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霧雨魔理沙の一日
122
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/30(土) 07:10:11 ID:sqBsy5a20
13:20
私は紅魔館に来ていた。橙の案内でスキマを通ってだ。
途中で橙が迷っているように見えたこともあったが、多分気のせいだ。
気のせいであってほしい。藍は別の仕事で来られなかったと、橙は言っていた。
紫は面倒がって来なかっただけらしいが。霊夢たちは神社に残った。
まあ大勢で来ても特にできることはない。たま(結局パチュリーは、
霊夢の付けたこの猫のような名前を採用した)が倒れた時には、
動揺しているようにも見えたが、すぐに落ち着いたようだ。
ちょっと血を見たくらいでいつまでも動転していては、幻想郷の巫女は多分務まらない。
そして今、私は治療(本人は修復と言っていた)を終えたパチュリーと、
紅茶を飲みながら話しているのだった。
123
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/30(土) 10:37:27 ID:j2Uq82sY0
話題は私のホムンクルスを作るかどうかだ。
私はついさっきまのたまのことで心乱されていたというのに、平気でこんな話にもっていくとは
さすが世間ずれしてない動かない大図書館だけあって、私とは感性が違うぜ。
パチュリーはさしあたって作る側作らない側どちらでもない中立のスタンスのようだが
とにかく私が小魔理沙の存在についてどういう感想を持つか、そうとう興味があるようだ。
124
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/31(日) 02:49:44 ID:nzgtiL6c0
13:21 (何でパチュリーが決めるんだぜ?
決めたのは私だからな。そして「たま」は愛称で本名は珠江だぜ。)
125
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/31(日) 07:16:38 ID:hj.T1Q2I0
13:24
「たまが小さいのは咲夜と区別しやすくするためよ。貴女より小さいと、
何かと不便でしょ。だから貴女をモデルにホムンクルスを作るなら、
貴女より背が高いように作ろうかしらね」
たまは咲夜と比べると小さく感じるが、私と同じくらいの身長はある。
「何か嫌だな」
自分と似た顔で体型の違う奴がいるというのは。
「あるいは他の特徴を付けてみるとか。髪が赤いとか、耳の形が違うとか」
「やっぱりやめておこうぜ」
「そうね。私としても貴女みたいな性格の人間にはあまり増えてほしくないし」
「というか、咲夜はよくたまを作るのを承知したな」
「『仕方がないですね』と言っていたわ」
嫌々だったのか。
「『作ってしまったものは』」
「事後承諾なのかよ」
「それはともかく、あまりホムンクルスを増やしたくないってのもあるわね」
「何か問題でもあるのか?」
「死神や閻魔がうるさいこと言ってきそうじゃない?不完全とはいえ魂の錬成なんてやっていると」
一人や二人なら目を瞑ってもらえる……なんてことは無い気はするが。
126
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/31(日) 14:33:46 ID:EixFEZgsO
13:26
「失礼します」
小さなカートを押しながら“たま”が入ってきた。
「ご昼食です」
おや、もうそんな時間だったか。
「ありがとう」
そう言ってパチュリーは空いたカップを差し出した。
「似合うじゃないか!」
「ありがとうございます」
お茶をカップに注ぎながら照れくさそうに微笑む。
たまは今、メイド服を着ている。咲夜のとデザインが少し違うが、やはり小さい咲夜にしか見えない。
「その服、私のおみたてなんですよ〜」
書庫の奥から小悪魔が笑う。
「もっともそれを仕立てたのは美鈴さんですが…」
「ほう?」
美鈴の奴、案外器用だな。
「さ、お召し上がり下さい」
たまに勧められて少し遅い昼食を始めた。
私にはサンドイッチが、パチュリーにはスコーンにシロップ漬けの果物の小皿…まあ少食だからな…が並べられた。
あと、お茶…はまさしく咲夜が淹れたものと区別がつかない。
一杯目は濃いめにしてもらいミルクと砂糖で楽しんだ。
127
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/01(月) 05:39:10 ID:592aqunI0
13:30
「それで、こいつの寿命は延ばせるのか?」
「延ばせるわよ」
…………延ばせるのかよ。延ばせるのかよ!
「方法については研究中だけれど、半年以内には何とかしましょう」
「深刻になって損した気分だぜ。で、もっと手っ取り早い方法は無いのか?」
「例えば吸血鬼化だけれど、さっき話した通り、この子は魂が脆いの。
吸血鬼の強力な力には多分耐え切れないわ。最悪の場合、魂も精神も無く、
本能的に血を求めて動き回る肉体だけが残るわね」
「確かにそれは最悪だ」
「割と何でもできるスキマとか、永遠を操る連中とか、魂を弄ぶ仙人とかの方が、
こういった仕事はうまくできるのかもしれないけれど、できれば頼りたくないし」
「まあ、そうだな」
あまり借りを作りたくない相手ばかりだ。
128
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/02(火) 05:15:28 ID:MOtBCSbw0
13:59
結局彼女は紅魔館に残ることになった。パチュリーは、
また今回のようなことがあっては困ると言い、私もそれに反論できなかった。
たまは笑って見送ってくれた。魔法もメイド業も紅魔館で学ぶそうだ。
橙がさっさとスキマで帰ってしまったので、帰りは箒だ。
その前に博麗神社にまた顔を出しておくか。
129
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/03(水) 06:03:39 ID:thnuayiM0
14:08
少し飛ぶと、紅魔館は見えなくなった。朝に比べ、空が曇ってきている。
寒いな。また雪が降るかもしれない。
「何か私に相談したいことがあるんじゃない?」
突然話しかけられて驚いた。振り返ると、青い髪の仙人がすぐ近くにいた。
「無いぜ」
そんなに困った顔をしているように見えたのだろうか。
「ふーん。まあ何かあったら気軽に相談してね」
130
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/03(水) 16:57:34 ID:m73R69Cs0
14:15
というわけで博麗神社にもどったぜ。
そこでは霊夢たちが私抜きで面白そうな珍騒動をくりひろげていた。
どれどれ、私もまぜてくれ
131
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/03(水) 17:43:18 ID:ILYLb1S60
14:20
早苗「だからー!UNOって言ってないから上がれないんです!」
霊夢「いや初めてやるし、そんなの知らないわよ」
どうやらスペルカードの話みたいだ
手に何枚かカード持っている
新しい魔法の研究にでも使わせてもらおうか
132
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/04(木) 04:30:13 ID:D.fGXasA0
16:15
霊夢たちがやっていたのは、トランプに類するカードゲームだった。
魔法の役には立たなかったが、なかなか面白かった。
「暗くなる前に帰った方がいいわよ。あんたの分の夕飯は出さないからね」
夜は妖怪も出るし、そろそろ出た方がいいか。早苗は泊まっていくようだ。
今から守矢神社まで帰るのは危険だし、仕方がないか。
「長居して悪かったわね。またいずれ」
そう言い残して、アリスは一足先に帰って行った。私も神社を後にする。
133
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/04(木) 09:50:47 ID:JctOa7vI0
16:16
だが待てよ…
「あんたの分は」ということは
早苗の分は出すのか!?
