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東方キャラと他作品キャラの絡みを想像するスレ その16
194
:
名前が無い程度の能力
:2012/12/12(水) 00:59:10 ID:/FbEsW/Y0
そして、蟲の王と結果的にとは言え共に過ごす内にソレの狙いも少しずつ変わっていった。
確かにソレは、幾度も王の弾幕を受け、弾幕を蹴るなどの妙技を身に着けることができた。
しかし、弾幕を張る者にも引けを取らぬ戦いができるようになったとて依然ソレの不利は変わらない。
ソレ一人だけでは、この幻想郷はおろかあの女も従わせることはできない、と。
何時の日かこの幻想郷に偉大なる大首領が来た時のために自身のできることをソレは考えていた。
それこそが今のソレの狙い、蟲の王の持つ『蟲を統べる程度の能力』だった。
蟲は幻想郷の至る所に存在している。王はその能力を以てして一歩も動かずともあらゆる情報を手に入れられた。
その情報網を我が物とする、その為にソレは王への反抗心をひた隠し、王と親しくなろうと努力した。
「見てくれ!リグルと名付けたんだ、かわいいだろう?」
ソレの努力は実を結び、王とその妻の間に娘が生まれたとき、一番にそのことを伝えられたのはソレだった。
ちなみにその赤ん坊は玉のような赤ちゃん、と言うより玉のような芋虫であったと記しておく。
赤ん坊は日に日に丸々と育っていった。その一方で王は次第にやつれていった。
ある日、ソレは王のもとに呼び出された。王は自分の死期がすぐそこに迫っていることを悟っていた。
「私は間もなく死ぬ。妻もそう長くないだろう。故に、君にリグルの後見人を頼みたい」
それはまだ幼い王女を自らの意のままに操れるということ、ソレにとって願ってもない好機と言えた。
後のことをソレに任せた王は安心したかのようにそれから間も無く、静かに息を引き取った。
ソレが涙を流すことはなかった。ただ、青いマフラーが風にパタパタとはためいていた。
やがて丸々とした芋虫の背中がパックリと割れ、中から愛らしい幼女が出てきてしばらくした時のことだった。
「かーさま、かーさま…かーさまぁ……」
王の妻も逝った。その時もソレは涙を見せなかった。ただ、青いマフラーがパタパタとはためいていた。
それからしばらくして、ソレの前にいつかの金髪の女が姿を現した。あの時に比べて随分と変わったと女は嗤う。
不意に女は嗤いを止めると弾幕を放った。ソレは難なく躱して見せた。そうでなくては、と女は言う。
尚も放たれる弾幕、しかしソレはそれを全て回避し、足場として弾幕を蹴り一気に女との間合いを詰めた。
そして必殺の跳び足刀蹴りを……放たなかった。女の眼前に立ったソレは、これで満足かと問うた。
本当に変わったと女は微笑った。そして笑いながらも冷たい声色でソレに詰問した。
幼き次代の蟲の王に取り入って一体何を企んでいるのだ、と。
ソレは答えた。先代の王から受けた恩義に応えようとしているだけだ、と。
「……ふふっ、そうね。今の貴方が変なことを企むはずがないものね」
金髪の女はそう呟くとあの時のように何処かへと消えた。最後に自分の名を、八雲紫という名を告げて。
女の気配が消えたのを確認し、ソレは森の奥へと戻っていった。そしてその道すがら、先の自身の言葉を思い返していた。
ソレが発したあの言葉は建前のはずだった。本音では自身の王たる大首領のために幼き王を利用しようとしたはずだった。
先代の蟲の王と共に過ごす内にソレの心は少しずつ変わってしまっていた。
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