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東方に関するネタを思いついたら書き込むスレ3
414
:
名前が無い程度の能力
:2010/08/27(金) 23:27:29 ID:u1M/zK2c0
白玉楼の縁側。昼下がりの西に傾いた日差しの中、薄茶の椀を抱いて縁に腰かけている幽々子と映姫
映姫「――憶えていますか、六十五年前の今ごろのこと。騒がしい季節でした」
幽々「ええ。忘れっぽい私だけれど、あの夏は今もはっきり思い出せるわ」
映姫「あの年は、是非曲直庁設置以来の『大繁盛』でした。なにせ、本来は命を落とすはずもない若者で、彼岸がごった返す椿事で」
幽々「そうそう。あのときはウチのあたりにまで大勢の若い殿方が押しかけてきてね
イケメンも多かったわぁ。留め置いていたら、今も退屈しなかったでしょうにねぇ。うふふ」
映姫「……貴方はもう少し職務に対する私情を……いえ、今更いっても詮ないことでしたか。ともあれ
――あの夏、私は多くの人を裁きました
ある者たちは、憎悪の命じるままに、人を殺し殺させていました。私は、彼らを地獄の業火に委ねました
ある者たちは、最期まで殺すことを拒み、殺されていました。私は、彼らの輪廻への一刻も早い復帰を定めました
けれど……最も多く裁かねばならなかったのは、『殺さざるを得ず』殺し、殺された、若人たちでした」
幽々「あらあら、あのイケメンたちのことをいっているのねぇ。彼ら、なにか一様に陰鬱な面持ちで……
そうよ。今思えば、お腹が空いて切ないような表情を浮かべていたっけ。恋しいような、満たされないような
――それで、彼らは、どう裁かれたのかしら、閻魔様」
映姫「結論からいえば……彼らは『黒』でした。人を殺して死んだのですから
私たち閻魔は、『因』を裁くのではありません、『果』に評価を下すのです
殺すための動機がいかなるものであろうと、殺した者にはそれなりの報いがなければならない
それが秩序と倫理の道なのですから」
幽々「――そう。融通のきかなさも含めて、全ては『道理』に呑みこまれるのが裁きの掟、そういったことね」
映姫「はい。いかなる理由があろうと、人が人の生を侵すことは『罪』である。それは絶対の理です
でも。……私は思わずにいられないのです
なぜ人が、人を損なわねばならないのか。なぜ人が、人に人を損なわしめねばならないのか
私の知る限り、人に人を殺すよう定める法はない、人に人を殺せと命じる神もない、なのに
……人は人を殺すのです。人は人を殺さしめるのです……
いっそ愚痴をこぼしたくもなります。……何が『正義』か」
幽々「――閻魔様、私の能力をご存じだったかしら。私ねぇ、死を操っちゃうの」
映姫「…………」
幽々「より詳しくいえば、死への自覚のない人を死に赴かしめるのよ
『殺す』んじゃないの、『死なせる』の。意識の伴わないまま、でも当人の自発的行為によって、生を断ち切る能力
人ってねぇ、案外と『死にたがり』なのよ。そこのところを素直にさせてあげるのが、私の能力」
映姫「なっ。貴方は、自分の能力にかこつけて、人が人を死に駆り立てることが人のためになるとでもいいたいの?」
幽々「うふふ。閻魔様ったら、もう少しお仕事から離れて、他人の話に耳を傾ける余裕を養ったらいかがかしら
私がいいたいのは――残念ながらね――人は自他の排除の論理によってしか、愛の証しを立てる術を持たないということなのよ
自己愛を全うするため、障害を排除する。それでダメなら、いっそ自己と自己を取り巻く全てをリセットしちゃおう、って
その程度なのよ。人の想像力の限界ってヤツかしら
だから、人は死を欲するの。他者に何事かを強いる力と意思のある者は、『死なせる』の。『殺す』はその一形態でしかないわ
死は本来、人の能動的営為なのよ。よりよい自己と、よりよい自己を取り巻く環境を望む、生命の自律均衡みたいなもの
私の能力は、その心理を個別に具体化させ顕在化させる、それだけなんだけれど」
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