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東方キャラと他作品キャラの絡みを想像するスレ その16

193名前が無い程度の能力:2012/12/12(水) 00:58:32 ID:/FbEsW/Y0
幻想郷の蟲たちには『王』がいる。彼らを愛し育み護ってくれる『王』がいる。
そして、その『王』をいつでも見守る『長』がいる。



ソレが目覚めたとき、目の前に在ったのは金髪の女だった。
己の身体の基となった憎き敵の姿も、己と同じく敵に似せて造られた者たちの姿もなかった。

「適当に境界を弄っただけなんだけど、存外何とかなるものね」

女はそう言って妖艶に嗤った。
聞いてもいないのに女はソレに向かってここに至るまでの経緯、この世界のことを話し出した。
バラバラだった破片を繋ぎ合わせてソレを再製したこと、ここは幻想郷と呼ばれる世界であること。
激しい衝突と身を裂く衝撃を覚えていたソレは、女の話から自身が黄泉帰ったことを知った。
そしてソレは女に問うた。何故引き裂かれた五体が繋がったのているのかと。
女は嬉々として喋った。自身の能力で繋いだことを、境界を操る能力のことを。
ソレは狂喜した。女の言葉が真であるならば、それを利用すればソレが属する組織に多大な利益を齎すからだ。
繋がったばかりの五体を動かしソレは女を力づくで従わせようと襲い掛かった。
先ほどまで嬉々とした態度はどこへやら、女はソレを不可思議な技と力で完膚なきまでに叩きのめした。

「所詮似せ者は似せ者か。赤いマフラーじゃないと駄目かしらね」

そして興味を失ったのか、止めを刺すことすら厭うて何処へかと消えた。
打ち捨てられたソレを見つけた者がいた。ソレの見た目から自身の同族と思ったようだ。
ソレを拾ったのは幻想郷の当代の蟲たちの王だった。
拾われて数日、再び動けるようになったソレは蟲の王に恩を仇で返すことにした。

「なかなかよい動きだ。だがムラがある。それでは弾幕を抜けられんよ」

弾幕と称される飛び道具の壁の前に女と戦った時のようにソレはまたしても一蹴された。
ピクリとも動けなくなったソレを、蟲の王はなんと見捨てることなく再び介抱してやった。
蟲の王はソレのことを数少ない同族、蟲の妖と認識しており放ってはおけなかったようなのだ。
しかし、ソレは蟲と機械と人間の合成されたもので、妖怪などではなかった。
だが、女の能力で無理矢理繋ぎ合わせられたその身体には女の妖力が宿っていた。
それを感じた蟲の王はソレのことを同族と勘違いしていたのだ。
再び助けられたソレは、そのことを最上の屈辱と捉えてまたも蟲の王に牙をむいた。
弾幕を張れず、弾幕を避けることもできないソレは当然の結果として大地に倒れ伏した。
それだけのことをされながら王は尚もソレのことを受け入れ続けた。
王たる者の器の大きさか、それとも阿呆なのか、何度反抗されようと王はソレを見捨てなかった。
いつしか敗北を只重ねるだけだったソレの動きは、戦いを繰り返す度にキレを増していった。

「初めて会ったときに比べて、随分と動きが変わった。私が倒される時も近いか?」

その身に宿っていた妖力も次第に馴染み、何時しかソレは幻想郷においても奇異なる存在になっていた。
蟲と人と機械と妖、そのどれにも当てはまり、そのどれとも違う異質な存在、それが今のソレだった。


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