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己の妄想を思いのままにキーボードに叩きつけるスレ
6
:
真琴売り飛ばしSS第一話</b><font color=#FF0000>(makOP2yQ)</font><b>
:2002/12/14(土) 00:29
「あぅーっ!?」
ガタン!
「わあっ!?」
ビタンッ!
最後の局が終わった瞬間、真琴は思わず椅子から立ち上がり、その瞬間椅子に足を取られて派手に転んでしまった。
「真琴ちゃん、大丈夫?」
真琴の友人、川口茂美が心配そうに真琴の顔を覗き込んだ。
「あぅぅ、痛い」
「怪我は……。よかった。無いようですわね。でも」
真琴の友人であると同時にL氏と同じ組織のメンバーでもある九品仏さくらは複雑な表情を浮かべて呟いた。
「残念ですけど、真琴ちゃんの負けのようですわ」
そう、真琴はL氏との勝負に敗れてしまったのであった。
「さて、まこぴー……。賭けのことは忘れてないよね?」
L氏がにやりと笑いながら分かりきったことを尋ねる。
なんで、あんな勝負、受けちゃったんだろう……。真琴は今さらながらに激しく後悔していた。
その賭けを提案してきたのはL氏の方だった。真琴が負けたら、真琴は売り飛ばされる。負けた時のことを考えると到底受けられない賭けであった。ましてや、L氏の麻雀の腕は一流である。しかし、真琴には根拠のない自身があった。
「あはは。真琴が勝って、また、Lさんに真琴の絵描いてもらうんだからっ」
そう言いながら、「今度はどんな絵を描いてもらおうかな」などと考えていたほどであった。だが、今になってみると、それは、本当に全く根拠のない自信であった。かなり眠くて、ハイになっていたせいもあったのかもしれない。ともかく、真琴は受けてはいけない賭けを軽々しく受けてしまったのであった。
「あぅー……売り飛ばすって……。真琴、どうなっちゃうの?」
「俺の家に来るんだよ」
「あぅっ!? Lさんの家っ!?」
「そうだよ、まこぴーは賭けに負けたから、俺の家に売り飛ばされるんだ」
「あぅー、真琴がLさんの家に……?」
「俺の家じゃ嫌?」
「ど、どこだって嫌に決まってるでしょっ!」
「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても、僕は──」
コンコン。L氏が何か言いかけたところで部屋の扉がノックされた。
「どうぞ」
L氏の入室を促す声に従って「失礼します」と言いながら入ってきたのは麻雀ルームの従業員だった。従業員は真琴たちに向かって恭しく頭を下げた後、L氏に車の到着を告げ、何か書かれた紙片を渡した。L氏は紙片に書かれたメモを一読して、くすっと笑った。
「ありがとう」
L氏はそう言いながら従業員にチップを渡すと、立ち上がって真琴の肩をポンと叩いた。
「じゃ、車も来たみたいだし、行こうか」
「あぅっ? い、今すぐっ? そ、そんなっ! お家にも何も……」
「家の方にはもう連絡が行ってるよ」
「えっ……!?」
「一応保護者の方の了承を取っておこうと思ってね。勝負が始まる前に水瀬さんちに電話して、秋子さんとお話させてもらったよ」
「そ、そんなっ!? いつの間に……」
「秋子さんもちょっと驚いてたみたいだけど、『真琴が自分で勝負することを決めたのなら』ってことで、了承してくれたよ」
「あ、あぅ……」
「で、ここの支配人に、俺が勝ったらすぐにまた水瀬さんちに電話するように言っといたんだよ。『真琴、がんばってきてね』って伝えてくれって、秋子さんから」
「あぅーっ、そんなぁ……」
さくらにその日の別れを告げ、L氏と茂美と三人で車の止めてある正面入り口へと向かう廊下を歩いている間、真琴の表情はころころと変わっていった。「なんで真琴がっ」と怒りを浮かべていたかと思うと、「うー……」と不安げな表情で俯き、「あぅー……」とべそをかき、最後には「はぅー……」と溜め息をついて下を向いてしまった。
「真琴ちゃん……えーっと、ふぁいと、だよ」
元気づけようと話し掛ける茂美とあぅあぅ言っている真琴の隣をL氏は上機嫌で歩いていた。
「なに、この世の終わりみたいな顔してるの、まこぴー?」
「あぅー……終わりよぅ……。これからどんな酷いことされるのかと思うと……」
「ははは。酷いことなんてしないよ。なんせ……」
L氏はそこで言葉を切ると、これでもかと言うほどに爽やかな笑顔を作り言い放った。
「僕は紳士だからね(´▽`)」
「あぅー……」
その笑顔を見て、真琴の不安はますます大きくなっていくのであった。
【つづく】
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