霊夢あんにゃろう
神社に舞い戻ってこっそり様子をうががってみよう
134
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/04(木) 15:27:00 ID:u/nP1BZEO
16:19
“忘れ物だぜ!”とか適当に言い訳して戻ってみればなんてことはない。
早苗は酒から何まで食材を持参していたのだ。
「あら?魔理紗さん!」
台所にいた早苗は歓迎してくれた。
霊夢は驚きも怒りもしない。いつもの居間で四合徳利を前にしてひとり飲みしていた。
「邪魔するぜ」
無言のあいつの横に腰を下ろす。
私は徳利を引き寄せるとふところから杯をとりだして注いだ。
「ん!旨いなこれ」
台所から声
「お燗にしますか?」
ありがたい!私は早苗に燗酒を頼み、小皿にきれいに盛られた漬物や焼き味噌をつまんだ(これもうまい!)。
霊夢はいつもの仏頂面で冷や酒を口につけているぜ。
135
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/05(金) 07:12:49 ID:1pwWyMjQ0
18:31
「さて、お腹もいっぱいになったし、弾幕ごっこでもやるか」
「私はやらないわよ。冬の夜は寒すぎるわ」
確かに部屋の外に出てみると、ひどく冷える。と思ったら、また雪が降っていた。
「積もりそうだな」
「困ったわね。明日はあんたに雪かきを任せてもいい?」
「お前はやらないのか?」
「言ったでしょ。年末は神社も何かと忙しいのよ」
明日は仕事を押し付けられる前に退散するか。
「早苗はしないか、弾幕ごっこ?」
「私もこう寒いと遠慮したいですね」
「元気がないなあ」
そう言いながらも、私自身少しやる気を失いつつあった。
「なら私とする?」
神社の外、夜の闇の中から声が掛かった。
136
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/06(土) 04:52:17 ID:StMc0YXw0
18:36
私は苦戦していた。真冬で、雪が降っていて、夜。その上酔っている。
有利な要素が何もない。不利な要素が多すぎる。
「何やってるの?押されてるわよー」
下から野次が飛ぶ。うるさいな。いま何とかしようとしているだろ。
――恋符「マスタースパーク」――
――怪符「テーブルターニング」――
渾身の魔砲も目標を見失って空を切る。反動で動けない所に飛んできた
雪の塊を受けて、バランスを崩す。二度目の被弾だ。もう後が無い。
この時期の雪女がこれほど厄介だとは思わなかった。
吹雪で視界は最悪だ。くそっ、レティはどこに行った?
137
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/07(日) 06:00:08 ID:VtQEvYms0
18:37
死角から飛んできたレーザーが脇腹をかすめる。危ない所だった。
これ以上の長期戦は形勢の差を広げるだけになりそうだ。勝負に出るしかないか。
――彗星「ブレイジングスター」――
身に纏った魔力で周囲の雪と寒波を吹き飛ばす。レティは……あそこか。
「喰らえっ!」
「きゃあ!」
そのまま体当たりでレティを跳ね飛ばした。体勢を立て直し、もう一発!
「ぐ、くうっ……」
今度は躱される。とはいえここで畳みかけるしかない。
――冬符「ノーザンウイナー」――
向こうも次のスペルを宣言した。吹雪が強くなる。撒き散らす星屑が払われ、
身に纏った魔力ががりがりと削られる。急いで決めに行かなければ。
「勝利宣言には、まだ早いぜ!」
突進は避けられたものの、放った星の弾幕が相手をとらえた。
これで被弾数は並んだ。ブレイジングスターの効果が切れる前に、決着を……
次、の、一撃、を……あれ?力が、抜ける。加速、できない。意識が……
正面から大きな弾が……避けないと…避け……
「寒さで体力を奪われすぎたみたいね」
その言葉は、荒れ狂う吹雪の中だというのに不思議にはっきりと、落ちていく私の耳に届いた。
138
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/07(日) 07:57:27 ID:OnCDfkBc0
19:10
気づいたら博麗神社の中にいた
隣に私よりケガが多いレティが寝ている
私はレティにほとんどダメージを与えていないから、私を倒した後、霊夢に挑んで返り討ちにされたんだろう
「気づいたみたいね」
霊夢がお茶を淹れてきた
レティの分もあるな。こいつは本当に博麗の巫女か?
まぁお茶もうまいし、レティにはまた今度再戦を申し込もう
139
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/08(月) 00:30:08 ID:mEu98ARs0
19:15
ぐすっ…
どうやら風邪をひいちゃったみたいだぜ
ちょっとくらくらするな
140
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/08(月) 03:14:45 ID:8V/i.wbo0
19:16
「雪の中飛び回ったりするからよ」
レティが横になったまま口を開いた。起きていたのか。
「いや、お前のせいだろ」
「今日雪が降っていたのは元々よ。だから調子は良かったんだけれど。
二連戦は流石に無茶だったかしら」
「二戦目じゃなくても負けないわよ」
「風邪のときには葱で首を絞めるといいわ」
「少し違うぜ」
「鼻水は止まるわよ」
「呼吸もだろ。私は葱より卵酒が良いな」
「では、作ってきますね」
早苗がそう言って台所に向かう。
「私の分もお願い」
「霊夢さんも風邪気味ですか?」
「いや、単に飲みたくなっただけ」
「じゃあ私もー」
いや、お前は絶対風邪ひかないだろ。
141
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/09(火) 03:23:12 ID:8X2TsMns0
21:32
「それじゃあ、私はもう一仕事したいし、行くわね」
レティはそう言って、席を立った。何の仕事なんだか。
「里の人間は襲っちゃ駄目よ」
「分かっているわよ」
出ていくとき、彼女の傷は既に無かった。ああいう回復の速さを見ると、
妖怪が羨ましく思われる。もう少し霊夢たちとのお喋りに興じていたかったが、
風邪はこじらせると厄介だ。少し早いけれど、布団を借りて床に就いた。
142
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/09(火) 03:42:34 ID:VXzKnmXg0
21:55
目が覚めたというか、私としたことが寝る前にトイレにいっとくのを忘れてたぜ。
冷えないように霊夢が貸してくれたどてらを着て布団から起き出す。
けっこう急ぐんだが、霊夢んとこのトイレは夜一人でいくのは怖いんだよな。
霊夢か早苗はまだ起きてるかな?
143
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/10(水) 03:31:23 ID:Ovowebm60
21:58
居間の明かりはまだ点いており、話し声が外に漏れていた。
二人ともまだ起きているらしい。……怖いから付いて来てくれとは、
言いにくいな。居間の前を通り過ぎ、一人で手洗いに向かおうとしたところ、
障子戸が開いて、霊夢が出てきた。
「あら、魔理沙。寝たんじゃなかったの?」
「ちょっと手洗いを借りるぜ」
「良いけど……ふーん。付いて行ってあげてもいいわよ」
「……なら、頼む」
「珍しく素直ね」
そうかもしれない。体調を崩して気が弱っているのだろうか。
「早苗。しばらく席を外すから、一人でやってて」
「はいはーい」
陽気な声が返ってきた。玉子酒だけでは飽き足らず、
二人で晩酌を続けていたようだ。
144
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/11(木) 05:34:22 ID:J89Ce9Ew0
22:02
用を足して外に出ると、霊夢がいなかった。
一人で先に戻ってしまったのだろうか。薄情な奴だ。
……私も早く部屋に戻って寝よう。そう思ったところで、
後ろから肩を叩かれた。
「ひっ!?」
恐る恐る振り返ると、小傘が笑っていた。
「ごちそうさまー」
こっ、このっ……!近くの部屋の襖が開いて、霊夢が出てきた。
笑いを噛み殺している。巫女が妖怪と一緒になって人間を驚かせるなよ。
怯えるのも腹を立てるのも馬鹿馬鹿しくなった。私は二人を残してずんずんと歩いて、
部屋に戻ると、再び眠りに就いた。
145
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 00:36:43 ID:6WTF5xas0
9:00
目が覚めた。壁に掛かった早苗がぽうぽうと鳴いて遅い朝を告げている。
昨夜は風邪をひいてしまったから、こんな時間まで眠ってしまったのだろう。
146
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 00:46:31 ID:uThDIEl60
壁に掛かった早苗!?
147
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 00:59:42 ID:jitnt82s0
9:15
あ、霊夢型家事ロボットが朝食を持ってきたようだ
壁の早苗の鳴き声を止めて食べよう
そういえばレティは・・・
いつも通り四六時中ラジオ体操をする作業に戻ったみたいだ
それにしても何か違和感がある・・・
一体何だろう・・・?
