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千尋教徒の推薦図書スレ
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《推薦図書》
『僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia. 』作者:葉田甲太/ジャンル:ノンフィクション/評価★★★★★
《作品紹介》
この作品を目撃した時、私は稲妻に引き裂かれるかのような衝撃を受けました。実際に脳天から爪先にかけて電気信号が縦断したのかもしれません。これはとある医学生が仲間達と寄付金を集めカンボジアに小学校を建てるまでの様々な経験、困難、友情を描いた小説です。この本の表紙とタイトルを書店で一目見たとき、突然時間が止まり世界が音を無くしたかのような感覚に陥りました。私には分からなかったのです。この本がいったい何なのかが。しかしその時だけ、分からない、本のタイトルから内容を予想することが出来ない、それだけの事が決して解けない数学上の難問のように私の脳内を一色に塗り潰し、他の一切の思考を排斥してしまったのです。本を目視し、それについての憶測と理解を瞬時に行うという一連の行為に付与された不可解さが、飛来する銃弾となって私の額を一撃し、その衝撃は私を硬直させたのです。根を生やしたように呆然と立ちすくむ私は周りから見ると滑稽だったかもしれません。現実として、しばらくの間私はその場から動けませんでした。心臓が正常に拍動していたかも定かではありません。私の体の全ての細胞は活動を停止し、思考の迷宮の中で突如の有事に顔を俯かせていたのかもしれません。私は仮死状態となりながらも本を睨み付けていました。表紙で微笑む向井理さんの目が底知れぬ暗がりとなって私の感覚を更に鈍らせるように思い、また理解という壁の前に平伏し打ちひしがれる私を嘲笑っているようでもありました。思わぬ不意打ちによりその場に釘付けにされた不甲斐無い自身を消滅寸前の自意識の内で呪っていると、近くでレジを打つ音が茫漠とした私の脳内に放り込まれ、無限の残響となって拡大し、麻痺状態にあった意識を復活させました。ようやく現実の色を取り戻した周りの空間はどこかよそよそしく体に纏わりついてくるように思えました。私は血管が脈打ち酸素の供給を再開したことを確認すると、冷静な理性を持って考えを改めました。本の概観が漠然と掴めてきところで、私はそれ以上の詮索を止めて本を手に取り購入しました。過度のバイアスは正常な判断力を鈍らせると踏んだのです。そして今、その本が手元にあります。私は今からこれを読みます。透き通るような大空と平穏に流れる純白の雲が描かれた装丁には説教じみた押し付けがましい人生論ではなく本書に込められた温かみのあるメッセージ性を感じます。その一方でこの本は表紙を捲ることすらおこがましいようなとてつもない雰囲気を纏っています。ふと気付くと何も考えず何分も表紙だけを眺めているのです。私はこれを読み終えた暁にはどうなってしまうのでしょうか。結果は追って報告することにします。
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