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悪者さんらっじーお↓はじめてのお使い遍
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お前のために詩を書いたぞ「小泉物語」
一体何だって僕はこんな所で虫取り網なんかを握っているのだろう。
仰いだ空は遥か遠く、見るもの全てを吸い込みそうな程に青い。
僕達2人を囲むの青々と生い茂った木々たちの木漏れ日の中、
僕の前を勇み足で行く麦藁帽子の少年が振り向き、早く早くと急かした。
その手には僕と色違いの虫取り網、そして肩には赤い虫かごを提げている。
一体何だって僕はこんな所で…。
やれやれと言う溜息と、しょうがないなと言う返事の二つ分意味を込めて僕は右手を上げた。
夏休みが半分を過ぎたその日、新聞によると今年最高の気温を叩き出していたらしい。
高校三年生。
そう、僕は人生で最も大きな壁に向かおうとしていた。
だから今日もこうやって、朝からクーラーの無いこの部屋で額に汗を浮かべながら机に向かっていたのだ。
けれど、あぁまただ。また始まった。
ペンを一センチ走らすごとに、消しゴムで一文字消すごとに僕の心のずっと奥深い所で黒い塊が蠢きだす。
その塊が大きくなっていく度に僕はどうしようもなく虚しく、悲しくなり心が得も言われぬモヤモヤに包まれてしまう。
1人でいると急にまるで自分だけが世界から切り取られてしまったような孤独感に苛まれ
そしてそれを払拭する為に頭を掻き毟り叫び声を上げたくなる衝動に駆られてしまうのだ。
それが何なのか、何故なのかは分からない。だけどソレはどんどんお構いなしで僕の心を侵食していく。
この感覚を覚えたのは、きっと小学生の、それもまだ低学年の頃だ。
何故かはハッキリ覚えていないけれども幼心にソレを煩った事は今でも憶えている。
それでもそれなりな18年間を送ってきたつもりだ。
仲の良い友人達と朝まで馬鹿騒ぎしたり、勉強だって人並みにした。
彼女もできたし、丁度去年の今日ぐらいには初めてのセックスもした。
それでも奴らに食われた空っぽな僕の心にはそんなことさえも虚しく映ってしまう。
一旦椅子から腰を上げ、重い体を布団に投げた。
窓からは一陣の風が走りぬけ、先週母が取り付けた風鈴を優しく鳴らす。
目を閉じて外から聞こえる子供たちの遊ぶ声に耳を傾けた。
そういえば小さかった頃はこんな事全く考えずに遊びまわっていたなぁ。
いつからこんな面倒くさい人間になったんだっけか。
様々な事を学びながら此処まで歩んできた。知りたくなかった事でさえもだ。
それを成長と呼ぶのならこの先僕はどんな辛い現実を目の当たりにしなくてはいけないんだろう。
勿論、この先楽しいこと、素晴らしいことだってたくさんある。
それに僕の先を行く人たちは皆、僕のような悩みを抱えていたはずだ。だから僕も大丈夫なんだ。
けれどいくら頭でそう呟いても僕の心はどんどん沈んでいった。体が錆び付いていく。
その時ーーー
ーーカラン
と、グラスの氷が溶ける音がした。
目を瞑ったまま耳を澄ますと机の上に置いたグラスの氷が溶けるたび、サイダーの弾ける音と綺麗に混じっていた。
「どこかに行こう」
いつの間にか僕はそう呟いていた。何故突然そんな事を思ったのかは分からない。
具体性も計画性も全く無い考えだ。
それでも僕の頭は呟いた瞬間からその考えに支配されていた。
気がつくと僕は既に靴紐を結んでいた。
目的地なんかわからない。無事に帰って来れるかも定かじゃない。
けれど足は軽かった。心が何かを求めているようだった。
かくして僕は目の前のドアを開く。十八回目の夏なのに何年も見過ごして来たような気がする。
久しぶり、と誰とも無く吐いた言葉は照りつける日差しに混じっていった。
まぁ何とかなるだろうと何の根拠も無い自信を引っさげて僕は今駅にいる。
「都会」と呼ばれる僕の住む町の駅は大きく、沢山の人で渦巻いていた。
汗を拭きながら歩くサラリーマンや、塾に行くと思われる学生、これから海にでも遊びに行くような男女のグループ。
彼らは皆、夏の中にいた。
ごく当然の事なのだけれど何故だか僕には彼らと僕は違う夏を過ごしているように感じていた。
そしてその違う夏は僕に小さな優越感をもたらした。
其れのせいなのか僕は券売機でかなり高い値段の切符を手に取り改札をくぐっていた。
いつの間にか僕のプランは「どこか『遠く』に行きたい」に変更されていたようだ。
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