148
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 04:26:24 ID:HPoepmQE0
19:18
庭一面に積もった屋根瓦に醤油を垂らし、囲炉裏で膝に注連縄を巻き付けると、少し落ち着いた。
高下駄の木目はそう悪くない。余計な鰹節が軒並みをそろえる前に、帰るとするか。
「家が心配だし、私は帰らせてもらうぜ」
壁の早苗は黙りこくっていたし、霊夢型ロボットは軽く小傘を傾けただけだった。
レティはラジオ体操第二に余念がない。私は水澄ましを蹴って、神社を後にした。
149
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/13(土) 00:27:48 ID:0FJiVGT.0
9:20
なんか午後になったような気がしてたが
まだ風邪が治りきってないんだろうぜ。
今日は香霖に風邪でもうつしにいくか。
150
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/13(土) 04:35:25 ID:vTujT2L60
9:37
香霖堂は怒涛の大八車で、普段よりなお提灯の寄り付かない感じだった。
栓を開けると、香霖が座って、豆腐を回しているのが見えた。
こちらに気付いた香霖は、驚いた表情で立ち上がると、ずかずかと歩いてきた。
奴は自分の額を私の市松模様に押し付けると、
「酷い熱だ……君は奥で寝ていろ。絶対安静だ」
と言った。顔が、近い。声が大きい。そんな大声を出さなくても分かるぜ。
ぜったいあんせい……って何だっけ。
「今薬を出す……だから、外に出ていこうとするな!」
そう言うと、香霖は私を担ぎ上げ、奥の部屋に引っ張り込んだ。
この部屋、寿老人だらけじゃないか。香霖の敷いた御神酒に身体を横たえると、
急に寿司桶が押し寄せてきて、私は夜の帳に飲み込まれた。
151
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/14(日) 01:24:21 ID:biP5H8uw0
10:00
人里だぜ。
何か騒ぎがあるので香霖は見物しにいくんだそうだ。
私は店で寝てろと言われたが香霖が出て行くんじゃ説得力ないぜ。こっそり出てきた。
さて人里では珍しく永遠亭の連中やら妹紅、萃香や勇儀たちまで集まっているぜ。
いったいなにがはじまるんだろうな
152
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/15(月) 04:54:40 ID:Uf8VBO2g0
10:02
「よお、永琳。何があるんだ?」
「新しい酒屋ができたらしくてね。記念の利き酒会よ……
って、貴方大丈夫?酷い顔よ」
酷いことを言う。永琳は私の額に手を当てる。
「やっぱり熱があるわね。とりあえずこれを飲んで、今日はおとなしく家で寝ていなさい」
薬を手渡された。辺りを見渡すと結構な人だかりだ。角やハンチング帽まで見える。
「……その店一日で潰れるんじゃないか?」
「一人あたりが飲める量は決めてあるらしいから、大丈夫なはずよ。
さあ、病人は帰った帰った。酒なんて飲んだら悪化するわよ」
153
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/15(月) 13:54:24 ID:IAFgzpcMO
10:05
そう病人扱いされたら何だかダルくなってきたな…。
せめて品揃えだけでも見て帰ろうと店先に近づくと…
「おう?魔理沙!」
星熊勇儀の声だ。
いつもの薄着でなく、つば広の帽子をかぶり、やたら大きな毛皮を肩から羽織っている。
「よぉ…暖かそうだな?熊か?」
「いや、“ばっはろぅ”とかいう野生の牛の毛皮らしいね」
触ってみると羊の毛みたいにふかふかしていた。
帽子は革製で洒落ている。
「“てんがろん”だよ。桶がわりに水も汲めるらしいが…これじゃあなぁ」
角を出すための穴が空いているのだ。
「それは仕方ないだろう」
苦笑してる勇儀から渡されたやつを被ってみると、少しぶかぶかだった。
「貴女…顔が赤いわよ?風邪ね…」
行列から出てきた橋姫パルスィは顔をみるなり言ってきた。
「ん?たしかにそうだな」
「いや大したこと無いさ」
二人にそうごまかすが、パルスィは鋭い目付きで無言だ。
しかし、整った顔立ちに白い肌。金髪に緑の瞳…よく見りゃかなりの美人だぜ…。
154
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/16(火) 00:28:40 ID:ovVDQ5r.0
10:10
というわけでパルスィに奥の部屋につれこまれ服をぬがされ、汗を手ぬぐいで拭かれ、寝巻を着せられた。
有無をいわせずだ。
もっと引っ込み思案な奴だと思っていたが見かけによらず強引なところがあるんだな。
今はむこうでお茶漬けだかおかゆだかを作ってくれてるところだ。
ここはパルスィの家でもないだろうに行動力あるなあ…
155
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/16(火) 04:25:42 ID:WDE2TV/s0
10:38
パルスィが作ってくれた粥を一口含んだとたん、急に吐き気が押し寄せてきて、
私は今朝食べた朝食を戻してしまった。彼女が桶を用意していたので、
部屋と布団は無事だったが。あれ、思ったよりやばいか……
「別に、不味かった、わけじゃないぜ」
「分かっているわ。落ち着いたら少しだけ食べて寝なさい」
彼女の言に従う。……寝るには少し寒いな。
「ほらよ」
勇儀が着ていた毛皮を脱いで、布団の上からかけてくれた。
寒いような暖かいような、妙な気分になった。水をもらって、
永琳の薬を飲んでおく。飲み込むとすぐに、私は意識を失った。
156
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/16(火) 20:12:36 ID:Y5Jqjx/6O
?:??
ふっ、と意識が戻る。
どのくらい時間がたったのだろう?
今何時だ?
悪寒は消え、体が妙に軽い。夕方なのか?周りは暗いようだ。
何気に薄目を開けると、そこに私が!?
すぐ横で眠っているのだ!。
と、私の体が突然浮かび上がる。ベットで…私の家のだ…横になる“私”を見下ろした。
これは、ユウタイ何とかという奴か?
まさか私はし…!恐ろしくなった。しかしもがいても体は戻らない。
やばいやばい、涙が出てくる!そこに
“しっかりしろ!”
の声と共に力強く手を引かれる。聞き覚えのある声…。
目が覚めた。明るいぜ。
「少々危なかったな、魔理沙」
「み、魅魔さま…」
数年ぶりに会う師匠はベットのすぐ隣でリンゴの皮を剥いていた。
157
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/17(水) 00:20:04 ID:YMxhxErA0
11:00
夢だった。
リンゴをかじろうとしてたのにいいところで目が覚めた。
「ふえー。夢とはいえ魅魔様に会うのも久しぶりだよなあ…」
「あたしゃここにいるよ」
見れば勇儀の背中におぶさって何か命令している魅魔様だ。
夢だけど夢じゃなかったぜ。
ついでにリンゴも夢じゃなかったらよかったんだがな。
158
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/17(水) 02:41:55 ID:kCCixgkE0
11:02
「今、何時だ?」
「11時よ」
襖を開けてパルスィが入ってきた。
「何だ。まだ30分も眠っていないのか」
「24時間と30分弱ね」
え。ええーっ!?丸一日も意識を失っていたのか。
「貴方が寝る直前に飲んだ薬にそういう効果があったみたいね」
酷いものを渡すなあ。身体を起こす。
「と、しかし体調は良くなってるな。流石は永遠亭の薬」
「薬で眠らせないとふらふらうろつきまわるバカな病人には、
そういう効果も無いと駄目だったみたいね」
否定できない。
「まあ、しばらくは無理をしない方が良い。ぶり返すかもしれないからね」
勇儀はとりなすようにそう言った。
「で、どんな夢を見てたんだい」
身を乗り出した魅魔様に、
「さあ。もう忘れちゃったぜ」
そう答えると再び体を横たえ、布団を引っ被った。
159
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/17(水) 21:27:21 ID:dCMkW02AO
11:05
(ところでここはどこだ?)
私が寝ていたのは勇儀たちが里で泊まっていた宿だった。
渋い色の、粋な男物の浴衣を羽織った勇儀が感心したように部屋を見回している。
「しかし、なかなか洒落た造りだな…」
「ここは以前、遊廓(ゆうかく)だったのさ」
魅魔様の答えにほう、とうなずいている。
しかしユーカクって何だろう?
