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東方に関するネタを思いついたら書き込むスレ3
462
:
名前が無い程度の能力
:2011/03/07(月) 22:08:50 ID:8Q7In9cY0
6ボススレ名物・淑女同盟ネタを夢枕獏が書いたら
四季映姫の六畳間には、爛れた苺の香がたちこめている。
片付け時を逃し続けた万年ごたつを囲む淑女たちは、みな思い思いの昼下がりを過ごしている。
non-no。
花とゆめ。
脱ぎ捨てられたブラジャー。
乱雑に見えて、実際無秩序に広げられた乙女心の残骸の中で、時だけが過ぎていく。
ここはまさに、女子たちの夢の島である。
「ひじりん、『硝子の十代』は何度聴いても素敵だと思いませんか――」
常のように白蓮の膝に座した映姫が、みかんを頬張りながらつぶやく。
むっちゅ。
むっちゅ。
「ええ。切なさのこもった忘れがたい旋律ですわ」
「でもアレってどこかで聴いたことないか。それもかなり身近な場所で」
レディースコミックを読み耽っていた神奈子が会話に加わる。
「そうね〜。紅魔館の門のあたりに行くと、いつもあのメロディが流れてくる気がするわ〜」
先ほどまで寝息を立てていた幽々子も続く。
「なるほど。しゅ、というものでしょうか」
言って、白蓮は空に『呪』の字を書いた。
「呪――すなわち、人の心を縛る言葉や音律のことですわ」
「魔法のことはよくわかりません。法のことなら専門なのですが……」
「つまりですね、エイキッキもカナもゆゆちーも、光HEIKEを心から愛している」
「うむ」
「その執着の心が、似たような旋律をすべて彼等が歌っている曲のように思いなさせるのです」
「なるほど」
「他人の空似というわけではなかったのね〜」
「さすがはひじりんです。あ、ひじりん、みかんを」
「はい」
むっちゅ。
むっちゅ。
「ところでえーりんは、さっきから何をそんなに一所懸命磨いているんだ?」
「ふふ。聞いて驚かないで。この間みんなにナイショで行ったタキュザワ君ソロライブで入手した――」
言って、永琳は一呼吸置いた。
「半裸体タキュザワ君1/10限定フィギュアよ」
がたり。
こたつの上の湯飲みがはぜた。
「貴様、えーりん、抜け駆けとは卑怯なり!!」
「限定とはいえ、私たちの分も買うことはできたはずでしょう!?」
「それが本当に限定だったのよ。つまりコレ、この世に一個」
がたり。
がたり。
「しかもタキュザワ君のお手製。一生の宝にするわ。うふうふふふ」
「ますますもって許し難いですわ!!」
「決闘だ、淑女の習いに従い、キャットファイトで決着付けてやる!!」
「落ち着きなさい。カナはともかく、ひじりんまで大人気ない。また窓の補修で大枚飛ぶのはまっぴらです」
「うふふ。磨くくらいならみんなにもさせてあげるから、それで許してちょうだい」
「う、うむ。頬ずりも許せな」
「す、すみませんでした、取り乱したりして。はい、おみかん」
むっちゅ。
むっちゅ。
「でも正直、私はライブは好きではありません。周りの人たちに総立ちされると、舞台が見えませんから」
「あら〜、ここにお子様がいるわ〜」
「む」
「お姉さんたちは、周りがジャンプしてたってタキュザワ君スマイルを見逃したりしないわ〜」
「む、む」
「ねえ、どんな気持ち、モデル体型の揃った中で、一人だけお子様体型ってどんな気持ち〜?」
舞っている。
見るも艶やかな、そして、
残酷な舞である。
「許せない。許せない許せない。ゆゆちーなんてもう絶交です!!」
「え〜」
「絶交ですから、この前貸した『シチクロ』全巻、今すぐ返しなさい」
「あらあら」
「さあ」
「あらあら」
「さあ」
「ほらほら、エイキッキ、機嫌を直して。怒りすぎると美容と健康に悪いわよ」
「だって、ゆゆちーが、ぐすっ、ひどくて、ぐすっ……」
「ならさ、ここに荒らしのサキュライ君の握手会優待券があるっていったら、機嫌直すか」
がたり。
六畳間の空気が変わった。
「しかも五人分」
がたり。
がたり。
がたり。
「今日の夕方五時から」
がたり。
がたり。
がたり。
がたり。
がたり。
「ゆくか」
「ゆこう」
「ゆこう」
「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。
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