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16
:
蝶
:2004/04/18(日) 01:19
我輩が家郷をばあとにかの雪深きまちをめざして旅立ちたるは冬もさなか、待ち合わせの場所もまた野外。これ適当(まっとう)なる推理の帰結と言うやつで、吹き晒した路上、ビル風に舞う地吹雪、暖を取るに一切のてだてもなしと来ては、待ち呆けさせられたる体験者が一致して伝える所、つま先から頭のてっぺんまで凍りつかなかったのが不思議とこういうわけであります。
我輩は時間どおり所定の場所に現れた、これはです、お互いに理解さえあれば普通最も快適な待ち合わせ法であります。どこぞで正体不明なる有翼人に掻っ攫われるとか、真剣を携えた怪人に驚かされると言う、そういう面倒は一切省けますからナ。ただ我輩、遺憾ながら少々軽装であった、時計がちりちりと右に捩れて行くうちに、それが相当応えてきたのであります。
というわけで諸君。一つご想像あれ、かくも苛烈なる天候、右も左もわからぬ心許ない
風土のもと、来る筈の従姉妹ともすでに七年の無沙汰とあれば、我輩の心中やこれいかに。
そうするうち、容赦なく雪は降り注ぎ、降り注ぎ、降り注ぐ。はずかしや、身を守る術 を殆ど持たず、であります。
「雪、積もってるよ」
ようやく来やがたかこの野郎(あくま)。言われて我輩、異様にその声の出所が高いことに気がついた。
気付けば我輩、首までも雪に埋もれていたのであります。そのザマまるで鋸牽きに埋められた罪人よろしく、我が従姉妹も短い裾を押さえて我輩を見下ろしている。
「どうして埋まってるの?」
「…2時間も待ったからな」
「わ、びっくり」
手を述べて従姉妹は我輩を掘り出そうとするわけですが、しかしさすがに雪国、迂闊に待ち合わせも出来ぬ様子、これから我輩もこのまちで暮らすのかと思うと、我ながら心底同情致したのであります。この2時間でもはや雪は生涯分を見た、この上は要らぬ。
「ね。私の名前、まだ覚えてる?」
「うむ。名」
「な?」
「雪は嫌いになった。よって、今後お前は名と呼びならわすから、そう覚悟しろ」
「ううう。祐一極悪人だよー」
そんなこんなで、このまちの生活の第一歩を、我輩は暖かい珈琲とともに命からがら踏み出したわけでありますが、いやはや!
----------ビュルガー『ホラ吹き男爵のKanon』より
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