パルスィが入ってきた。
宿の浴衣を着ている。
花をあしらった柄に、明るい色の帯が映える。
つい見とれていたら、ばかね、と軽く言われて
「さ、お上がりなさい」
お粥とお碗物が湯気を立てている。そういえば腹が減ったぜ…。
「!?、うまい!」
一口いれて思わず声が出た。お粥は鶏で出汁をとっていてショウガが利かせてある。
胃がすっきりするぜ。お碗はとろろと溶き卵をみそ汁でのばしたものだ。
優しい暖かみと塩味が疲れた体に染みた。
私が平らげるのを満足そうにみて
「お粗末様…でも今はこれで我慢なさい」
橋姫は腕を組み苦笑した。
私の体はまだ食べ物を受け付けない、という。美味いしお代わりしたかったけどなあ…。
と、ふすまの向こうから声がした。
「失礼ですが霧雨さまはこちらに?…」
宿の番頭さんだ。来客があるという。いったい誰だろう?
160
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/18(木) 05:55:33 ID:195oPmfY0
11:07
「こんにちは」
「げっ、雪女……っ!」
「げっ、て……私との弾幕ごっこの後で風邪をひいたって聞いて、お見舞いに来たのよ。
風邪の時にはビタミンCを摂るといいわ」
レティはそう言って蜜柑の入った籠を枕元に置いた。
「悪いな。胃が落ち着いたら食わせてもらうぜ」
「そう。じゃああまり長居して貴方の体調を損ねても悪いし、さっさと退散するわ」
レティは一陣の冷たい風を吹かせて立ち去った。彼女の置いていった蜜柑を手に取る。
冷凍蜜柑にはなっていないようだった。
161
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/18(木) 06:01:15 ID:Dc/0CJok0
11:10
「こんにちは」
また来客だ。秋姉妹ではないか。
静葉はメイプルシロップを、穣子はさつまイモを置いていった。
秋姉妹とは特に親しくしてるわけでもなければ
自宅にいるわけでもなく宿に泊まってるのもなりゆきのたまたまなのに
差し入れだか見舞いだかを持ってきてもらえるのはどういうわけだろう。
162
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/19(金) 03:03:18 ID:e.fE3vg20
11:15
「やあ盟友」
今度はにとりか。
風邪だから栄養をつけてくれと言って大量のきゅうりをくれたぜ。
大量のきゅうりを食ったらかえって風邪をひきそうな気がするが
気持ちはありがたい。
ちなみに昔パチュリーに聞いた話では
きゅうりはビタミンCを分解しちゃうんだそうだ。
163
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/19(金) 04:23:49 ID:srogiijI0
16:39
それから私はまた眠り、目が覚めると夕方だった。
身を起こして背伸びをしてみる。本調子という感じはしないが、
熱っぽさは消えている。不調は眠りすぎたせいかもしれない。
パルスィ達は皆帰ってしまったようで、一人だった。宿の人に日付を尋ねる。
今度は丸一日以上眠っていたわけではなかった。
宿の人に作ってもらった芋粥を食べる。しばらくじっと座っていたが、
吐き気は催さない。もう概ね大丈夫なようだ。
とはいえ無理は良くない。宿代は今晩の分まで払われているそうだし、
大人しく過ごさせてもらおう。ただ、風呂には軽くで良いから入っておきたいと思った。
164
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/19(金) 16:25:51 ID:tQzx2M9YO
17:12
さすがに宿の浴場は立派だった。
客は私ひとり。ぜいたくだぜ…。
「ん…くぅぅ…っ」
生き返るぜ!。
畳六畳はあるヒノキ造りの湯船に浸かれば、こわばった体がほぐされてゆく。
あがって体を流すと、汗で根詰まりした毛穴が息を吹き返した。
えもいわれぬ快感だ。
湯あみを存分に堪能し、部屋に戻ろうとしたら、大広間でなにやら大勢の気配がする。
「おや?…霧雨の…魔理沙さんで?」
振り向けば紺色のはっぴを着た男が笑っている。
しかし、私に見覚えはない。
よくみるとエリ元に“二ツ岩”と書いてある。
「ん?あんたは!…」
「はは、ほれ、これですよ」
男の頭の上に葉っぱが一枚。それを外すと…狸!。
なんだ、マミゾウの身内じゃないか…。
「今晩は“ご開帳”でしてね…あっ、親分もおいでですよ」
てなわけで私はバクチ場に案内されてしまうのだぜ。
165
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/20(土) 07:56:20 ID:Z/B.ngFI0
17:21
「人里の地下にこんなもの作って大丈夫なのか?」
割と広い部屋だ。私たちが降りてきたもの以外にも、いくつか階段が見える。
「別にいつも賭場として使ってるわけじゃありません。作ったのは私達ですが、
人間連中が稽古事に使うのに貸したりもしています」
しかし階段を降りて集まってくる連中には妖怪が多いようだ。
他には物好きな人間、魔術師の姿もちらほらと。
「おぬしがここに来るとはの。金は持っとるのか?」
後ろから声をかけられた。二ツ岩の狸だ。
「三日前に家を出た時から、財布の中身は使う機会が無かったからな」
とはいえ賭けに参加する気はあまり無かった。
いくらでもイカサマの使えそうな面子だし、運のみに支配されるゲームはそう好きじゃない。
166
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/21(日) 08:38:53 ID:GxDMIr.s0
17:48
「あやつが中盆、そっちのがツボ振りじゃ」
マミゾウが二匹の狸を順に指さす。そろそろ始まりそうだ。
次の瞬間、空気が沸騰した。これは、雰囲気が変わっただけじゃないな。
「イカサマありかよ」
「賽・笊を狙ったのが三人、進行役の二人を狙ったのが二人、
部屋全体に術を掛けようとしたのが一人、
自分以外の参加者を狙ったのが二人、自分に術を掛けようとしたのが七人じゃな」
「よく分かるな」
「経験から適当に言っただけじゃ」
適当なのか。
「成功するものなのか?」
「さあの」
そこははぐらかされた。
「危なくないのか?」
「むろん危険じゃよ。見物しとるわし等を狙ってくるやつもおる。
病み上がりで本調子じゃないんじゃろ?早めに帰った方が賢明だと思うぞ」
167
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/22(月) 07:46:08 ID:FjCV3Og20
18:09
結局賭けが始まる前に宿に帰ってきてしまった。
魔術や妖術が飛び交うはそれなりに面白そうで、
実際それ目的で来ている奴もいるそうなのだが、
自分で使うとなるとそういう小細工はどうも苦手だ。
準備してからならともかく、何の用意もなしに参加したくはなかった。
マミゾウは賭場に残った。仕切っているのが狸連中だから仕方ない。
一人で大人しくしているのは暇かもなあと思いつつ、自室の襖を開けると、
勝手に部屋に上がり込んでいる見舞客がいた。
168
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/23(火) 06:07:49 ID:agXOJo9M0
18:13
「何勝手に私の蜜柑食ってんだよ?」
「良いじゃない。ほら、代わりにこれあげるわ」
天子が放り投げた桃を受け取り、彼女の向かいに腰を下ろす。
「どういう風の吹き回しだ?」
「退屈している頃じゃないかと思って、来てあげただけよ」
退屈凌ぎに来たらしい。
「それより見舞いに来てみれば病人が留守ってどういうことよ?」
「もう病人じゃないからな。ちょっと人里の地下で妙なことをやってる連中がいて」
桃を食べながら、狸の賭場の話をする。
「面白そうね。ちょっと見てくる」
待てい。
「私の退屈を紛らわすために来てくれたんじゃないのか?」
169
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/24(水) 01:42:44 ID:v1AtUZ9U0
21:23
昨日今日とあれだけ眠ったのに、天子と噂話に興じたり、
碁を打ったりしている内に眠くなった。
「今日はもう遅いし、私もここに泊めてもらおうかな」
「明日の朝、この近くにブン屋が現れる気がするぜ」
「やっぱり帰るわ。襲ってくる妖怪がいるようなら、それはそれで楽しみとしましょう」
天子が立ち去り、部屋の明かりを落とすと、すぐに眠りについた。
170
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/24(水) 02:25:40 ID:dNhyPP7I0
9:00
目が覚めた。壁に掛かった時計の鳩がぽうぽうと鳴いて遅い朝を告げている。
病み上がりで体力が弱っていたから、こんな時間まで眠ってしまったのだろう。
宿の朝飯はまだ食えるかな?
