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【新企画案】東方リレーSS企画スレⅡ【募集中】

64 ◆Ii/3o0rEtg:2012/03/13(火) 01:18:47 ID:Rr0r67Kk0
「……逃げられたわね」
「逃げ足の速い連中だこと」

骨の折れた傘を差して戻ってきたレミリアが、してやられたという風なアリスの横に並んで、小さくなっていく二つの影を見送った。
レミリアは日光による傷を受けており、アリスが心配して声をかけるが、あれくらい、とシニカルに笑って済ませた。
……しかし白皙の顔には冷や汗が浮かんでおり、どう見てもやせ我慢の類だったが、それを口に出すのは本人の矜持が許さないのだろう。

「戦いは終わったみたいですね」

ひょっこりと、背後から神子も出てきた。その顔には、力になれなかったことに対する申し訳なさが漂う。
しかし表情とは裏腹に、神子の心中には、興味深いものが見れたという喜びの念が渦巻いていた。
天人とは欲を断ち、煩悩から解放された存在と聞く。
だが先程の天人は、そうした情報とはまるで違い、俗的ですらあった。

(百聞は一見に如かず。面白いものが見られたわ)

彼女だけが特別に俗的な天人という訳ではない。過去を読めば一目瞭然である。
当然だと神子は思った。人が住み、暮らし、営みがある以上は人間的な感情と完全に決別することなどできない。
いつの時代、どんな場所でも、人が人である限り変わらないものがある。

「で、戦果はあいつらの残した矢くらいなものかしら」

心境を顔に出すことなく、思いを馳せる神子の横で、レミリアが戦いの痕跡を眺め肩を落として忌々しげに呟く。
敵も取り逃がし、戦いで得たのは、地面に刺さった銀色の矢と、体に重く圧し掛かる疲労くらいなもの。
愚痴も一つも零したくなるだろう。と、そこで神子がレミリアを見て、その背中にディパックがないことに気づいた。

「おや、君のディパックは?」
「ん、それなら最初に出来た落とし穴のところに……」

疲れた表情でレミリアが最初の陥没した地点まで戻り、確かめに行く。
と、急にレミリアが陥没して出来た穴の前で立ち止まり、ただでさえ悪い顔色が青ざめている。
呆然と立ち尽くすレミリアを不審に思い、アリスと神子が歩み寄り、一緒に穴を覗き込む。

「そんな、まさか……!」

引っくり返ったディパックが中身の物を散乱させているが、その中にはあるべきオーブの姿が見当たらない。
斜面を下り、レミリアが散乱した物をさらに散らかし、ディパックの中を隅々まで改めるが、やはりオーブはどこにもなかった。

「あ、あ、あいつら〜!!」

天を仰いだレミリアの、悲痛な叫びが青空に木霊した。


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