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お題でマイナーカプを語るスレ
190
:
名前が無い程度の能力
:2010/12/15(水) 23:23:30 ID:51AgTW420
>>184
早苗「諏訪子様、酷いです……」
早苗は非想天則を見上げて呟く。
早苗「こんな心躍るサイズと姿形なのに、動かないなんて……」
その声に応えるように非想天則が前後に揺れる。
早苗「あなたもそう思うでしょう!?」
非想天則は、一言で言えばアドバルーンである。
間欠泉地下センターからの熱蒸気を受けてたゆたうだけの、ただの風船なのだ。
もちろん早苗もそんな事は解っている。
解っているが言わずに居られない――要するに未練たらたらなのである。
しかし風船風情にそんな想いが通じるはずもなく、非想天則は今日もただ揺れていた。
と、そこに小さな小さな奇跡が起きた。
非想天則の前方への揺れと、地下からの熱蒸気供給大幅減少のタイミングが重なった結果、
非想天則はうなだれる形でしぼみ、その手の先がちょうど、早苗の頭上で止まった。
それは小さな波紋だったが、多感な年頃の少女である早苗の背中を押すに十分な力を持っていた。
早苗「……そうよね、あなたもやっぱり動きたいのよね!」
早苗の頭の中で、何かが閃いた。
非想天則は風船、つまり自分が風を起こせば操れる。
瞳に星を輝かせると、早苗は御幣を掲げる。
そこから放たれた弾幕は、非想天則を大地に繋ぎ止めるくびきを打ち砕いた。
神奈子「ねぇ諏訪子、アレ……」
諏訪子「んー?」
守矢神社の縁側でひなたぼっこをしていた神奈子が、麓を指差す。
縁側に寝そべっていた諏訪子が身を起こすと、非想天則の姿が見えた。
諏訪子「あー……頭に早苗乗ってるねぇ」
神奈子「あの子ったら何やってんのよ」
諏訪子「あーうー。とにかくさ、手遅れになる前に何とかしてくるよ」
早苗「非想天則、ゴー!」
山の二柱の苦悩も知らずに、早苗は盛り上がっていた。
自分の風で動かしているので、冷静に見れば巨大な人形遊びなのだが、
非想天則の肩に乗った早苗は『操縦している』感覚に酔い痴れている。
大地を踏みしめる事も足元の木々をなぎ倒す事も叶わないが、
上下に大きく揺れながらの一歩ごとに眼下の景色が流れて行く。
早苗は横――非想天則の横顔に向けて微笑み、一人頷く。
今、非想天則は歩いている。
今、自分は非想天則を操縦している。
これこそが人型巨大ロボ非想天則本来の姿なのだ、と。
状況に満足していた早苗は、だから、足元の森が揺れるのに気付くのが、少し遅れた。
早苗「これは……赤口さま……諏訪子様!?」
足元の森から突如現れた白い蛇が、非想天則の胴体を這い上がる。
二匹の白蛇が非想天則の両足に絡み、その上から三匹目が頭部めがけて襲う。
早苗「くっ……でも非想天則の装甲が、この程度で!」
テンションの上がっていた早苗は、諏訪子が非想天則を止めに来たという事実に逆上、
非想天則の装甲を恃む台詞を吐き出す。
が、何度も言うが非想天則は風船である。
早苗のテンションなどお構いなしに白蛇が非想天則の頭を噛むと、
牙で開いた穴から、猛烈な勢いで空気が漏れ、非想天則はしぼんで行く。
早苗「そんな……非想天則が……私の夢が……!」
必死に風を起こして非想天則に吹き込むのだが、むしろ逆効果。
風が勢いを増せば増すほど、頭に開いた穴が裂けて広がり、さらに風が逃げて行く。
早苗が形振り構わずその穴へと手を伸ばして塞ごうとしたところで、
白蛇が早苗を飲み込み――フェードアウト。
神奈子「お帰り。早苗は無事?」
諏訪子「一応ね。怪我はさせてないつもりだけど」
神奈子「そう。それで、あっちの方は?」
諏訪子「んー……ぎりぎりアウト、かな」
神奈子「あら、どうして?」
諏訪子「あいつ、しぼんで潰れる瞬間に……『ありがとう』だなんてさ」
神奈子「ふーん……それは、産みの親と育ての親、どっちに対してかしらね」
諏訪子「……少なくとも、私じゃないわよ」
諏訪子は帽子のつばを掴み、目深に下ろした。
―裏―
あれ、これ切ないの諏訪子じゃね?
―裏―
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