171
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/25(木) 00:26:57 ID:BZctwKFE0
9:16
朝が遅い客は意外と多いようで、朝食にも無事ありつけた。
ご飯、味噌汁、焼き魚、納豆、おひたし、漬物。贅沢な普通の献立が嬉しい。
お腹もいっぱいになったし、体調もほぼ全快。
ここ何日か空けている家の様子が心配なので、そろそろ帰るとするか。
172
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/25(木) 05:00:40 ID:rkr134AM0
9:30
おい!どういうことだ
私の家がなくなってるぜ
どこのどいつのしわざだ!?
3択――一つだけ選ぶのぜ。
答え① おっちょこちょいの魔理沙は家の場所を間違えた
答え② 目の錯覚
答え③ 本当になくなった。現実は非情である。
わたしがマルをつけたいのは答え②だが期待はできないぜ…
雪おろしの時、雪の山から突き出てた剣の鞘が目の錯覚かと思ってたら
そんなことはなかったからな。近くにうどんげもいないしな。
173
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/26(金) 06:48:03 ID:mC4FYY3A0
9:31
一面に雪が積もっている。とはいえ、家一軒を埋め尽くすほどではない。
家のあった場所をざくざくと手で掘ってみると、土の地面が出てきた。
土台すら見えない。そして家の周りにあった柵や鉄屑の類も無くなっている。
残骸すら見つからない。これは根こそぎ破壊されたと見るよりは、
移動させられたと見るべきだろう。問題は移動させられたのが家なのか、私なのかだ。
家だとすれば、目的は家の中の魔道書やマジックアイテム、そして私の研究成果だろう。
紫は冬眠中だし、似たような能力を持つ妖怪にもこんな面倒なことをする動機はない。
私と同じ魔法使いが盗んだと考えた方が自然だ。しかしこの考えも、多分間違っている。
家ごと盗み出すなんて大がかりな術、リスクと効果が見合わない。
つまり、私が家の場所を間違えた、あるいは間違えさせられていると考えるのが最もありそうなことだ。
道に迷わせたり、幻を見せたりする能力をもつ者は、幻想郷には月の兎以外にも多い。
特に妖精に多い。だとすれば、多分近くで見ている犯人を探し出し、叩きのめせば、家には帰れる。
しかし面倒だな。とりあえず犯人を特定するところまでは、魔力を使わずやりたいが。
174
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/26(金) 06:55:14 ID:DaAC2SIE0
9:31
なくなったもんは仕方ない。そのうち出てくるだろうぜ。
さてすることもなくなったし香霖のとこに行って煤払いでもするか。
なんだか面白いものが見つかりそうな気がする。
175
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/26(金) 16:10:26 ID:fgI3U8IAO
9:40
「…う〜む!」
思わずうなったぜ。
面白いものがあるどころじゃなかった。
雪景色の森を飛ぶこと数分、香霖堂のすぐ横に私の家が建っていた…。
「これは君のいたずらなのかい?」
「んなわけない」
苦笑気味のこーりんに答えた。
「しかし、おかげで君が“借りた”ものが大分戻ってきたよ」
「おい!勝手に持ってくのかよ?」
いや私が言うセリフじゃないかな…
「いや見たところ埃を被っていたようだよ?必要ならまた“借り”ればいい」
あいつは平然と答えた。
「ところで何の用事だい?」
「ああ…煤払いでも…んん?」
と、私の家から煤払いの道具を持って出てきたのは
「お帰りなさいませ、魔理沙様!」
霖之助が目をまるくした。
“たま”こと珠江は咲夜そっくりの笑顔で私を迎えた。
176
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/27(土) 10:57:20 ID:adoF1r4U0
9:42
「お前が私の家を動かしたのか?」
「いえ、術式を組まれたのはパチュリー様とアリス様です」
「何だってこんなことを?」
「年が明ける前に、貸した本をまとめて返していただこうということらしいです。
今は香霖堂の近くに置かせていただいていますが、先ほどまでは紅魔館の近くに、
その前はアリス様のお家の傍にと、家ごと動かしつつ中の物を整理させていただいております」
慌てて家の中に飛び込む。本棚がすかすかだった。床や机の上に散らばっていた本は一冊も無くなっている。
「ど、泥棒……」
「貴女が言わないでください」
そう言いながら奥から出てきたのは、小悪魔だった。三角巾を被って、エプロンを付けている。
「貴女、エレンさんの所や永遠亭からも、無断でいろいろ持ち出しているそうじゃないですか?
この後、家ごと回って返しに行く予定ですからね」
それでこんな大がかりなことをしたのか。いや、納得している場合じゃない。
断固阻止。ミニ八卦炉を小悪魔に向ける。
「家の前で暴れないでくれ」
後ろから手が伸びてきて、私の手からミニ八卦炉を取り上げた。
「ふむ。年が明ける前にこれもメンテしておいてあげよう」
今このタイミングでしないでくれ。
「ああ、心配しなくても、お代はいらない。サービスにしておこう」
持ってかないでー。
177
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/28(日) 06:04:43 ID:72Y6h0L.0
9:50
ふう、なんかどっとつかれたぜ。
いつもは元気が取り柄の私なんだけどな。
さて、こうなったらどっかに掘り出し物でも探しにいくかな。
ミニ八卦炉がないのは不安だがまあなんとかなるさ・
ど・こ・に・し・よ・う・か・な・・・っと
旧都にでもいってみるか
178
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/28(日) 08:15:03 ID:8ZUQqQLU0
9:52
「どこかに出かけるのかい?」
「ん、ああ。この間は勇儀達の世話になったからな。ちょっとお礼をしに行くんだぜ」
「武器も持たずに?」
旧都に向かう道は妖怪が多い。
「心配してくれるのか?」
「まあ、折角ミニ八卦炉の調整が終わっても、受取人がいないんじゃ困るからね」
縁起でもないことを言うな。
179
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/28(日) 14:10:20 ID:D0YvdrvIO
9:54
「魔理沙様これを」
たまが木製の平たい箱を持ってきた。
くすり、と周囲の笑い声。
いや“様”はよせって!恥ずかしい…
「それでこれは何かな?」
霖之助が興味深そうな顔をした。
「レミリアお嬢さまから預かってきたものです…お渡しするようにと」
手に取ると結構重い。鍵を外してふたを開けると
「何だこれは!」
「ウェブリー&スコット38口径拳銃…六連発式です」
「いや、なんでこんな物騒なものをな…」
紅いビロード敷きの箱の中に、銀色の武器が光っていた。六発撃てる予備の弾倉に弾のケース、メンテナンスの道具が入っている。弾を1つ手に取る。てのひらで転がしてみた。
「銀の弾ですよ」
いつのまにか小悪魔が立っていた。
「あっ、触らない方がいいですよ?弾頭に水銀を塗ってますから」
おい、早く言えよ!と、見ると小悪魔は左の腋に同じ拳銃を吊っているじゃないか?
