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東方であった怖い話

88名前が無い程度の能力:2010/08/10(火) 21:05:37 ID:8pVLNaMA0
さかのぼる事数年。幻想板がゆゆ板だった頃の話。
時間を持て余す学生だった俺は、ゆゆ様を主役にしたSSを書こうと思った。それが発端だった。
ゆゆ様の死に誘う能力の解釈を得るために、
東方wikiを見たり議論スレを見たりしていた。
当時の俺の書き込みは、追っていけばきっと見つかるだろう。
そんなこんなで、幾つかの候補は得られたものの、そのままでは調理できそうになかった。
つまる所、「直接の死因はどうなるのか」、それを妄想しながら寝た。
夢の中で俺は首を締め上げられていた。
振り払い、逃げるも、黒い影が追ってきてまた締め上げられる。
そうこうしている内に、苦しくて目が覚めた。部屋が真っ暗だった。
普段は蛍光灯だけ落として豆電球はつけたまま寝る為、薄暗くても真っ暗ではない筈だった。
直前まで悪夢を見ていた事もあり、俺は何か変な物に憑かれたんじゃないかと怖くなり、すぐ眼を閉じた。
程なく、首筋に生暖かい物が触れるのを感じた。これは夢では無く、現実に。
直後にまた首を締め上げられた。これも夢では無いと思う。
苦しくて歯を食い縛り、頭に血が上る感覚があったのを今でも鮮明に覚えている。
必死に、助けを呼ぶ声を搾り出そうとしていたが、声は出なかった。
そのまま意識が落ちて、意識が戻った時には夜が明けていた。生きていた。
首に何か無いかと確認してみたが、特に何かされたような形跡は無かった。
俺は書こうとしていたSSに、標的の目線から見たゆゆ様の能力に抗う方法を書く事にした。
ゆゆ様の能力と件の悪夢に関連性があるとは思えないし、
そもそも俺の考える対処法には何の信憑性も無いのは明白だった。
だが病は気からと言う様に、あくまで俺自身がそうと信じて実行する事で、
あの奇妙な悪夢を前向きに締め括る事が出来ると思ったのだ。
しかしその目論見はすぐに頓挫した。
当日中には明確に頭の中にあった具体的な対処法が、
次の日にはすっぽりと抜け落ちてしまったのだ。
これでは何も書く事は出来ない。これもまた、件の悪夢をもたらした物の仕業なのか。
結局、俺はその夢を再び見る事が無いように願う以外にできる事がなくなってしまった。
しかし幸いな事に、何事も無いまま俺は大学を卒業し、社会人になった。
ゆゆ板も門板になり、シリーズ板になり、そして幻想板へと引き継がれた。
俺自身も、取り巻く環境も、何もかもが移り変わった。もう、終わったはずだった。
ところが今月に入ってすぐの特に寝苦しい晩、
何の前触れも無しにあの日の夢に酷似する夢を見た。
夢を見るまで俺はあの奇妙な悪夢の事を完全に忘れていた。
だが夢を見た時、あれだ、と夢の中に居ながら理解した。
俺の首を締め上げようとする者の存在を感じた。俺の首は締め上げられてしまうのか。
だが前回とは決定的に状況が違った。夢の中の俺は、現実の俺が忘れたはずの対抗手段を、知っていたのだ。
俺は迷わずそれを実行に移した。黒い影はいよいよ俺の首に手をかけていたが、首が締まる事は無かった。
そして俺は目を覚ました。不自然に睡眠をぶった切られたような形では無く、朝まで熟睡してから、である。
今度は、悪夢が現実にまで俺の首を追いかけてくる事は無かった。効果があったのだ。
だが奇妙な事に、俺が夢の中で実行した対処法は再び完全に記憶から失われていた。
一体何をどうやって事なきを得たかはわからないが、もはや瑣末な事である。
俺は数年越しの悪夢に決着をつける事が出来た事を実感していた。
件の悪夢によって、俺の首が絞まることは無いだろう。
少なくとも、俺自身がそう強く信じる以上の対策は、今のところ取る必要は無さそうだ。
おしまい。


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