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お題でマイナーカプを語るスレ
248
:
名前が無い程度の能力
:2012/10/06(土) 14:51:21 ID:K3DyC/0I0
>>244
神奈×雛
神無月。それは日本国に住まう八萬の神々が出雲に集い、地元を留守にするからだと云う。
ここ幻想郷でも、例えば秋を象徴する女神の姉妹が早々に出雲へと旅立って行った。
「今年は豊作だったから、ちょっと贅沢に『サンライズ出雲』ッて云う寝台特急でのんびり行くんだぁ」
間延びした口調で豊穣を司る妹神は嬉しげに云っていた。豊作か凶作かで胸の大きさが変わる彼女のバストは、今年は確かに豊満だった。
そんなたおやかな乳房に若干の羨望を視線に籠めながら、厄神である鍵山雛は姉妹の旅立ちを見送った。
「じゃぁ雛、お土産買ってくるから楽しみにしていてね」
静穏な雰囲気を醸す紅葉の姉神の言葉に、雛は軽く頷く。手を振り幻想郷の東端へ飛び去る姉妹の姿が見えなくなると、雛はひとつ溜め息をついた。
「ふぅ……ふたりとも気を遣わなくても良いのに。八十禍津神の系統である私が出雲に行っても疎まれるだけだわ」
胸元で結わった深緑の髪を指で弄びながら、雛は踵を返して帰路に着く。山は紅葉の女神の寵愛によって徐々に朱や黄金に色付いている。
山の頂には荘厳な御柱を四方に配した守矢神社が建っている。麓からは天狗との間で悶着があった架空索道(ロープウェイ)が伸びている。
ふと、雛はそのロープウェイの籠(ゴンドラ)が稼働している事に気付いた。参拝客の利用するそれは即ち、守矢神社の神が居る事を示していた。
「あら? 守矢の神は出雲へ行かなかったのかしら?」
不思議に感じた雛は、くるくると回転しながら守矢神社の境内へと降り立った。
幸い、雛の厄は鎮守の森に囲われた神域では無毒化される。参拝を終えた客の数人が雛に気付いて軽く会釈した。
そして、本殿の中央にはそれまで参拝客の相手をしていた山の神・八坂神奈子の姿があった。
「おや? これは珍しい客だね。いらっしゃい、雛」
フランクで親しみやすい態度が信条の神奈子はニカッと快活な笑みを湛えて雛を出迎えた。
「えぇ、こんにちは神奈子さん。貴方たちが出雲に旅立っていないようだったから、不思議に感じて立ち寄ってみたわ」
普段はあまり厚遇されない雛にとって、神奈子のフランクさは不慣れだったのか、ややぎこちない笑みで雛は挨拶を返した。
「あぁ、うちは諏訪からは出られない立場だからね…あたしは姑と顔を合わせたくないってのが本音だけど」
神奈子の姑に当たるのは建御名方の母である奴奈川姫だろう。翡翠の宝玉で着飾った美女である噂は雛も寡聞にして小耳に挟んでいた。
「クスッ、神奈子さんにも苦手なモノがあるのね」
「苦手じゃなくてウマが合わないんだよ。それに、最近の大社は観光地化して煩雑になっていてね。好きじゃないんだよ……」
そう云った神奈子の横顔は、廃れゆくモノを哀れむ物悲しさが滲んでいた。それは、人々の宿痾として生まれる厄を扱う雛には十分理解できる心境だ。
参拝客は誰も居なくなった境内に妙な空気が沈澱する。秋晴れの空は徐々に雲が覆い始め、風も心なしか強く吹き始めた。
「……さて、変に重苦しい空気になっちまったね。折角来てくれたんだ、呑んでいかないかい?」
「まあ、昼間っから呑むなんて厄いわね」
神奈子の提案に、しかし雛の口調は軽く面白がっている様子で答えた。
「へへっ、蟒蛇ってのは酒を呑むのが仕事さね。さぁ、入ってくれ」
豪快に笑いながら神奈子は雛の肩を抱いて本殿へと促した。出雲から遠く離れた幻想郷の地でも、神宴が幕を開けようとしていた。【了】
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