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己の妄想を思いのままにキーボードに叩きつけるスレ

50Akane:2003/09/23(火) 02:23
ONEアンソロジー3巻より、草壁レイ氏作の「ewige Wiederkunft」を小説風に書き下ろしてみました。
お暇があったら読んでみてください。

§§§§§§

「ただいま」
「おかえりなさい……浩平!」

二人の再会は、永遠とも思える長い苦しみから茜を解き放った。
一度は救い、再び絶望に追いやった浩平は、こうしてようやく茜を救うことができたのだった。

もちろん浩平は知っている。自分も茜に救われたのだということを。

それからの二人は、誰が見ても幸せそうに見えた。

 ***

再会後のある日、いつものように二人で街を歩いた後、いつもの公園へとたどり着いた。
東にむかって伸びる長い茜の影が、ベンチに座る浩平を包む。
雲ひとつない空は綺麗な茜色を帯びていた。

「なぁ、茜」

浩平らしくないトーンの落ちた声。茜は少し上を向いてから、もう一度浩平に視線を戻した。

「はい」
「永遠って、あると思うか?」

真剣な浩平の瞳に気圧されてか、茜は俯いてしまった。
同時に影も俯き、浩平がオレンジ色に染まる。

「…はい」

それを聞いた浩平の表情は、いつもの笑顔に戻っていた。

「はは。ずっとこのまま、か……。それもいいかもな」

それは半分、諦めたような自嘲だったのかもしれない。

「なー、あか」
「嫌です」

咄嗟、茜は浩平の言葉を遮った。
そうじゃないと訴えかける茜の眼差しが、背後で輝く光に強調されて一層強いものとなっていた。


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