したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【新企画案】東方リレーSS企画スレⅡ【募集中】

62 ◆Ii/3o0rEtg:2012/03/13(火) 01:17:40 ID:Rr0r67Kk0

「……おや、貴方の連れは、どこか怪我でもしたの?」
「足を挫いたらしいわ」
「そう、これで一対一になったわね。あの吸血鬼が這い上がってくる前に、片付けないと」

天子がボウガンを構え、殆ど同時にアリスがM39を構える。
ほんの一瞬だけ、対峙して睨みあったあと、先に仕掛けたのはアリスだった。
M39の引き金を引き、9mmパラベラム弾を撃ち出す。

「甘いわ!」

それを待っていたように、にやり、と笑みを浮かべて天子が叫ぶ。その直後、地面が隆起し、弾丸は盛り土の中に吸い込まれた。
彼女は大地を操る程度の能力を持つ。こうして土塁を構築することなど、お手の物なのだ。
天子は身を屈めると、土塁の影に消えた。そして小走りに動いて位置を変え、土塁の端っこからボウガンの矢を放った。
寸でのところで、アリスが回避する。

「……なるほど、自分に有利な地形を作り出して、アドバンテージを背負う戦い方ね」
「古典的だけど有効なやり方でしょ? で、不利を悟ってるなら、大人しくオーブを差し出してくれないかしら。私もあまり他の参加者は傷つけたくなくてね」
「先に仕掛けてきたのはそっちなのに、厚かましい奴ね」

能力で土塁を作り上げて防御し、その影に隠れながら発射音の小さなボウガンで狙い撃つ。
単純ながら効果的な戦法である。しかもアリス側には、殆ど遮蔽物がない。
思いつく対処法は主に二つ。土塁を迂回するか、さっさと逃げてしまうことである。
しかし逃げても矛先が別の仲間に向くだけだし、この場では迂回するのが一番にアリスには思えた。ボウガンの装填を待ち、弾かれたように走り出す。

「回りこむ気ね。でも、そうはさせないわよ!」

それを土塁の端から見ていた天子が地面に気を放った。すると、大地が脈動し、尖った岩が隆起してアリスの道を塞ぐ。
やむを得ず立ち止まったアリスに、装填完了したボウガンから再び矢が放たれた。
矢はロングスカートを掠め、さらに注連縄の付いた要石まで飛んできた。要石は腕に当たり、アリスはM39を落としてしまう。

「本当なら貴方は仲間にしても良かったんだけど、あの吸血鬼といたのが運の尽きだったわね」

要石の衝撃に倒れ、地面に崩れるアリスの体を、矢をつがえたボウガンが狙いすます。
回避の余裕はない。アリスは訪れる痛みに耐えるべく、歯を食いしばる。
正確な狙いで、矢が放たれた。しかしそれとほぼ同時に、空気を切り裂いて、何かが飛んできた。

「――神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」

紅い魔力の槍が、一直線に飛来し、矢と土塁の一部を吹き飛ばした。
天子は慌てて受身を取ったので軽傷で済んだものの、大きくバランスを崩してしまう。
その間に、アリスはM39を拾い、紅い槍が射出された方向を見やった。

「レミリア!」
「……傘は折れるし、土は噛むし、翼は日に焼かれるし、散々だったわ。
 そこの不良天人にはお礼をしてあげないとねぇ。胸焼けしそうなくらいたっぷりとフルコースで」

骨の折れた傘を差したレミリアが、怒気を孕んだ声で言い、天子のいた場所を睨む。
レミリアが神子は、と問うと、アリスは負傷で離脱したと伝え、少し苦い表情になったが、まあいいと吐き捨てた。
ともあれ、レミリアの戦線復帰により戦局が傾いた。
二手に分かれ、同時に別方向から攻撃すれば、土塁の防御を突破することが出来る。

「……約束、果たせないかもしれないわね。ごめんなさい、大妖精」

土塁の裏手で、天子が呟く。少しでも脅威を減らし、オーブを集め、また自らも楽しむ為に仕掛けた戦いだった。
最初の地面の陥没で敵を纏め、逃げ場を封じてボウガンで脅しをかけオーブを奪う。
相手をなるべく傷つけず、また、恫喝行為を嫌がるであろう大妖精の為に一人で仕掛けたが、無謀な試みだったらしい。

「あの子ともここでお別れかしら……。それならせめて、大妖精が逃げられるようにド派手な逃走劇を演じないとね
 生き残ることができたら、今度こそ一緒にお友達を見つけ出してあげましょう」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板