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東方に関するネタを思いついたら書き込むスレ3

4691/2:2011/03/25(金) 23:17:56 ID:f/ob.dCo0
6ボススレ名物・淑女同盟ネタを夢枕獏が書いたら ‐付喪女ノ巻‐

 いつしか咲くのも忘れかけた薄桜の、朽ち逝く香が漂う。
 名が体を表わさない四季宅の六畳間のこたつは、春を知らぬ淑女たちの屯である。
 酒を呑んでいる。
 酒盗。
 板わさ。
 焦げついたあたりめ。
 持ち寄り即席の磯臭い卓を囲み、女子たちは、ただ呑んでいる。
 日常である。
 18型ブラウン管に時折流れるACの広告が、そこはかとなく、非日常を告げるのみである。
「それでね〜、折角包んだのに、受け取れないっていうのよ〜」
 ザルで通る幽々子の頬が、常になく上気している。
「たった三回しかはいていないのに受け取り拒否とは、この非常時に奢ったものじゃないか」
 相槌を打つ神奈子が、本日十三杯目の芋ロックを干す。
「きちんと洗濯をしていれば、衛生上も問題はないはずよ。医学的見地からも、受け取り拒否には疑問があるわ」
 空いた徳利に一升パックの酒を注ぎ足しながら、永琳がいう。
「でしょう、でしょう。だからいってやったのよ〜」
 ぽぽぽぽ〜ん。
 テレビが歌う。
「島村の下着じゃ、被災地の方々も不満ですか、ってね〜」
 ぽぽぽぽ〜ん。
「あっひゃっひゃっひゃっひゃ、そりゃだめだわ、島村は。島村はダメ絶対」
「そうよ、島村はいけないわ、島村は。ふふっ」
「なによ〜、ウチの従者のお気に入りブランドを馬鹿にしないでくれるかしら。ぷんぷん」
「いえ、それはきっと、そういったことではなくてですね」
 般若湯を片手にテレビ画面隅の被災地情報を注視していた白蓮が口を開く。
「呪です」
「ひじりんは本当に、しゅ、のお話が好きなのですね。あ、ひじりん、あたりめと、あと私のコップに鏡月を」
 白蓮の膝でまどろんでいた映姫が、にわかに再参戦の意欲をみせる。
「はい」
 こっこっこっ。
 むっちゅ。
 むっちゅ。
「それで、呪なのですが――」
「私は、お酒の方の、しゅ、が好きよ〜」
「右に同じく」
「前へならえね」
 がん。
 般若湯にいくらか当てられた白蓮が、据わった目で卓を叩く。
 あん肝がはぜる。
「真面目な話をしているのです。たとえば、皆様は同じ家族のものであろうと人の箸でご飯が食べられますか?」
「むむ、確かに抵抗があるな」
「きちんと洗ってあるとはわかっていても、遠慮しちゃうわよね」
「私はエイキッキが今使っているお箸なら、ちゅぱちゅぱしたっていいわ〜」
「やめてください」
「これが呪の力というものです。すなわち、人が常用しているものには、他者を排除する力が宿る」
「ええ」
「特に下着といえば、文字通り肌身離さず用いるもの。他者が安心して用いるには、殊更障害を伴います」
「なるほど。我々の間で穢れといっているものにも近いものがあるな」
「まさにその通りです。ですから、心の安定を何より求めている被災者の方々にとり、新品が好ましい、と」


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