えっ?操作を教えます、だって?…どうしよう
180
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/29(月) 01:45:00 ID:tMcIM4Ds0
9:55
「折角だが、遠慮しておくぜ」
銃を箱に戻し、小悪魔に押し付ける。殺し合いの道具なんて持っていたら、
弾幕ごっこが普通に楽しめないじゃないか。扱い慣れない武器は持ちたくないしな。
ミニ八卦炉以外にも、私らしい装備はいろいろあるんだ。家の中から、適当に見繕う。
「私の持ち物まで持ち出すなよ。あと、家はちゃんと元の場所に戻しておけよ。じゃあな」
それだけ言って、香霖堂を後にした。
181
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/29(月) 03:33:22 ID:lO/gVKEA0
10:03
用心のためにキノコのストックでも増やしとくか。
ちょうど風穴までの道に魔法向きの珍キノコの穴場がある。
寄っとこう
182
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/29(月) 23:33:57 ID:tMcIM4Ds0
10:28
雪に覆われた地面からキノコを探して掘り出すのは骨なので、
枯れ木や倒木から出ている分だけを少し回収する。
里では世話になったし、パルスィ達に土産も用意しておくか。
神社にこっそり立ち寄ってお神酒をくすねる。霊夢に見つかることもなく、
無事風穴に入ることができた。
183
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/30(火) 00:31:53 ID:uMsvlRNw0
10:30
しまった。わりとトイレに行きたい。
家がなくなったりでドタバタしてたせいでトイレにいっとくのを忘れてた。
それと冷えるせいもあるかな。神社で行っとくんだったぜ。
まだしばらくは大丈夫だが、できることなら外ですませたくない私としては
しばらくトイレがありそうにないこのあたりはちょっと不安だぜ。
まあキスメやヤマメだってこのあたりに住んでるんだろうから
トイレが全くないわけでもないだろう。会ったら貸してもらうか。
184
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/30(火) 21:10:00 ID:1FVzhPmY0
10:33
「風邪の具合はもういいの?」
突然耳元で囁かれて驚いた。振り返ると、すぐ後ろにキスメがいた。
頭上からタイミングを計って降りてきたようだ。
「ああ。もうすっかり全開だぜ」
「……字が違う」
「パワーがな。今日はヤマメはいないのか?」
「寝てる。寒いのは苦手だって」
所詮は虫か。
「風邪、本当に治ったのか、試させて」
「良いぜ。私もちょうど試したかったところだ」
185
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/01(水) 21:08:44 ID:bxsyr.5o0
10:34
「……まずは30秒、試させて」
そう言うと、キスメはびゅんっと上方の暗闇の中に姿を消し、見えなくなった。
――怪奇「鬼火釣瓶撃ち」――
ばらばらと何かが降ってくる。これは……人骨!?本物かどうかは分からない。
しかし人骨のようなその形が厄介だ。まっすぐには降ってこない。軌道が微妙に揺らぐ。
5秒経過……弾幕の密度がほぼ飽和状態になったところで、得意の鬼火弾を撃ってきた。
どうやって私の位置が分かるのか、こちらを正確に狙ってくる。
「どうした?これくらいなら風邪をひいていても躱せるぜ」
はったりではない。鬼火が撃たれる、避ける、撃たれる、避ける、撃たれる、避ける。
風穴の壁が近づいたところで加速し、切り返す。ばら撒き弾幕の軌道は少々読みにくいが、
密度自体は大したことない。15秒経過……ここまでは余裕だ。
撃たれる、避ける、撃たれる撃たれる、避ける、撃たれる撃たれる撃たれる、避ける……
鬼火の発射間隔が次第に短くなってきた。ここにきて釣瓶撃ちか。
追い詰められずに避け切れるか。あと10秒、9、8、7、6……
もう切り返せない。弾幕の流れに逆らい、壁に沿って上に向かう。5、4、3……
読み切ったと思った骨弾が、壁で跳ね返って飛んできた。危ねえっ……!
上体を反らしてどうにか避ける。2、1、0!よしっ、耐久成功だぜ。
186
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/03(金) 00:54:54 ID:uWyIEE6.O
10:35
とかなんとかしている内にも『よおして』きたぜ!
おーい、キスメ!近くにトイレはないか?
187
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/03(金) 00:56:16 ID:GfK3/4Ow0
10:40
ズズズ…
ふう。運動のあとの茶はうまいぜ。体もすっかり回復してるようで何よりだ。
どこに井戸があるのかは分からないが、この茶はいい井戸水を使ってるんだそうだ。
運動直後とはいえ、やっぱ冷える冬はあつあつのお茶はいいな。
さて、キスメに礼をいって深道にやってきた。
今日はパルスィは地下何階くらいのとこで会えるかな?
188
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/03(金) 00:58:07 ID:GfK3/4Ow0
しまった、リロードしてなかった
10:41
しまった、そういえばトイレに行きたかったの忘れてたぜ。
このダンジョン下手すると時間かかるんだよな。少し急ぐか。
189
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/05(日) 22:41:04 ID:IXmJZ8NY0
10:52
パルスィの家で手洗いを借りて出てくると、彼女は呆れた表情を見せた。
「こんな地の果てまで来て何をやっているのよ、貴女は」
地の果てというか、地の底というか。
「この間の礼に来たんだぜ。これが土産の酒だ」
博麗神社のお神酒。うまいはずだ。
「これから勇儀の所にも行くつもりなんだが」
「そう。あれも旧都に帰ってきているはずよ」
「それは良かった。世話になったな」
「待ちなさい。酒も良いけど、ちょうど退屈していた所なのよ。遊んでいきなさい」
弾幕ごっこか。ミニ八卦炉は無いが、まあ何とかなるだろう。
190
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/06(月) 23:13:40 ID:7kdnBhqA0
10:54
――儀符「オーレリーズサン」――
こちらから仕掛ける。場所をパルスィがいつもいる橋の上に移しての弾幕ごっこ。
原色の球体を、彼女は舞うような動きで躱す。なかなかやる。しかしこれはあくまで小手調べ。
――魔空「アステロイドベルト」――
続けて次のスペルカードを宣言する。装備が不十分だからといって、防御に回るのは性に合わない。
キスメとの弾幕ごっこで、それは実感していた。高密度の星の弾幕を、パルスィは小刻みに動いて避ける。
避けながら、粒上の弾幕を放ってくる。だがその程度の反撃じゃ私には当たらないぜ。
――舌切雀「大きな葛籠と小さな葛籠」――
防戦一方が不利と見てか、彼女もスペルカードを宣言。分身して弾幕を放ってくる。
その弾幕は前に見たぜ。私は小さい弾を放ってくる方を、マジックミサイルで狙い撃った。
191
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/07(火) 01:23:28 ID:8Cymlb6.0
10:55
大きい方がハズレだなんて妖精だって知っている。
でも大きな葛籠の方が私ごのみなんだけどな。
回り込んで巨大弾の隙間を捜し、分身のはずのパルスィに近づいてみた。
192
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/08(水) 01:43:11 ID:yxDgAfxs0
10:56
「今日は――」
大弾を放つパルスィがこっちを見ていった。
「こっちが本物よ」
「――――っ!?」
分身の方が壊れ、横から細かい弾幕が大量に飛んできた。
「うおおっ!?」
辛くも躱す。
――怨み念法「積怨返し」――
その隙を突いて、次のスペルが宣言される。赤と青の二色の弾幕。
何を表現しているのだろう。避けながら、体勢を立て直す。
互いにまだポイントを上げてはいない。互いにスペルはあと一枚。
どの技で勝負に出るか……
193
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/10(金) 17:07:42 ID:87/N85Zo0
10:57
私は三枚目の――最後のスペルカードを宣言する。同じタイミングで、
パルスィもスペルを宣言した。
――魔廃「ディープエコロジカルボム」――
――嫉妬「ジェラシーボンバー」――
「あ」
「げ」
