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【嫁の笑顔と】東方キャラとイチャつくスレ35【青い空】

113名前が無い程度の能力:2014/08/31(日) 00:01:44 ID:cOUpiOgE0
初めて投稿いたします。いたらぬところは多いですが、何卒ご容赦を……

短編・魔理沙
空を見上げる。
夜空に浮かぶのは薄ぼんやりと輝く真ん丸な月。邪魔なネオンの光もないここでは、月の光が眩しくさえ見える。
季節は夏、しかし夜ともなれば昼間の暑さも少しは和らいでくれる。
月の光を見上げながらマッチをこすれば、灯った小さな灯りが寂しい夜を少しだけ照らしてくれた。

「ふぅ……」

ため息を一つついて、タバコに火を移す。ひと呼吸……口腔内に広がる、焦げたような香ばしさ。
博麗神社での宴会終わりの、一人の時間。一人だけの楽しみだ。
冗談で、月に届けと空に煙を吐き出す。白い煙は願い虚しく風に漂ってすぐに消え去った。
幻想郷にきてもうどのくらいになるだろうか?
外界生まれの外界育ち、オカルトめいた事とは何の関わりもなく、それなりに自由でそれなりに不自由な暮らしを送ってきた自分が何の因果か迷い込んだこの不条理な土地、最初は勝手のわからなかった暮らしだが、一応の仕事にこうして里の外れに家までもらって、大分慣れてきたところ。
分からない事だらけの見知らぬ土地だが、それでも外界時代から愛飲していた銘柄のタバコがあったのはある種の救いだ。両切りで短く、そのくせタールだけはバカみたいに高い安タバコ、知人友人からは怪訝な目で見られたものだが、ふかしても味わい良し、普通に吸っても楽しめる銘柄は他にない。

「おっす!って、げ。お前また煙草なんて吸ってのかよ?」

不意にかけられた声に驚いて、灰が地面にこぼれ落ちた。聞き覚えのある声に振り返れば、そこにあるのは案の定見知った友人の姿だった。
夜に溶け込むかのような黒装束を着た、金色の髪の少女、霧雨 魔理沙。こっちに来てからかなり早いうちに知り合った友人。

「よう。……別に良いだろ?誰に迷惑かけてるわけでもねぇし。」

「いーや。こうして見ている私が不愉快なんだ、迷惑被ってるぜ。」

「……わざわざ人の家の前まで来てよく言うぜ。」

そう言いながらも、タバコの先を上げた靴底に押し付けて鎮火する。
やはり、友人にこういう所を見られるのは好きじゃない。昔からそうだ。つまり自分はどこまで行っても人の目を気にしてしまう臆病者。

「で?何の用だ?こちとら久しぶりの休みでゆっくりしてんだ。用がないなら早く帰れ。」

しっしっ、と手を振って追い返す素振りを見せるも、魔理沙はニヤニヤ笑いながらこちらに寄ってくる。

「釣れないこと言うなよ。こんな美少女が来てやってるんだから少しは喜べ。」

「けっ……」

口の下手な自分が嫌になる。本当は友人が訪ねてきてくれて嬉しいのに、どうしてこんな風にしか言えないのだろう。

「しかし何だって寂しそうに月なんか見上げてため息なんてついてたんだ?そんなガラじゃないだろ?」

「まぁな……少し寂しくてな。」

言ってからしまったと思った。
見れば魔理沙は顔いっぱいに嬉しそうな表情を浮かべている。この少女に話のネタを与えてはいけない。

「寂しい?何が?ほら、お姉さんに言ってみろ。」

「えぇい、うっとうしい。誰がお姉さんだ、だいたい俺のがお前よか年上じゃねぇか。」

「こっちでの暮らしに関しちゃ私はお前の先輩だぜ?おっさん」

「誰がおっさんだ!そこまで歳くってねぇよ!」

こんな馬鹿な掛け合いも何度目になるのだろうか?魔理沙がからかって、自分が受けて、最後には自分が折れる。そんな空気が不思議と嫌いじゃなかった。


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