリフは冷たい水で米を研いでる妻の手を思いやって台所に手伝いに来たのですが、
思わず妻に見惚れて臆面もなく花に例えちゃうシーンです。どんだけベタ惚れなんだよと。
たったこの数行だけで美しく奥ゆかしい妻と妻への愛情が誠実かつストレートな夫、
古風だけど魅力的な夫婦の羨ましくなるほど仲睦まじい様子が伝わってきますよねー。
似たようなシチュは他の創作でもあるけどさ、言葉遣いとか形容の仕方とかの風雅さが凄い極まってるのよ…!(俺の語彙が足らん)
こんな感じで泉鏡花って作家は現代人でも共感できる感情を品のいいロマンチックで美麗な文章でどんどん浴びせてくるのです。
古文ちょっと苦手な人でも、知ってる言葉を拾うだけで情景が広がって来て読み進めることができるんじゃないかと思います。
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