……かくして、橋の上での弾幕ごっこは、勝敗の決まらぬまま、
爆発オチをもって幕を閉じたのだった。
194
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/11(土) 14:00:58 ID:zpY8pN8Q0
11:31
「そいつは災難だったね」
勇儀は盃を傾けながら言った。
「ああ。どうも最近弾幕ごっこの調子が良くないぜ」
レティには負けるし、キスメには苦戦するし、パルスィとは引き分けるし。
「病み上がりだから仕方ないんじゃないか?今は例の武器も無いようだし」
「だがなあ……」
「よし、なら本当に弱っているのか、ちょっと見てやるよ」
勇儀はそう言って立ち上がった。
「お前とも弾幕ごっこをしろってか?」
「いやいや、パワーを見るだけさ。だから私は撃たないし、躱さない。
そして酒を飲むのもやめない。あんたが一歩的に魔法を撃ってくれればいい」
「そういうのは私の趣味じゃないぜ」
「心配しなくても、今のお前さんの魔法じゃ、私には傷一つ付きゃしないよ」
安い挑発だった。しかし弾幕はパワーが信条の私が、そこまで言われては引き下がれないか。
195
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/12(日) 00:56:39 ID:zQuq6xmk0
11:32
まあこんなときのためにとっておきの魔力を秘めたキノコをいくつか用意してきたからな。
弾幕にも影響が出るだろう
勇儀を退屈させずにはすむだろう
196
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/14(火) 11:07:36 ID:Iu2qqm.U0
11:35
「いくぜ、マジックナパーム!」
私の放った魔法を勇儀は避けるでも防御するでもなく、素手で殴りつけた。
「!?」
マジックナパームはそこまで頑丈にできてはいない。
殴りつけることはできても、殴り飛ばすことなんてできるはずはなく、その場で爆発する。
派手な爆風が上がる。勇儀はその爆風を、片手で振り払った。
ダメージを受けているようには見えない。傷一つ付かないは、単にはったりで言ったわけではないようだ。
「どうした、魔法の火力ってのはそんなもんか?」
――閉符「ビッグクランチ」――
私は続けてスペルカードを宣言した。
197
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/19(日) 00:27:10 ID:N036zIRI0
11:36
飛んできた大弾を、勇儀は片手で受け止める。もう片方の手で盃を口に運ぶ。
その体制では勇儀を囲むように飛んでくる星の弾幕を防ぐことは……
「うおおおおおっ!」
酒を一口飲み、勇儀が吠えた。空気がびりびりと震える。
思わず怯んだ私が体勢を立て直した時には、勇儀を取り囲んでいた弾幕はかき消されていた。
大声で魔法を吹き飛ばすなんて、無茶苦茶も良い所だぜ。
「ほら、次の魔法を撃って来いよ」
そう言ってまた酒を飲む。
198
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/19(日) 21:48:52 ID:N036zIRI0
11:37
――光符「ルミネストライク」――
撃ちながら、私は何だか楽しくなってきていた。
私の魔法に対し、吹き飛ぶでも、避けるでも、搦め手で受けるでもなく、
正面からパワーで受け止めようとする奴なんて、そうはいない。
……というより、鬼くらいのものだろう。パワーに対しパワーで迎えうつのは、
効率が悪い。私でもはっきり愚策だと思う。しかし効率も策も関係ない、
不器用なくらい正々堂々とした戦いぶりを見ているうちに、
私は自分の中の弱気の虫が消えていくのを感じた。
199
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/22(水) 01:04:25 ID:s4H2DEmw0
11:38
勇儀は片手の腕力だけで、私の放った星弾を受け止めているわけではない。
魔力をぶつけてみて分かる。彼女の体は妖気――いや、鬼気によって守られている。
それを打ち破るには……掌に魔力を集める。手に馴染む、八角形の武器の形に。
……撃てるっ!
――恋符「マスタースパーク」――
「喰らえっ!」
ミニ八卦炉無しでどこまで威力を高められるか。魔砲が勇儀の鬼気と、彼女の拳にぶつかる。
それだけじゃない。魔砲を食い止めんとしているのは、彼女の持つ得体の知れない力。
即ち――怪力乱神。
「貫けっ!!」
掌により一層の魔力を込める。しかし魔砲の軌道は勇儀の体幹から逸らされる。
逸れた魔砲は、逆の手に持っていた勇儀の盃を弾き飛ばし、虚空に消えた。
200
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/22(水) 22:19:04 ID:s4H2DEmw0
11:39
「……ここまでだな」
「ああ、残念だがそのようだ」
もう魔力が無い。しかし勇儀は不思議そうな顔をした。
「何を言っているんだ。お前の勝ちだろう?」
そう言って拳を見せる。火傷の跡があった。
「盃を変えて飲みなおそう。付いて来いよ」
そう言って歩きだした勇儀の背中を見て、私はしばらく呆然としていたが、
我に返ると、めいっぱい胸を張って彼女の後に続いた。
201
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/25(土) 13:19:48 ID:hcai3zJY0
11:42
幸い飛ぶ魔力くらいは無意識に残していたようだけれど、
攻撃に使える分はほぼ使い切ってしまった。帰りはどうしよう……
風穴で凶暴な妖怪に襲われたりしたら、ほぼアウトだ。
勇儀にでも送ってもらうしかないかな……などと考えながら歩いていたら、
妙な建物が目についた。いや、建物自体は古い大きな日本家屋で、
特に変わった構造をしているわけではないようだが、門が厳重に鎖で封印されている。
これじゃあ住人がいても外に出られないだろうに。
よく見るとお札まで貼られている。門だけでなく、屋敷全体が封印されているのかもしれない。
202
:
名前が無い程度の能力
:2013/05/26(日) 08:43:48 ID:p2CD1by.0
11:43
――妙な屋敷だな……
口に出していたらしい。勇儀が振り返って言う。
「それは、あー、まあ化け物屋敷だな」
はっきりしない表現だ。勇儀らしくない。
「ちょっと複雑なんだよ。その家は」
「妖怪が住んでいるのか?」
「そうとも言える。長い話は酒でも飲みながらだ」
そう答えて、また自分の家の方に歩き始める。私は彼女の後を追った。
203
:
名前が無い程度の能力
:2013/06/15(土) 21:22:06 ID:2PfQqFLcO
11:47
屋敷は品のいい調度品に囲まれていた。窓は地底でも珍しいガラス張り。
室内は整頓されていて、ちりひとつ落ちていないが、まるで気配がないのは不気味だな。
今度は庭に出た。
「いい庭だろ?」
勇儀は振り向いて笑う。
正直、枯れ木と岩しかない庭に初めは私も首をひねった。
しかし、眺めていると飽きがこない。大小の岩や枯れた枝の配置が絶妙なのだ。
しばらく二人立ち尽くしていたら、ふいに人の気配が?
「…気に入ったようですね」
古明地さとりがそこにいた。
204
:
名前が無い程度の能力
:2013/07/08(月) 09:36:01 ID:61XHB2Sk0
11:50
さとりと会話すると向こうに悪気はなくても気分を害されることが多いので
今回はひとつ、不躾ながらあえて無視してみた。
こういう反応は慣れっことはいえ、さとりは目に見えてへこんでいた。すまんな、さとり。
まあ私のこういう気持ちも読んでるんだろうけどな。
さとりと勇儀を残して熱い方に行ってみる。お燐やお空はいるかな
205
:
名前が無い程度の能力
:2013/09/07(土) 09:49:00 ID:eDFep0rIO
12:10
暗い闇の奥にある焔が夕焼けように岩肌をそめている。
肌をちりちりさせる熱風が吹いてきて、あわてて防御魔法を発動した。
「やあ、おねえさん!」
真っ赤な空間の先にお燐のシルエットが見えた。
「仕事中か?悪いな」
ツンとくる匂いに満ちたそこをのぞくと、はるか下にどろどろした溶岩が生き物の様にのたくっていた。
いつ来ても凄い風景だぜ、ここは。
お空は居なかった。ただもうひとりの影が…死神の小町だった。
「なんだサボりか?」
いつみても羨ましくなる胸元を見ながらぼやくと、相手は苦笑しながら
「ならいいんだけど…今日は映姫さまのお付きなんだ」
ほう…お燐の話によるとさとりと会談があるそうだ。
お説教食らわぬうちに戻ろうかな?
206
:
名前が無い程度の能力
:2013/09/22(日) 20:28:37 ID:LpAU/FKIO
12:15
挨拶がわりに小町のふくらんだそれを指先で弾いて、お燐の顎の下を撫でてゴロゴロ言わせたあと、
「あばよ」
尻に帆をかけて退散だ!
さて、加速しようと腹に力を入れたら…おっと?目の前に何かが飛んできた!?
(!っ、酒か?)
