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お題でマイナーカプを語るスレ

2422/2:2012/03/10(土) 20:41:05 ID:dC9DxMXE0
一方、台所へ引っ込んだちゆりは不満と照れ臭さが入り混じった複雑な気持ちでむくれていた。
「うぅ、教授はいつもあんな無防備で、子猫みたいな笑顔で……あぁ〜、もう!」
心の中で混線する気持ちを収拾しようとしながら、ちゆりは朝食の残った準備に取り掛かる。
ガス釜で炊いた白米は艶やかで、ネギ・豆腐・ワカメの具が入った味噌汁は芳醇な香りを湯気と共に立ち昇らせる。
だし醤油と砂糖で甘めに味付けた出し巻き卵に、大学のある地元の大粒納豆。パリッとした海苔も小鉢に盛られている。
そして、ちゆりは冷蔵庫からデザートのいちごを取り出した。春先に出回る旬ないちごは、隣県の名産「○○おとめ」だ。
「いちごは教授の大好物だからな……ちょっと値が張ったけど、大好きな教授に喜んでもらえるなら……はっ」
そう言いながらちゆりは、自分がいちごのパックを持ったままニヤニヤしている事に気づき、慌てて頭を激しく横に振った。
しかも、無意識のうちに恥ずかしいセリフまで独り言で呟いている。煩悶としてちゆりは思わず叫んだ。
「だぁー、もうなんであたしはぁー!」
「あらあら、楽しそうね」
「わきゃあ!?」
唐突に背後から声を掛けられ、ちゆりは素っ頓狂な声を上げて飛び跳ねた。
振り返れば、夢美がいつもの服装に着替え終えてニコニコと優しい笑みでちゆりを見つめている。
「朝からちゆりは元気ね。何か良い事でもあったの?」
「あっ、えっと……まぁ……」
気恥ずかしさで耳まで真っ赤にしながら、いちごのパックを後ろ手に隠してモジモジするちゆり。
そんなちゆりの挙動不審さには気付かず、夢美は食卓に配膳された朝食を見て感嘆の声をあげた。
「あら、ちゆりってお料理が上手なのね……」
「ふぇ? ま、まぁそれくらい出来て当たり前だろ?」
「うらやましい……きっと良いお嫁さんになるわね」
「おっ、お嫁……!!?」
夢美のさりげない一言に、ちゆりは水蒸気爆発でも起こしたような様子で狼狽した。
「そ、そんなの興味ないよ! さぁ、さっさと食べて出勤しようぜ!!」
「はいはい……」
声を荒げてご飯を茶碗によそうちゆりと、それを笑顔で見つめながら席に着く夢美。
遠回りで、いちごのような甘酸っぱいちゆりの恋心が旬を迎えるのは、もう少し先の話になりそうだ。【おわり】

ツンデレ難しいですorz

お題:かがり火 逃げ水 宿り木


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