手で受けたのは五合入りのとっくりだった。
下を見れば旧都の屋根瓦。
その屋根と屋根の間に勇儀が手を振っていた。
隣にはパルスィ。腕を組んで、呆れたような笑顔をしていた。
私は二人に軽く帽子を傾けて、それから一気に上昇した。
207
:
名前が無い程度の能力
:2013/11/25(月) 11:28:11 ID:FdG3yDnk0
12:45
家はまだ片付いてないだろうし、とりあえず昼食にするか。
永遠亭に入ると虫女が給仕をしていた。
魔理沙「お前は夜行性ではないのか?」リグル「蛍じゃないんですがね・・・ご注文は?」
魔理沙「お勧めは何だい?」リグル「蒸しうどんなんてどうですかね?」
魔理沙「ハチノコとか入ってないだろうな?」リグル「嫌がる人もいますんでね、虫類は希望者にしか入れてませんよ」
魔理沙「具は何だい?」リグル「牡蠣、、芝海老、たけのこ椎茸、かまぼこ、ほうれん草に後乗せで、はらこを入れます」
魔理沙「美味しそうだな、じゃ、それ頼むわ」
リグルは一礼して下がって行った。
いきなり扉がバーンと開け放ち、「霊夢〜梅うどんね〜〜」
またあいつか、毎回同じ物ばかり食ってよく飽きねえな。
でも霊夢って何なんだ?あの物臭が給仕なんてする訳ないだろ。
「あいよ〜、いつもありがとね」
霊夢が勢い良く返事を返す。どうせ狸かなにかだろう。
蒸しうどんが運ばれてきた。
208
:
12月10日6:00〜9:00掲示板利用できません。詳細は板トップへ。
:2013/12/03(火) 15:21:40 ID:FWCpL2FM0
魔理沙「これは何ていうきのこだい?随分いい香りだね」
リグル「松茸というそうですよ。輝夜さんの好物だったそうで今の時期は安く
供給してもらえるんですよ」
魔理沙「へえ、私も茸には詳しいが、これは知らなかったな。
名前からして松に生えるものか?」
リグル「確か赤松の樹齢30年〜70年ぐらいだと思うのですが」
魔理沙「幻想郷(ここ)は赤松も結構あるが、みんな老木だからな
迷いの竹林には、若い木があるのか?」
リグル「さあ、私には何とも・・・」
にとり「あそこの一画には松茸専用の赤松が植えられていて、
培養にも成功しているそうですよ」
魔理沙「おお、にとりか、何食べてんだ?」
にとり「胡瓜うどんですよ、胡瓜だけじゃ栄養が足りないんで蚕のさなぎ
ならサービスだってそこの給仕に入れてもらったんですが、なかなか乙ですよ」
魔理沙「うは、また面妖なもの食ってんな、所で?・・・」
209
:
12月10日6:00〜9:00掲示板利用できません。詳細は板トップへ。
:2013/12/03(火) 21:07:18 ID:ec7sqqxUO
13:20
にとりの隣の席に移って聞いた話は驚くべきものだった。
「空とぶ機械、だと?」
「ああそうだ 」
にとりの眼に妖しい輝きが宿る。
空を飛ぶことは河童族の悲願だ。
「今回のプロジェクトは妖怪の山と八意先生、それに…」
なんと香霖が一枚噛んでいるらしい!
しかし、私は背後に八雲の、あいつの影を見た。
「サンプルと資材は神奈子様が提供してくれた。永遠亭につないでくれたのもね。図面を引くのは楽だったよ」
また守矢か!…ところで私に何の用事だ?
「表向きは秘密。でも人里とか話はつけてあるんだけどね…まあつまり異変扱いにしてほしくないんだよ…」
そりゃ構わないが。
しかし巫女のあいつがどう出るかね?
210
:
12月10日6:00〜9:00掲示板利用できません。詳細は板トップへ。
:2013/12/04(水) 00:25:15 ID:NgIm4wXU0
13:23
「ひゅい!?」
にとりが突然とびあがった。
それもそのはず、私がこっそり首筋に氷をつっこんだのだ。
「な、なにをするんでい盟友」
211
:
名前が無い程度の能力
:2014/01/14(火) 21:08:43 ID:QPxrxsL.0
13:24
「にとり!?おいにとり!!」
気づくとにとりは動かなくなっていた。
死因はショック死。
あまりに突然の出来事に魔理沙は冷静でいられなかった。
「お値段以上ォォォォォォォ!!!!!!!」
212
:
名前が無い程度の能力
:2014/01/20(月) 15:49:45 ID:V/0p5Ixw0
13:25
「・・理沙さん、魔理沙さん、何泣いてるんですか?」
リグルが訝しそうに顔を覗き込む。
「にとりが、にとりが・・・・死んじゃった!!!」
リグル「落ち着いてください。にとりさんなんてどこにもいませんよ
、今日は来てませんから」
にとりを見ると、そこには北白河ちゆりが居た。
ちゆり「よっ」
l⌒Yl lY⌒l \アマゾンで売ってた!/
{ ´┴`} { ´┴`} (^ν^)
( | ̄ ̄| ) /( )\
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | 挿絵
213
:
名前が無い程度の能力
:2014/01/20(月) 17:15:33 ID:Icc33Phc0
ttp://i.imgur.com/T6rJuDy.jpg
214
:
名前が無い程度の能力
:2014/02/13(木) 21:31:00 ID:Aks9sHv20
ttp://i.imgur.com/GtTh3Tf.jpg
215
:
名前が無い程度の能力
:2014/04/11(金) 17:38:41 ID:LK3K5UBw0
16:00 今日も色々あったな。家はもう片付いてるだろうか?
行ってみよう。
216
:
名前が無い程度の能力
:2014/04/12(土) 08:04:06 ID:iBAfnodw0
16:10
行ってる途中で霊夢とアリスにつかまった。こいつら酔ってるぜ
昼間っから酒盛りでもしたのかな
217
:
名前が無い程度の能力
:2014/06/29(日) 14:30:09 ID:g0LiR2YA0
15:00 あいつらはほっといて、まず家だ。
こーりんの隣にはなかった。
218
:
名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★
:2014/10/21(火) 10:18:51 ID:???0
17:00
魔法の森に戻ると、家はいつもと同じ場所に――
最初から動いてなどいなかったかのように建っていた。
中は綺麗に片付けられてしまっていた。
いろいろと組んであった魔法の術式もあったんだけどなぁ…。
考えるのは後にして、ベッドに横たわる。
冬の日差しが弱い時期にどうやったのか、布団はふかふかになっていた。
今日はいろいろなことがあって少し疲れた。
少しだけ休むつもりが、いつしか私は眠りに落ちていた。
219
:
名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★
:2014/10/22(水) 03:05:18 ID:???0
20:00
目が覚めた。外は真っ暗だ。家を掃除されてはいても、魔術師の家らしく、そう寒くはない。
寝汗が不快だったが、シャワーを浴びたら気分もすっきりした。
そういえばもうすぐ正月か……
年賀状を自動で書くための魔法はどうやるんだったかな、と本棚を探す。
220
:
名前が無い程度の能力
:2014/10/22(水) 07:29:13 ID:9iT79nUQ0
20:05
しかし探すまでもなく本棚は1つもなかった。
あいつら、すっかり人んちの中を片付けやがって。
本棚の中身はともかく本棚は拾い物とはいえ私物だったんだがな…
がらんと見通しのいい部屋ってのはなんだかおちつかないもんだな。
神奈子に手っ取り早く場所塞ぎになりそうなオンバシラと茅の輪でも”借りて”くるとするかな
221
:
名前が無い程度の能力
:2014/10/22(水) 20:11:47 ID:EE4IhgAgO
20:20
星明かりをたよりに夜の空を飛ぶ。
妖怪の山、守矢神社は勝手知ったる博麗神社の航路上の先にある。
里の灯りを横目に正面を見れば、夜目にも大きく黒い山の輪郭が浮かんできた。
「あやや?どうしたんですかこんな時間に?」
すっ、と頭上を風が過ぎたと思ったら最速天狗のお出迎えか!
私が事情を話すと
「あやぁ、魔理沙さん!今は神無月、山の御ニ柱(おふたり)はお留守にされてますよ」
と笑う。
「しかし、お部屋のスペースを埋めるものなら…私も協力できそうですよ?」
そんな訳で射命丸文の自宅に誘われたのだが…天狗の家は初めてだぜ?
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